クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第1問 理不尽な目覚め【出題編】

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『こちらは白川さんの私物のギターです。白川さんは高校の頃からギターを始め、今でも暇を見つけては街頭に出てストリートライブをやっています。映像がないのは非常に残念ですが、きっと素晴らしい歌声を響かせていたのでしょう』

 黒井はヴァイオリンを、そして白川はギターを趣味としていた――こんな情報が一体何の役に立つのだろうか。まるで小野寺の心情を具現化するかのごとく、出雲が口を開いた。

「なぁ、これと事件――何か関係があると思うか?」

 黒井が殺害された事件と4人の趣味。これが全く無関係の情報だとすれば、クイズ番組で出されるクイズとしては失格である。必要とする情報量を制限することには関しては問題ないが、全く無関係の情報を付け加えるのはどうかと思う。

「現状ではなんとも言えませんね。あまりにも唐突ですし、関係性があるとは思えませんけど」

 問題の一部として、再現映像に組み込まれているのであれば、何かしら事件に関係している情報である可能性が高い。ただ、何がどう関係しているのかビジョンが見えてこない。

『続いて赤間さんの趣味は――草野球です』

 これもまた静止画のようであるが、顔を隠すように赤い丸が被さり、その上に白地で【赤間さん】と書かれたユニフォーム姿の人物が映っていた。左手にグローブをはめ、右手に球を持っている姿はサマになっている。

『赤間さんは小学生の頃から少年野球を始め、中学、高校とずっと野球を続けてきました。現在も草野球のチームに所属し、ちょこちょこ練習に顔を出していたようです』

 黒井や白川は割りかしインドアな趣味。それに相反するかのごとく、赤間はスポーツとアウトドアな印象である。黒井と白川が似たり寄ったりの趣味なのだから、もしかすると赤間と青野もまた、似たり寄ったりの趣味を持っているのかもしれない。そんな、特に根拠のないことを考えながら映像を眺めていると、自分の勘が妙に冴えていることに驚く。

『最後に青野さん。青野さんの趣味はバレーボールです』

 特に決まりはないのだろうが、今度は静止画ではなく、どこかの体育館での試合風景のようなものが映像として流れる。そのほとんどの人の顔にモザイクがかかっているなか、これまでと同様に顔に被さるように青丸が表示され、その中に白地で【青野さん】と書かれた人物の姿があった。随分と背が高く、アタッカーなのであろう。高々と飛び上がると、右手を大きく振り下ろしてアタックを決めた。
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