クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第1問 理不尽な目覚め【出題編】

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 九十九に否定されてしまった凛は、助けを求めるかのように司馬のほうへと視線をやってきたが、残念ながら九十九の言っていることは正論だ。

「残念だけど、それは彼と同じ理屈で証明することができない。免許を持っている、持っていないというのは自己申告であって、確かめようがないからね」

 九十九を容疑者から外さなかったように、凛もまた容疑者から外すわけにはいかない。ただ、事件が起きた当時、まず間違いなく学校に通っていたであろう眠夢のみが、第1問の容疑者から外れる。

 再現映像だけではなく、スタジオにいる人間の経歴からも犯人を推測できる。この要素は、きっと思っている以上に大きな影響を与えてくれることだろう。事実、再現映像と照らし合わせた結果、眠夢が容疑者から外れてくれたのだから。

 これで容疑者は残り7人。クイズ内だけではなく、外部の情報からも容疑者を絞れてしまうという趣向は、中々に面白いのかもしれない。もっとも、それは視聴者側から見た時の話であって、当事者からすれば面白くとなんともない。特に実際の犯人からすれば、余計な部分で容疑者が絞られてしまうのは堪ったものではない。

 ふと、BGMが急に止まると、藤木も動きをピタリと止める。そして、床に放り出したままだったマイクを手に取ると、改めてカメラのほうへと視線を向けた。

「さぁ、いよいよこれより皆さんの解答を見て参りましょう。おっと、その前にコマーシャルです!」

 コマーシャルもなにも、こんな頭のおかしいクイズ番組のスポンサーをやる物好きなどいるのだろうか。 そもそも、番組内容が内容なだけに、仮にスポンサーなんてやろうものなら、炎上間違いなしであるが。

「さて、これより30分ほど休憩とさせていただきます。この藤木流星。いくら洗練された名司会者であっても、集中力が続くのには限りがあります」

 完全にスイッチを切り替えた藤木の声は、妙に落ち着いているように聞こえた。九十九の推測通り、シンキングタイムから休憩を挟んで解答となる流れ。シンキングタイムの最中も解答者同士のやり取りはとがめられなかったが、解答前の休憩時間ともなれば、どんなやり取りをしたって咎められることはない。ここで犯人が誰なのかを議論し、解答へと繋げる形になるのだろう。

「ちなみに、この藤木はスタジオから退室させていただきますが、収録中に解答者の方々がスタジオから退室することは許可させておりません。用を足したいのであれば、そちらの緞帳どんちょうの裏にトイレがございます。喉が渇いたり、少し小腹が空いたりしているのであれば、スタジオ出入り口付近にお茶とお菓子を用意してございます。他に不便なことがありましたら、なんなりと藤木にお申し付けください。ただし、収録中は原則的にスタジオからは出られません。あらかじめご了承願います」
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