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第1問 理不尽な目覚め【出題編】
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誰も長谷川の言葉に応える者はいなかった。多目的とはいえ、バーベキューに50メートルもあるロープなど使うわけがない。
「つまり、多目的のロープだけは、他の意図……バーベキュー以外の目的で使用されたってことか」
司馬がそう呟くと、長谷川は待っていたとばかりに頷いた。どうやら、彼の話には続きがあるらしい。
「その通り。そこで、俺は犯人がこう使ったんじゃないかなと思うんだ。犯人は被害者を気絶か何かさせたところで、橋の上まで運び、体に多目的ロープを巻きつけ、橋の上からゆっくりと被害者の体を降ろした。そして、そのまま被害者を溺死させたんだ。溺死させた後は多目的ロープを切って回収すればいい。こうすれば、犯人は河川に降りる必要がない上に、被害者の遺体に外傷をつけずに、溺死させることが可能だ」
割りかし自信のありそうな長谷川の推測であったが、呆れるほどの大きな溜め息が、その自信を打ち砕いた。その出どころが九十九と数藤からであることは言うまでもなかった。
「ふっ、下らない。都合よく被害者を気絶させることすら難しいだろう。ましてや、ロープを体に巻きつけ、河川まで降ろして溺死させるなんて神業どころの話ではない。それに万が一にもその手段を実行したとして、ものの数分で実行できるものではないだろう? アリバイのある3人に難しいのではないかな?」
人を完全に馬鹿にした様子の数藤であるが、今回は長谷川の推測のほうに無理がありそうだ。
「それに、橋の上でそんなことをしていたら、誰かに目撃されるリスクも出てくる。っていうか、そんな回りくどい手段を取るくらいなら、いっそのこと橋の上から突き落としたほうが簡単じゃねぇか。誤って転落したように見せかけることだってできるし、突き落とすくらいなら数分でやってのけることができる。はっきり言って、あんたの言ってることは的外れだな。的外れすぎて逆に正解なんじゃねぇかって思えるくらいに――」
きっと、長谷川は被害者の死因に対し、遺体に外傷がなかったという謎を前提として、そのような答えを導き出したつもりなのであろう。しかしながら、その方法が上手くいくとは思えないし、仮に上手くいったとしても、誰かに目撃されるリスクもあるし、時間もかかりすぎる。すなわち、残念ながら、その手段での犯行は白川達には不可能だったということになってしまうだろう。
「そっ、そこまで言うのなら、そっちの考えを聞こうじゃないか。人の意見を馬鹿にするってことは、それなりの根拠となる考えがあるからだろう? まさか、何も考えていないのに、俺の推測を馬鹿にしたってことはないよな?」
「つまり、多目的のロープだけは、他の意図……バーベキュー以外の目的で使用されたってことか」
司馬がそう呟くと、長谷川は待っていたとばかりに頷いた。どうやら、彼の話には続きがあるらしい。
「その通り。そこで、俺は犯人がこう使ったんじゃないかなと思うんだ。犯人は被害者を気絶か何かさせたところで、橋の上まで運び、体に多目的ロープを巻きつけ、橋の上からゆっくりと被害者の体を降ろした。そして、そのまま被害者を溺死させたんだ。溺死させた後は多目的ロープを切って回収すればいい。こうすれば、犯人は河川に降りる必要がない上に、被害者の遺体に外傷をつけずに、溺死させることが可能だ」
割りかし自信のありそうな長谷川の推測であったが、呆れるほどの大きな溜め息が、その自信を打ち砕いた。その出どころが九十九と数藤からであることは言うまでもなかった。
「ふっ、下らない。都合よく被害者を気絶させることすら難しいだろう。ましてや、ロープを体に巻きつけ、河川まで降ろして溺死させるなんて神業どころの話ではない。それに万が一にもその手段を実行したとして、ものの数分で実行できるものではないだろう? アリバイのある3人に難しいのではないかな?」
人を完全に馬鹿にした様子の数藤であるが、今回は長谷川の推測のほうに無理がありそうだ。
「それに、橋の上でそんなことをしていたら、誰かに目撃されるリスクも出てくる。っていうか、そんな回りくどい手段を取るくらいなら、いっそのこと橋の上から突き落としたほうが簡単じゃねぇか。誤って転落したように見せかけることだってできるし、突き落とすくらいなら数分でやってのけることができる。はっきり言って、あんたの言ってることは的外れだな。的外れすぎて逆に正解なんじゃねぇかって思えるくらいに――」
きっと、長谷川は被害者の死因に対し、遺体に外傷がなかったという謎を前提として、そのような答えを導き出したつもりなのであろう。しかしながら、その方法が上手くいくとは思えないし、仮に上手くいったとしても、誰かに目撃されるリスクもあるし、時間もかかりすぎる。すなわち、残念ながら、その手段での犯行は白川達には不可能だったということになってしまうだろう。
「そっ、そこまで言うのなら、そっちの考えを聞こうじゃないか。人の意見を馬鹿にするってことは、それなりの根拠となる考えがあるからだろう? まさか、何も考えていないのに、俺の推測を馬鹿にしたってことはないよな?」
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