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第二話 Q&A【事件編】

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 インターネットは全く詳しくないが、調べようと思えばなんとかなるものだ。とりあえず、付きまといをしていた男の手がかりは、出会い系サイトで手に入りそうだ。

「言っておきますが、例えそれらしい投稿を見つけても、それを書き込んだのがどこの誰なのかまでは調べようがないですからね。いつか、今のテクノロジーが進化したら可能になるかもしれませんが」

 巌鉄が抱いた希望は、遠田の言葉によって打ち砕かれた。書き込みを見つけたとしても、誰がそれを書き込んだのかが分からなければ意味がない。今後、ネットを使った犯罪などが増えるのではないだろうか。巌鉄のこういう時の予感ほど、嫌なくらい当たったりする。

「だが、書き込んだ時間なんかも記載されてるみたいだし、そこから生活スタイルなんかは推測できるかもしれない。それと――念のために前科者を洗ってみるか。あれも結局、パソコンを動かさなきゃならんからなぁ」

 遠田のほうに視線をやると、明らかに意図して目をそらされてしまった。

「データベースは各々のPCで見られるはずですし、IDやらパスは各部署ごとに割り当てられていますから、どうぞそちらで調べて下さい。僕だってね、そこまで暇じゃないんですから」

 いやいや、このやり取りをしている間だって、誰一人として相談者は訪れていない。暇なはずだ。そんな巌鉄の心情を見透かしたかのごとく遠田は続ける。

「相談者も来ないし暇じゃないか……とでも言いたそうですがね、総務の仕事は対外的な仕事ばかりじゃないんです。むしろ内のほうの仕事が多いわけで、こうしている今も仕事は溜まっていく一方なんですよ」

 すなわち、帰れということらしい。ざっとファイルには目を通させてもらったし、一応手がかりらしきものも手に入った。これ以上の冷やかしはしない方がいいだろう。

「それじゃあ、邪魔したな。助かったよ、ありがとう」

 巌鉄から返却されたファイルを持ったまま動きを止めると、遠田はやや引き攣った顔で口を開く。

「先生が素直に礼を言うなんて、やっぱり未曾有の災害でも起きるんじゃないですか?」

 全くもって失礼なやつである。巌鉄は「かもしれんな」と素っ気なく返すと立ち上がった。遠田とやり合っていても疲れるだけだし、これからデータベースという難敵との対峙が待っている。余計な体力は消耗しないほうがいい。

「なんだか拍子抜けですねぇ。こっちの調子が狂いますよ――」

 遠田の溜め息混じりの言葉を背に、巌鉄は総務を後にする。同じ生活安全課の中だから、自分の机もそう遠くはなかった。もっとも、パーテーションで区切られた空間は、まるで生活安全課の中で孤立しているようにも感じられるが。
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