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第二話 Q&A【事件編】
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しおりを挟む【7】
店の近くまでくると、すでに地響きのような低音が響いていた。繁華街の外れのほうになるのだろうが、苦情なども多いに違いない。まぁ、繁華街だからこそ許されるのかもしれないが。
ブルーゼノが根城にしている店は半地下にあるようで、日がすっかりと暮れてしまったところに、青のネオンが眩しい。カラーギャングと関与しているというのは嘘ではないらしい。
「趣味悪ぃなぁ。真っ青じゃねぇか、この店」
階段の上から店の入り口を覗いてみる。青パーカーの男が2人。入り口の前で煙草を吸っているが、店の関係者だろうか。だとしたら、入店に徹底した制限をかけているらしい。なぜゆえに、そんなことをするのだろうか。
ふと、様子を伺っていると、坂田の携帯が鳴る。白黒のディスプレイには、見知らぬ電話番号が並んでいた。
「……はい」
携帯の番号を教えている人間は少ない。巌鉄は携帯電話を持っていないはずだし、舞香の電話番号は登録してある。だから、見知らぬ電話番号からかかってくるということが、まずあり得ないことだった。
「坂田君か?」
電話の向こうから聞こえてきたのは、やはり知らない声。しかし、坂田のことを知っているようだから、間違い電話というわけではないらしい。
「あんた誰だ?」
あえてあちらの問いかけには答えず、こちらから聞いてやる。電話は相手が見えない分、どうしても警戒してしまう。
「捜査一課の倉科という。巌鉄先輩の部下だ」
見知った名前に、一気に警戒心が解けていく。どうやら、巌鉄が部下に携帯番号を教えたらしい。現場のことをなかば押し付けるような形になったから、巌鉄には少し負目があった。彼の部下からの電話。なんの用だろうか。
「そうかよ。で、巌鉄のおっさんの部下がなんの用だ?」
銀山は坂田の携帯電話に耳に近づけて、こちらの会話を聞こうとしているようだった。
「今どこにいる? 同行している女性から話を聞きたいんだが」
倉科と名乗った男にそう答えると「なにかあったのか?」と、当たり前のように経緯を問われる。坂田はやや面倒になりながらも経緯を説明する。
今回の事件にクスリが関与しているかもしれないこと。そのクスリを捌いているというブルーゼノなるカラーギャングのこと。そして、そのカラーギャングの根城にこれから乗り込むこと。それらを聞くと、あちらが慌てた様子になる。
「ま、待った。そんなところに単身で向かうのは危険だ。今からそっちに向かうから、場所を教えてくれ」
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