クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第1問 理不尽な目覚め【出題編】

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 ともかく、1人はさっさとスタジオに向かってしまったものの、これで全8名中7名が明らかになった。残るは司馬の目の前にある扉。外の廊下の音が騒がしいであろうに、まるで楽屋から出てこない人物。名前からして男性であろう。

 司馬は小さく溜め息を漏らすと、その扉をノックした。返事もなく、いきなり明け放たれた楽屋の扉にびっくりした。

「――何?」

 明らかに不機嫌そうな声と共に顔を出したのは、おそらく司馬と同じくらいの年頃の男だった。ただし、風体は司馬とかなりかけ離れていた。伸ばした髪は白い近い金髪――いや、銀髪というべきか。ほっそりとした輪郭の顔に鋭い眼光。口の左端にはリング状のピアスが光る。少なくとも、まともな社会人には見えなかった。

「あ、いや。その……」

 あまりにいきなりだったことと、その男の眼光が鋭かったこともあり、少しばかり声を詰まらせてしまう司馬。男は小さく溜め息を漏らすと、呆れたかのように言った。

「はっきり言って、さっきの数藤とか名乗ったやつの言い分が正しいと思うぜ。あんたらは仲良しこよしをしてぇみたいだけどさ、楽屋にあったルールブックみたいなのには目を通しただろ? これから行われるであろうクイズ番組では、実際に起きた事件が題材として扱われる。そして――その犯人は、ここに集められた8人の中にいる。ってことはだ、あんたらが仲良しこよしをしようとしている人間の中に犯罪者が混じってるってこと。よくもまぁ、犯罪者と仲良くしようなんて思うなぁ」

 最後のほうは、わざとらしく感心するかのごとく語尾を伸ばす銀髪の男――いや、九十九。確かに、言っていることは間違いない。間違いないが、今言うべきことではない。

「俺達は何者かの意図によって、ここに集められた。その何者かは、どうやら犯罪者を交えてクイズ合戦をさせたいらしい。まだ全貌は明らかになっちゃいねぇが、ルールの端々から解答者と解答者の中に潜む犯罪者を対立させようって意図が見え隠れしてる。つーまーりー、今の俺達にとって仲良しこよしは得策じゃねぇってことだ。少なくとも全貌が見えてくるまでは、あまり慣れ合わねぇほうがいいぜ」

 九十九がそう言うと、まるで合いの手を入れるかのごとく、例の作られた合成音声が響いた。

『マモナク、収録ガ始マリマス。解答者ノ方々ハ、スタジオニテ待機シテクダサイ。ナオ、収録ニ参加サレナイ解答者ノ方ハ、降板ノ意思表示ヲサレタトミナシマス。繰リ返シマス……』
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