黄昏の暁は密室に戯れるか

４.答え合わせ

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　そう考えると情けなくて、情けなくて、そして情けなくて……。これまで自堕落的に生きて来た自分を呪い、しかしどんなに後悔しても惨めな人生であったことを認めざるを得ない状況に、なかば自暴自棄になる。

　さすがに押木の放つ異様な雰囲気に気づいたのか、恩田達が一斉に銃口を押木へと向けて腰を落とす。

｢あぁ、痛ぇ……。痛ぇなぁ……｣

　脇腹から湯水の如く流れ続ける鮮血。こんな惨めな人生を送ってきたというのに、一丁前に他の人間と同じように体を流れている血液。熱を帯びて、鈍い痛みを伴って、けれども押木は痛みに怯むことなく、恩田に向って足を前に踏み出す。

　飛び道具を持った二人を相手に、どうこうなるとは思っていない。しかし、最期に……押木準という人間の最期に、せめて一矢は報いてやりたかった。

｢押木君！　無茶な真似はよせっ！」

　宮澤の声など、すでに押木の耳には届いていなかった。そして、彼は雄叫びにも似た奇声を上げながら、渾身の力で床を蹴ったのであった。

　――まるで、希望に満ちた第一歩を踏み出すかのように。