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第二話 Q&A【事件編】

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 色々と面倒なようだが、どうやら今日はこれでお役御免となるようだ。

「仕方ねぇ。俺も銀山のやつをうまいこと使って、あの女のことを探させるか。あの女、絶対になにか隠してやがるからな」

 坂田は立ち上がると、煙草を吸う仕草を巌鉄に見せる。今から帰るにしても、ニコチンが不足するのは目に見えている。補給できる時に補給しておかねば。

「仕方がねぇな。ったく、警察にしょっ引かれて、ここまで高待遇を受けられるのは、お前くらいだぞ」 

 巌鉄はため息混じりに煙草を差し出してくる。

「まぁ、俺とおっさんの仲じゃねぇか。固いこと言うなって」

 煙草をもらうと、そのままライターを点ける仕草で火を要求。巌鉄からライターを受け取る。

「坂田、あんまり調子に乗って悪さするなよ? 俺は署内でも危うい立場にいるし、いつでもお前を守ってやれるわけでもない。なによりも、悪いことをしたらそれなりの罰を受けてもらわなきゃならんからな」

 巌鉄の言葉は、時に説教じみていて聞くに耐えないことがある。坂田は適当に「分かってるよ」と返した。なんとなく沈黙が訪れ、それを破るかのように巌鉄が呟く。

「坂田、これは俺の妄想というか、それだったら、まだ救いがあるってだけの話なんだがよ……」

 そう前置きをすると、坂田が一度はたどり着いた推測を、さも正解であるかのごとく口にする巌鉄。

「犯人って……存在すると思うか?」

 坂田はあえてなにも答えず、紫炎を燻らせるだけだった。

「例のホテルでの男は、クスリによる錯乱状態のもとで、自ら命を絶った可能性が出てきている。だったら、最初の事件も……被害者のクスリによる錯乱だったんじゃないかと思ってな」

 それならば、犯人は存在しないし、被害者が痛めつけられた事実というものも存在しなくなる。そんな都合のいい話はないだろう。坂田は否定の意味も込めて疑問を投げる。

「いくらクスリで錯乱していたからって、自分の手首を切り落とせるか?」

「そんなことを言ったら、錯乱して自分の腹を掻っ捌けるかって話になるだろうが」

 実際にクスリの効能は、やった人間にしか分からないものだ。もしかすると、自らが自らを傷つけることもあり得るのかもしれないし、そうはならないように自我が勝つようになっているのかもしれない。どちらにせよ、試してみなければ分からないが、リスクを冒してまで試そうとは思わない。
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