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第二話 Q&A【事件編】
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「まぁ、秩序型と無秩序型については、そこまで気にする必要ない。あくまでも分類だからな。ただ、統計的な傾向が、これである程度絞れる」
巌鉄の体感的なものなのかもしれないが、やたらと坂田がおしゃべりのような気がする。このような話題になると話が止まらなくなってしまうのか。巌鉄は相槌を打ったり、時折り合いの手を入れることしかできない。
「絞れるって――犯人がか?」
「あぁ、聞いたことあるだろ? プロファイリングっていうやつだ」
その横文字には聞き覚えがあった。いいや、忘れはしない……と言ったほうがいいか。捜査一課にいた頃、導入の検討で一悶着あったのだから。
「確かFBIが確立させた捜査手法だろ? 犯罪者の心理傾向を統計的に考えるってやつだ」
顔鉄の言葉に頷くと、坂田はなおも続ける。
「その通り。で、秩序型の心理傾向から、こんな統計が取れている。秩序型は長男の可能性が高い。普段は当たり前のように仕事をしながら社会に溶け込んでいる――ってな感じでな。後は調べてみないことにはなんとも言えないが、ただはっきりと言えることがひとつだけある」
勿体ぶるかのごとく、そこで言葉を切ってしまう坂田。きっと、巌鉄からの「それはなんだ?」の一言を待っているのであろう。ご希望通り、坂田に問うてみる巌鉄。
「それはなんだ?」
「犯人はウリをやってる女に妙な執着心を持ってやがるな」
事件のあらましをざっと話しただけではあるが、なかなか鋭いと思う。しかし坂田の言葉には疑問もあった。
「いや、今回はたまたま被害者がそういうことをやっていた女性ってだけだろ? サンプルが少ないのに、ウリをやってる女に執着してるとは断言――」
「壁に残されてたメッセージだよ」
犯人は現場にメッセージらしきものを残していた。
【第一問 体力の足を切り取ったら何になる?】
「しかし、あのメッセージはそもそもの意味が……」
「はっきり言って小学生のなぞなぞレベルだな。多分だけど体力のことをバイタルって読んで、尻尾を切り取る――つまり、けつの文字を消すとバイタ……売女になるんだよ。まぁ、体力を英語に直したところでバイタルにはならないんだが、その辺りは犯人が間違って思い込んでいる節があるな。もしかして他の答えがあるのかもしれないが、その問題文から導き出される答えは売女だと思われる。これ、放っておくと、まだ続くぞ」
巌鉄の体感的なものなのかもしれないが、やたらと坂田がおしゃべりのような気がする。このような話題になると話が止まらなくなってしまうのか。巌鉄は相槌を打ったり、時折り合いの手を入れることしかできない。
「絞れるって――犯人がか?」
「あぁ、聞いたことあるだろ? プロファイリングっていうやつだ」
その横文字には聞き覚えがあった。いいや、忘れはしない……と言ったほうがいいか。捜査一課にいた頃、導入の検討で一悶着あったのだから。
「確かFBIが確立させた捜査手法だろ? 犯罪者の心理傾向を統計的に考えるってやつだ」
顔鉄の言葉に頷くと、坂田はなおも続ける。
「その通り。で、秩序型の心理傾向から、こんな統計が取れている。秩序型は長男の可能性が高い。普段は当たり前のように仕事をしながら社会に溶け込んでいる――ってな感じでな。後は調べてみないことにはなんとも言えないが、ただはっきりと言えることがひとつだけある」
勿体ぶるかのごとく、そこで言葉を切ってしまう坂田。きっと、巌鉄からの「それはなんだ?」の一言を待っているのであろう。ご希望通り、坂田に問うてみる巌鉄。
「それはなんだ?」
「犯人はウリをやってる女に妙な執着心を持ってやがるな」
事件のあらましをざっと話しただけではあるが、なかなか鋭いと思う。しかし坂田の言葉には疑問もあった。
「いや、今回はたまたま被害者がそういうことをやっていた女性ってだけだろ? サンプルが少ないのに、ウリをやってる女に執着してるとは断言――」
「壁に残されてたメッセージだよ」
犯人は現場にメッセージらしきものを残していた。
【第一問 体力の足を切り取ったら何になる?】
「しかし、あのメッセージはそもそもの意味が……」
「はっきり言って小学生のなぞなぞレベルだな。多分だけど体力のことをバイタルって読んで、尻尾を切り取る――つまり、けつの文字を消すとバイタ……売女になるんだよ。まぁ、体力を英語に直したところでバイタルにはならないんだが、その辺りは犯人が間違って思い込んでいる節があるな。もしかして他の答えがあるのかもしれないが、その問題文から導き出される答えは売女だと思われる。これ、放っておくと、まだ続くぞ」
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