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第1問 理不尽な目覚め【出題編】

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 とにかく、自発的に楽屋を出てきたのは司馬達を含めて5人。

 司馬自身はIT会社を自ら立ち上げ、今現在も社長として経営に携わっている。社会人――という括りがあまり得意ではなく、型にはまりたくなかったということもあり、髪の毛は肩くらいまで伸ばしているし、あごヒゲも手入れしながら伸ばしていた。どれだけ髪の毛が伸びていようとも、ヒゲを伸ばそうとも、清潔感があればいい。脂でギトギトした七三分けや、夕方あたりに青ヒゲが出てくる状態なんかよりは、よっぽどいいと思っている。20代前半で会社を立ち上げ、まだ30代手前なのだから、若くして成功したほうではないかと自身では思っている。

 木戸アカリと名乗った彼女は、見た目はかなり地味であるが、もっと化粧をしっかりとすれば、結構化粧映えする顔立ちではある。おそらく勤めている会社の制服姿なのだろうが、足元がサンダルという詰めの甘さから察するに、大企業のOLではないだろう。申しわけないが、会社の気品というものは自然と社員の身だしなみにも反映する。ただ、1人の人間としては、しっかりと周囲に気を配れるような印象が強い。多分、歳は同い年くらいだ。

 もっともキャラクターが濃いのは、やはり奇抜な格好をした桃山凛であろう。言われてみればなるほど、彼女の格好はアイドルの格好のようにも見える。アイドルというくらいだから、やはり顔立ちは抜群であるが、それを自覚している上での立ち回り――あざとさが滲み出ている。先ほど、態度を急に一変させてこともあり、表裏の激しさはもちろんのこと、一癖も二癖もありそうな人物である。言動もそうだが、姿格好からして、まだ20代になったばかりくらいだろう。

 思わず見上げてしまいそうなほどの身長の長谷川大は、その見た目とは違ってスポーツ選手などではなく公務員らしい。ぱっと見た感じでは若く見えるが、雰囲気的には司馬より歳上だ。まず間違いなく40代後半くらいであろう。短髪に強面の顔がしっくりときている。

 誰よりも警戒心が強いのは、きっと彼女であろう。高校の教師をしているという伊良部柚木だ。切れ長の眉と細い目、猫の額――なんて表現があったりするが、猫のような顔立ちをしている彼女のおでこは広い。それを強調するかのように、頭のてっぺんから左右に横分けしている辺り、きっと彼女自身もおでこの広さはチャームポイントになっているのだろう。事実、司馬もおでこの広い女性は嫌いではない。
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