ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【解決編】

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 ブルーゼノと加藤千秋を繋ぐもの。強いて言ってしまえば、舞香とも繋ぐもの。それこそが、加藤千秋の父親なのだ。大方、彼がクスリの元締めとなって、加藤千秋と舞香を売人として雇っていたのであろう。互いに家族という立場があったからこそ成立していたビジネスモデルなのかもしれない。しかし、そう考えると1人だけ余計な存在がいることになる。

「黙秘する? そんな権利がお前にあると思うのかよ?」

 おそらくクスリを服用していたのであろう。急に大人しくなったのは、その反動なのかもしれない。やや挑発気味に言ってやったつもりだったが、父親はすっかり大人しくなってしまっていた。

「おっさん、ブルーゼノの連中も数人引っ張ってんだろ?」

 父親の様子が急にしおらしくなってしまったがゆえに、情報を引き出すのが難しいと判断した坂田は、巌鉄へと問う。

「あぁ、中には留置所にぶち込んであるやつもいたはずだ」

 坂田は頷くと、わざと父親と目を合わせながら呟いた。

「例のクスリ、ガキどもの頭で作れるもんじゃねぇと思うんだよ。大人がどこかで介入していて、クスリを確実に提供できるルートが確立されているはず。その流通元を突き止めて欲しい。まぁ、そんなに時間はかからないだろ?」

 父親の反応を伺いつつ、わざと声に出して巌鉄へとお願いをする。少しばかりうなだれた父親は、ゆっくりと頭を上げた。

「私が横流しをしていました――」

 坂田はそのタイミングを逃しはしなかった。父親の少なくなった髪の毛を掴むと、顔を覗き込む。

「横流し? お前が元凶なんじゃないのか? お前が娘とその友人を使って、ブルーゼノにクスリを流すようにしたんだ」

 父親はすっかり怯えたようになっていた。

「あんたの娘のベッドの中からクスリが見つかった時、他の部屋も調べさせてもらうべきだったぜ。あんた、俺達が娘のクスリを疑っていることを知っていながら、あえて娘の部屋を調べさせるために、部屋に入れまいと抵抗したんだろ? 娘の部屋でクスリが見つかってしまえば、親族の自分に疑いの目が向くことはない。あんたの計算通り、俺達は娘の部屋でクスリを見つけて満足しちまった――」

 坂田はずっと疑問に思っていた。ブルーゼノがばら撒いていたスマイルは、たった一店舗でばら撒かれていた。すなわち、まだ世には広く流通していなかったわけだ。ゆえに、クスリの元締めもまた、そこまで大きな組織などではなく、下手をすると個人である可能性もあった。そこで状況証拠的にたどり着いた答えが、加藤千秋の父親だった。
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