11 / 506
第1問 理不尽な目覚め【出題編】
9
しおりを挟む
とにかく、自発的に楽屋を出てきたのは司馬達を含めて5人。
司馬自身はIT会社を自ら立ち上げ、今現在も社長として経営に携わっている。社会人――という括りがあまり得意ではなく、型にはまりたくなかったということもあり、髪の毛は肩くらいまで伸ばしているし、あごヒゲも手入れしながら伸ばしていた。どれだけ髪の毛が伸びていようとも、ヒゲを伸ばそうとも、清潔感があればいい。脂でギトギトした七三分けや、夕方あたりに青ヒゲが出てくる状態なんかよりは、よっぽどいいと思っている。20代前半で会社を立ち上げ、まだ30代手前なのだから、若くして成功したほうではないかと自身では思っている。
木戸アカリと名乗った彼女は、見た目はかなり地味であるが、もっと化粧をしっかりとすれば、結構化粧映えする顔立ちではある。おそらく勤めている会社の制服姿なのだろうが、足元がサンダルという詰めの甘さから察するに、大企業のOLではないだろう。申しわけないが、会社の気品というものは自然と社員の身だしなみにも反映する。ただ、1人の人間としては、しっかりと周囲に気を配れるような印象が強い。多分、歳は同い年くらいだ。
もっともキャラクターが濃いのは、やはり奇抜な格好をした桃山凛であろう。言われてみればなるほど、彼女の格好はアイドルの格好のようにも見える。アイドルというくらいだから、やはり顔立ちは抜群であるが、それを自覚している上での立ち回り――あざとさが滲み出ている。先ほど、態度を急に一変させてこともあり、表裏の激しさはもちろんのこと、一癖も二癖もありそうな人物である。言動もそうだが、姿格好からして、まだ20代になったばかりくらいだろう。
思わず見上げてしまいそうなほどの身長の長谷川大は、その見た目とは違ってスポーツ選手などではなく公務員らしい。ぱっと見た感じでは若く見えるが、雰囲気的には司馬より歳上だ。まず間違いなく40代後半くらいであろう。短髪に強面の顔がしっくりときている。
誰よりも警戒心が強いのは、きっと彼女であろう。高校の教師をしているという伊良部柚木だ。切れ長の眉と細い目、猫の額――なんて表現があったりするが、猫のような顔立ちをしている彼女のおでこは広い。それを強調するかのように、頭のてっぺんから左右に横分けしている辺り、きっと彼女自身もおでこの広さはチャームポイントになっているのだろう。事実、司馬もおでこの広い女性は嫌いではない。
司馬自身はIT会社を自ら立ち上げ、今現在も社長として経営に携わっている。社会人――という括りがあまり得意ではなく、型にはまりたくなかったということもあり、髪の毛は肩くらいまで伸ばしているし、あごヒゲも手入れしながら伸ばしていた。どれだけ髪の毛が伸びていようとも、ヒゲを伸ばそうとも、清潔感があればいい。脂でギトギトした七三分けや、夕方あたりに青ヒゲが出てくる状態なんかよりは、よっぽどいいと思っている。20代前半で会社を立ち上げ、まだ30代手前なのだから、若くして成功したほうではないかと自身では思っている。
木戸アカリと名乗った彼女は、見た目はかなり地味であるが、もっと化粧をしっかりとすれば、結構化粧映えする顔立ちではある。おそらく勤めている会社の制服姿なのだろうが、足元がサンダルという詰めの甘さから察するに、大企業のOLではないだろう。申しわけないが、会社の気品というものは自然と社員の身だしなみにも反映する。ただ、1人の人間としては、しっかりと周囲に気を配れるような印象が強い。多分、歳は同い年くらいだ。
もっともキャラクターが濃いのは、やはり奇抜な格好をした桃山凛であろう。言われてみればなるほど、彼女の格好はアイドルの格好のようにも見える。アイドルというくらいだから、やはり顔立ちは抜群であるが、それを自覚している上での立ち回り――あざとさが滲み出ている。先ほど、態度を急に一変させてこともあり、表裏の激しさはもちろんのこと、一癖も二癖もありそうな人物である。言動もそうだが、姿格好からして、まだ20代になったばかりくらいだろう。
思わず見上げてしまいそうなほどの身長の長谷川大は、その見た目とは違ってスポーツ選手などではなく公務員らしい。ぱっと見た感じでは若く見えるが、雰囲気的には司馬より歳上だ。まず間違いなく40代後半くらいであろう。短髪に強面の顔がしっくりときている。
誰よりも警戒心が強いのは、きっと彼女であろう。高校の教師をしているという伊良部柚木だ。切れ長の眉と細い目、猫の額――なんて表現があったりするが、猫のような顔立ちをしている彼女のおでこは広い。それを強調するかのように、頭のてっぺんから左右に横分けしている辺り、きっと彼女自身もおでこの広さはチャームポイントになっているのだろう。事実、司馬もおでこの広い女性は嫌いではない。
0
お気に入りに追加
183
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる