ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【事件編】

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 そもそも、これは事件が起きた当初に、警察が調べていたはずだ。それなのに、なぜか1人分の死体が見落とされていた。これはもう、完全に警察の落ち度としか思えない。

「あ、あるけど……。テープごと警察に提出しちゃったから」

 ここには記録として残ってはいないようだ。それを見返せば、不自然な客の出入りなどが分かったかもしれないのに。

「それじゃあ、ひとつ聞かせてくれ。このホテルって基本的に出入り自由だよな?」

 坂田が確かめたいことは、必ずしも男女1人ずつでホテルに入る必要があるか否かだ。以前はどのように使用しても自由だったが、最近は複数人での利用や、同性同士での利用を断るところもあるらしい。詳しい事情は知らないが、色々とあるのだろう。ゆえに、ここがそのように厳しいところであれば、入る時も男女1人ずつ、出る時も男女1人ずつになっていないと、チェックがかかるはず。可能な限りプライバシーは守られているように見えて、実のところ細かいところにチェックなどが入れられているのが現状らしい。

「そ、そうだね。基本的に出入りはカメラに記録されてるけど、途中退室も自由だし、部屋をおさえて買い物に出かける人もいたりするからね。それと、宿泊目的で複数人で泊まる人達もいるみたいだし」

 管理人の言葉に、坂田は考えを巡らせる。

「となると、部屋に入るのが2人だろうが複数だろうが、気にも留めないってことだよな?」

 基本的に利用目的が自由だというのであれば、入室時の人数と退室時の人数にチェックを入れたりはしないだろう。すなわち、一室で二度殺人が起きても、すぐには発覚しない。

「そ、そうだねぇ。その、そういう複数で楽しむ人もいれば、同性で――っていう人もいるでしょ? もちろん、中には宿泊施設代わりに使ったりする人もいるだろうけど、暗黙の了解でオッケーしているというか、用途目的まで踏み込んだりはしないから」

 事件の発覚が遅れてしまったのも、そして死体の発見に見落としがあったのも、ラブホテルという極めてプライバシーな空間だからこそなのかもしれない。

「そうか。その、あんたには悪いが、もう少し営業再開は先になるぜ。恨むんなら、しっかり捜査していなかった警察の連中を恨むんだな。まぁ、どっちにせよ、あの臭いじゃ再開は難しい。あの様子じゃ、周辺の部屋まで臭いは広まってるだろうし」

 別に管理人の責任ではないし、彼を責め立てるつもりはないのだが、どうしても図式的にそう見えてしまう。坂田が一方的にいじめているみたいだ。
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