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第二話 Q&A【事件編】

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 片っ端からフルフェイスヘルメットを剥ぎ取って、どういうつもりか聞き出してやろうと思っていたが、どうやらそれも無理らしい。念のために何度か話しかけてはみたが、相手は薄ら笑いを浮かべてニタニタしているだけ。意識がこちら側にない。意図的に無視しているように思えなかった。

「ブルーゼノとスマイルか……。ちょうど、クスリの話も出てきたことだし、ちっと調べてみるか」

 坂田は腹いせに、近くに横たわっていたフルフェイスヘルメットの脇腹に蹴りを一発入れる。

「それにしても、スマイルってのは凄ぇな。アッパー系だとは聞いてるが、どうやら神経に効くらしい。こいつら、きっと今は痛みも感じねぇんだろうな」

 銀山の言葉に自然と頷く。どうにも手応えがないと思っていたのはこれか。急所をついても、機械的なリアクションしかしなかったのも、痛みを感じていないと考えれば筋が通る。痛がるようなリアクションを見せたり、痛むところをカバーするような仕草は一切なかったのだ。

「銀山」

「そこは銀山さん……だろうが」

 残念なことに、坂田は銀山に敬意を払うつもりなどない。勝手に雨立街の頭を気取り、坂田が入り浸っていた店に居座るようになった。こうして助けてはもらったものの、間違いなく確執は残っていた。

「なんでもいいだろうが。とにかく、ブルーゼノとかいう奴らの根城を教えろや。まぁ、この辺りじゃたかが知れてるような気がしないでもないが」

 界隈でカラーギャングが調子に乗っているのは知っていたが、基本的にそのような犬の縄張り争いみたいなものには興味がない坂田。もちろん、そのような連中も眼中になかった。もっとも、絡まれたり喧嘩を売られたりすれば、それなりに相手をしてやるのだが。

「確か、この近辺に【ヴェールタル】っていう名前のクラブがある。連中がよくそこに出入りしてるって聞くな。なんでも、その店自体がブルーゼノと深いつながりがあるらしい。ドラッグの売買も、基本的に店内で行われているらしい」

 今回の事件から大分脱線したように見えていたが、しかし繋がりが見えてきたようだ。

「そいつがもし、例の事件の被害者や、あの女が使ってたクスリだとしたら――なるほど、こいつは話がでかくなってきたなぁ」

 坂田がそう呟くと、銀山が「そこでもうひと暴れできんのか? 坂田ちゃん」と、ついてくる。

「足手まといになるんじゃねぇぞ」

 坂田と銀山。意外すぎるコンビが、他人のテリトリーで波乱を引き起こそうとしていた。
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