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第1問 理不尽な目覚め【出題編】
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なんだかんだで収録の時間が迫ってきているらしい。まぁ、15分しかないのだから仕方のないことなのであろうが。
「俺達の置かれている環境自体が、まだ得体のしれないものなんだ。今のアナウンスの中にも出てきたが、降板ってなんだ? 卒業との違いは? なんでこんなことをしなきゃいけない? はっきり言って分からないことが多すぎるんだよ。気乗りはしないが、状況がある程度把握できるまでは、とりあえず指示に従っておいたほうが賢い」
九十九はそう言うと、司馬のことを押しのけて楽屋から出てくる。そして、一同の顔を見回して鼻で笑うと、数藤と同じようにスタジオのほうへと歩き出す。ジーンズの両ポケットに手を突っ込みつつ、途中で振り返ると言い放った。
「まぁ、どうであれ俺はあんたらと馴れ合うつもりはない。あんまり関わるんじゃねぇぞ」
その言葉と共に、九十九はスタジオの中へと姿を消してしまった。
「――なにあいつ。超、感じ悪いんだけど。頼まれなくても関わってやらねぇよ」
少しずつ気が緩んでいるのか、ダークな面が前面に出つつある凛。司馬は彼女のファンでもなんでもないし、裏表がある人間だと分かっているから、別になんとも思わない。ただ、彼女に対して淡い幻想を抱いていたファンからすれば、きっとショックを受けるに違いない。アイドルなんてこんなものであり、文字通り偶像ということなのだろうが。
「あの、それでこれからどうしましょうか?」
数藤、九十九の2人がスタジオへと向かったことで、自分達の方向性を確かめたくなったのであろう。柚木が口を開く。曲がりなりにも高校教師であり、その辺りはしっかりとしているように思えた。
柚木の言葉に、みんなの視線が自然とスタジオのほうへと向けられる。司馬は率直な意見を述べた。
「さっきの彼が言ったように、状況が把握できていないというのが残念ながら現状だ。収録まで時間は残り少ないようだし、ここは大人しくスタジオ入りしたほうがいいのかもしれない」
現状、出口が見つかるあてはないし、探す時間も残っていない。それでも収録に付き合ってやる義理などないのだが、どうしても司馬の中で降板の2文字が引っかかっていた。それがなんであるかは分からないが、なんとも不吉な印象があったのだ。
「そうしたほうが良さそうだな――。スタジオに行けば、なにか分かるかもしれないし」
司馬の意見に長谷川が賛同の意を見せた時点で、一同の方向性は決まっていた。得体の知れない状況である以上、今は郷に入れば郷に従えの精神で動いたほうが賢明だろう。
「俺達の置かれている環境自体が、まだ得体のしれないものなんだ。今のアナウンスの中にも出てきたが、降板ってなんだ? 卒業との違いは? なんでこんなことをしなきゃいけない? はっきり言って分からないことが多すぎるんだよ。気乗りはしないが、状況がある程度把握できるまでは、とりあえず指示に従っておいたほうが賢い」
九十九はそう言うと、司馬のことを押しのけて楽屋から出てくる。そして、一同の顔を見回して鼻で笑うと、数藤と同じようにスタジオのほうへと歩き出す。ジーンズの両ポケットに手を突っ込みつつ、途中で振り返ると言い放った。
「まぁ、どうであれ俺はあんたらと馴れ合うつもりはない。あんまり関わるんじゃねぇぞ」
その言葉と共に、九十九はスタジオの中へと姿を消してしまった。
「――なにあいつ。超、感じ悪いんだけど。頼まれなくても関わってやらねぇよ」
少しずつ気が緩んでいるのか、ダークな面が前面に出つつある凛。司馬は彼女のファンでもなんでもないし、裏表がある人間だと分かっているから、別になんとも思わない。ただ、彼女に対して淡い幻想を抱いていたファンからすれば、きっとショックを受けるに違いない。アイドルなんてこんなものであり、文字通り偶像ということなのだろうが。
「あの、それでこれからどうしましょうか?」
数藤、九十九の2人がスタジオへと向かったことで、自分達の方向性を確かめたくなったのであろう。柚木が口を開く。曲がりなりにも高校教師であり、その辺りはしっかりとしているように思えた。
柚木の言葉に、みんなの視線が自然とスタジオのほうへと向けられる。司馬は率直な意見を述べた。
「さっきの彼が言ったように、状況が把握できていないというのが残念ながら現状だ。収録まで時間は残り少ないようだし、ここは大人しくスタジオ入りしたほうがいいのかもしれない」
現状、出口が見つかるあてはないし、探す時間も残っていない。それでも収録に付き合ってやる義理などないのだが、どうしても司馬の中で降板の2文字が引っかかっていた。それがなんであるかは分からないが、なんとも不吉な印象があったのだ。
「そうしたほうが良さそうだな――。スタジオに行けば、なにか分かるかもしれないし」
司馬の意見に長谷川が賛同の意を見せた時点で、一同の方向性は決まっていた。得体の知れない状況である以上、今は郷に入れば郷に従えの精神で動いたほうが賢明だろう。
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