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第二話 Q&A【事件編】

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 元はと言えば、この事件を持ち込んできたのは舞香本人だった。言ってしまえば、舞香が事件を持ち込みさえしなければ、巌鉄と坂田が事件に関わることもなかったわけだ。

「おっさん、あんたあの女にうまい具合に利用されたんじゃねぇか? 事件とクスリが無関係だということを証明するために」

 そう考えると、舞香がでっち上げをしようとした理由も分かる。警察の捜査の過程で、クスリが関与していた事実を探られるとよろしくない。そこで、存在しない付きまといのストーカーを作り上げ、そこに疑いの目が向くように仕向けようとした。

「しかしだ。クスリと言っても、一応はグレーゾーンの脱法ドラッグだろ? それを所持したり利用したりしたところで、簡単には罪に問えない。言ってしまえば、クスリの使用がばれたところで、そこまでダメージにならない。リスクを負ってまで、クスリの関与を隠蔽する必要もないだろ?」

 舞香がでっち上げを行ったのは、クスリとの関与をごまかすためだった。しかしながら、巌鉄の言う通り、リスクのほうが大きいような気がする。

「……誰かを庇おうとしてる。そうは考えられねぇか?」

 坂田が呟いた言葉。それは、坂田自身が思っている以上に、妙な説得力があった。

「でっち上げをした理由としては、そっちのほうがよっぽど筋が通るな。彼女は犯人を知っていて、その犯人を庇うために、存在していなかったストーカーを作り上げた。そう考えれば、リスクを背負ってまで囮捜査を買って出たことにも納得できる」

 そう答える巌鉄だが、本人は苦笑いを浮かべていた。形はどうであれ、舞香には利用されたことになってしまうのだ。そりゃ、苦笑いのひとつも浮かべたくなる。

「やっぱり、あの女を捕まえて話を聞くしかねぇな。あいつの言ってることには、どうも整合性が伴ってない。下手すると、まだなにか隠してるぞ」

 随分と引っかき回されてしまったが、結局のところキーパーソンとなるのは舞香ということだ。彼女の意図などが分からないと、事件の全貌も見えてはこないだろう。

「警察としても、彼女を見つけ次第、話を聞きたいと思っている」

 巌鉄はそれで言葉を締めると、ファイルらしきものを手に立ち上がる。

「坂田、今日はこれで帰ってくれてもいい。また連絡するよ」

 どうやら、現状では分かっていることはここまでらしい。

「クスリとなると、また管轄が変わるから面倒なだろ? 確か五課の仕事になるんだったか?」

 坂田の言葉に「管轄というか、しがらみがな」と巌鉄。
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