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第二話 Q&A【事件編】

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 なんだかこじつけのように聞こえなくはないが、坂田のように解釈すれば、一応は筋が通るだろう。

「まだ続くって――物騒なこと言うなよ。俺達には何もできないのが現状なんだ。起きてしまった事件のことは調べることができても、起きる前の事件を未然に防ぐことはできねぇよ」

 巌鉄が言うと、坂田は小さく溜め息を漏らした。警察は事件を未然に防ぐことに人員は避けない。しかも、生活安全課の巌鉄に人を動かす権限はなかった。

「防ぐんじゃねぇよ。こっちから仕掛けんだよ。もし仮に、被害者に付きまとってたアキトってやつが犯人なら、同じ手口で次の獲物を探そうとするはずだ。犯人の狙う相手がウリをやってる女なら、それを装って誘い出せばいい」

 坂田の言葉に天啓にも似たものを得る巌鉄。つまりは囮捜査。しかも、ネットの掲示板を舞台とするのであれば、本物の女性を用意する必要もない。

「犯人が使っている掲示板が匿名の掲示板なら、俺達が書き込んだところで姿形は見えないわけだから、犯人をおびき出すことができるか――」

 我ながら名案とも思えたものだったが、坂田は首を大きく横に振って否定する。

「確かにおびき出すことはできるが、まだアキトってやつが犯人だと決まったわけじゃねぇ。それに、おびき出した段階で犯行に及ぶとは限らねぇだろ? 相手が本性を出すまで本物の撒き餌は必要だな」

 本物の撒き餌。それはすなわち、ウリをやる女性のことを指すのだろうか。いや、実際にウリをする必要はないが、犯人を確実におびき出すためには、実際に囮となってくれる女性を用意する必要があるらしかった。

「それにしても妙に乗り気じゃねぇか。お前なら面倒がって、こんなことに首を突っ込んだりしそうもねぇがな」

 何気なく巌鉄が問うた「だってよ、こういうの面白れぇじゃねぇか」と笑みを浮かべる坂田。人がすでに死んでいるというのに、面白いもへったくれもない。しかしながら、前回の【コレクター】事件の時もそうだったが、どこか坂田は事件そのものを楽しんでいる傾向にある。目の前にあるパズルを夢中になって解く子どものように、坂田は目の前の事件に興味を持ち、それを解こうとしている。

「しかし坂田、囮捜査ってのは面倒でな。色々と法で決まってるんだよ。やろうと思って簡単に――」

「誰も合法でやろうなんて言ってねぇだろ? 大体、少年課のおっさんには捜査権自体ねぇし、警察が動くなんて微塵も期待してねぇよ。俺達で勝手にやんだよ」
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