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第二話 Q&A【事件編】
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人の流れに飲み込まれてしまわぬよう、道端のほうへと移動する。坂田につられるようにして舞香も道端のほうへ。
「――なに? それって私が嘘をついているってこと? だとしたら、私と一緒にホテルに行った男は誰? あいつこそが、あんたと連絡を取り合っていた【アキト】なんじゃないの?」
人が密集している場所だからか、やけに空気が薄汚れているような気がする。煙草を燻らせながら、ふと見上げた空は、薄汚い空気に遮られているせいか星ひとつ見えなかった。
「そうじゃねぇんだなぁ……」
「じゃあ、誰だって言うの?」
舞香と一緒にホテルへと行き、そして死んでしまった男の正体。それが【アキト】だとは限らないことに、坂田はもう気づいていた。
「知らねぇよ」
「知らないってどういうこと? ちゃんと説明してよ!」
売り言葉に買い言葉といった具合で、舞香は声を荒げる。坂田は小さくため息を漏らしてあしらうと、煙草を地面に放り投げ、それを足で揉み消した。
「だから、知らないんだよ。あの時、お前に声をかけるまでは、誰も知らなかったんだ。どこの誰なのか、どんなやつなのかさえもな」
核心に近いことを口にして、坂田は舞香の様子を伺う。ここまでは想定していたのか、思ったよりも落ち着いていた。追撃の意味もかねて、坂田はさらに続けた。
「あの男は【アキト】じゃない。たまたまあの時、あの場所にいた、通りすがりのナンパ野郎だ。違うか?」
舞香の表情が明らかに曇った。やはりこの女――なにかを隠している。それがなんなのかは不明だが、どうにも不自然に思える点が多い。
「あの時、お前に声をかけてきた男は、これまで事件には一切無関係の男だった。だとすれば、居酒屋に寄ったのも自然だ。いきなり、ホテルに誘う馬鹿はいないからな。最初から、お前は誰かに声をかけてもらうつもりだったんだよ。だから、あえて露出の高い格好をしてたんだろ?」
坂田の言葉を受け、しばらく考えるように宙へと視線を泳がせたのち、舞香は口を開く。
「いや、そうだとしたら掲示板であんたとやり取りしてた【アキト】はどこに行ったのよ? もし私が本当にナンパされたのだとしたら、待ち合わせ場所に来た【アキト】があぶれちゃうじゃん」
坂田がウリをする女になりすまし、掲示板で【アキト】とやり取りをした結果、待ち合わせをして会うことになった。だから、もし舞香が他の男――ただ単にナンパしてきた男について行ったとしたら【アキト】が待ちぼうけをくらうことになる。その点についても、坂田は簡単に説明できた。
「あの【アキト】……お前がなりすませば済む話なんだよ。掲示板で俺とやり取りしていたのは、お前だった。そう考えば、絶対に【アキト】があぶれることはない。なぜなら、その【アキト】になりすましていた人物は、待ち合わせの場所に囮役としていたんだからな」
「――なに? それって私が嘘をついているってこと? だとしたら、私と一緒にホテルに行った男は誰? あいつこそが、あんたと連絡を取り合っていた【アキト】なんじゃないの?」
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「そうじゃねぇんだなぁ……」
「じゃあ、誰だって言うの?」
舞香と一緒にホテルへと行き、そして死んでしまった男の正体。それが【アキト】だとは限らないことに、坂田はもう気づいていた。
「知らねぇよ」
「知らないってどういうこと? ちゃんと説明してよ!」
売り言葉に買い言葉といった具合で、舞香は声を荒げる。坂田は小さくため息を漏らしてあしらうと、煙草を地面に放り投げ、それを足で揉み消した。
「だから、知らないんだよ。あの時、お前に声をかけるまでは、誰も知らなかったんだ。どこの誰なのか、どんなやつなのかさえもな」
核心に近いことを口にして、坂田は舞香の様子を伺う。ここまでは想定していたのか、思ったよりも落ち着いていた。追撃の意味もかねて、坂田はさらに続けた。
「あの男は【アキト】じゃない。たまたまあの時、あの場所にいた、通りすがりのナンパ野郎だ。違うか?」
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「あの時、お前に声をかけてきた男は、これまで事件には一切無関係の男だった。だとすれば、居酒屋に寄ったのも自然だ。いきなり、ホテルに誘う馬鹿はいないからな。最初から、お前は誰かに声をかけてもらうつもりだったんだよ。だから、あえて露出の高い格好をしてたんだろ?」
坂田の言葉を受け、しばらく考えるように宙へと視線を泳がせたのち、舞香は口を開く。
「いや、そうだとしたら掲示板であんたとやり取りしてた【アキト】はどこに行ったのよ? もし私が本当にナンパされたのだとしたら、待ち合わせ場所に来た【アキト】があぶれちゃうじゃん」
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「あの【アキト】……お前がなりすませば済む話なんだよ。掲示板で俺とやり取りしていたのは、お前だった。そう考えば、絶対に【アキト】があぶれることはない。なぜなら、その【アキト】になりすましていた人物は、待ち合わせの場所に囮役としていたんだからな」
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