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第1問 理不尽な目覚め【出題編】

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『ようやく2人目の入場です! 東京都文京区にお住いの九十九ヒロトさん。なんと有名大学を卒業しておきながら大人になりきれず、現在無職です! しかもアグレッシブな無職というやつで、親の金を食い潰す勢いで遊びまわっているドラ息子。これは私の偏見ですが、高学歴の無職ほどタチの悪いものはないと思います!」

 司会らしき男が紹介しているのは、当然ながらクイズ番組の出演者なのであろう。それにしても、随分と出演者の扱いが酷い。完全に馬鹿にしているようにしか見えなかった。

 一体、自分達は何に巻き込まれているのか。何のためにここにいるのか。全てが曖昧なまま、テレビを黙って見ていることしかできない小野寺と出雲。

 姿を現した九十九は銀のような髪の色をしていた。カメラが固定されているようで、いちいち寄ったりもしないため、詳細までは分からないが、随分とパンクな格好をしているらしい。確かに、社会人といった出で立ちには見えなかった。

 九十九が解答席に着席してからしばらくの間、軽快なBGMに合わせて司会らしき男が手拍子を続ける映像が続く。もしかすると、ずっとこのまま同じものを見続けなければならないのか――そう疑い始めるほどの時間が経過した頃、再び司会らしき男が口を開いた。そこからは一気に6人が入場し、解答席へと座る。妙にテレビ慣れしているような……8人の出演者の中で、唯一BGMに合わせて手拍子をする女性の格好はどこかで見たことがあった。

 解答席が埋まったのを確認してから、司会らしき男が名を名乗る。やはり彼はクイズ番組の司会者らしい。そして、時刻が10時になると、小野寺達の見ているクイズ番組の詳細が明かされる。どうやら、過去に起きた未解決の事件がクイズとして出題されるらしい。しかも、まだ捕まっていない、その事件の犯人は――解答者の中にいるようだ。日夜、事件を解決しようと努力している警察を愚弄するかのような内容である。そのコンセプトに、小野寺は少しばかり腹が立った。

 窓からは太陽光が差し込んでくる。テレビに表示されている時刻は10時。普通、クイズ番組といえばゴールデンタイム――夜の時間帯に放送されるイメージが強く、午前の10時に放送されるというのは、なんだか変な感じがする。もっとも、どう考えてもこれが地上波で放送されているとは思えなかった。

 理由も分からず、どこかの高層階に軟禁されてしまった小野寺と出雲。最低限のことは保障されているものの、ここから出られるメドはついていない。

 テレビの中では変にテンションの高い司会者……藤木が、改めて細かいルールの説明を始めたのだった。
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