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第二話 Q&A【事件編】

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 飛び込んだ路地裏を駆ける。駆ける。駆ける。坂田の思惑通りに、相手も路地裏に入るが、路地が狭いために並んで坂田を追いかける形になった。

 振り向くと、坂田はビルの壁を蹴って飛び上がる。そのまま踵を振り下ろし、先頭にいたヘルメットの脳天に叩き込んでやった。ヘルメット越しとはいえ、かなりのダメージとなったのだろう。その場にゆっくりと倒れ込む。まずは1人。

 坂田は改めて路地裏の奥へと地面を蹴る。こうやって、1人ずつ処理をすれば、相手が大人数であっても対等に戦える。

 しばらく走って距離を取り、順番に相手を処理していく。しかしながら、起きてはいけないことが起きてしまった。

「くそ! ちゃんと路地は路地で作っとけよ!」

 もともと路地だったところを塞ぐようにして、ビルを建てたのであろう。坂田が想定していた最悪のパターン。袋小路が坂田のことを阻む。

「まだ、思ったより数がいるな」

 声すらあげず、無言のまま坂田のことを追いかけてくるフルフェイスヘルメット集団。路地が狭いため、相手にできるのは1人ずつで済むのだが、かなりの連戦を強いられることになる。しかし、手段として残されているのは、もうそれしかない。

「いいぜ。お前らなんて、これくらいのハンデがあってちょうどいいくらいだ」

 両手を前に構え、大きく呼吸を繰り返す坂田。あちらは急所である顔と頭をヘルメットで隠している。できる限り省エネで動かねばならないため、急所を狙いたいところだが。

 坂田は襲いくるフルフェイスヘルメットの懐に飛び込むと、容赦なく鳩尾に拳を叩き込む。こちらの急所は対策されていないらしく、情けない声がヘルメットから漏れると、フルフェイスヘルメットはその場に崩れ落ちた。本当なら再び距離を取って戦いたいが、しかしやはり連戦となってしまう。

 そもそも、多勢に無勢だった。それでも、坂田は数人の相手を1人で捌いた。けれども、あちらの人数がゼロになるよりも先に、坂田の集中力がゼロになってしまった。集中力が途切れると同時に、腹部に一発蹴りをもらってしまう。

「てめぇ!」

 全く同じように相手の腹部を蹴ってやるが、しかし完全には決まらなかったらしい。やや怯んだ相手だったが、すぐに体制を立て直した。

「ちょっと……数が多かったか」

 すっかり息も上がってしまっていたし、体のあちこちにダメージが蓄積している。万事休す。さすがの坂田も数には勝てない。
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