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第二話 Q&A【事件編】
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いくら煙草に寛容な時代とはいえ、葬式をやっている家の軒下で煙草を吸うわけにはいかない。結局、家の敷地から出て、道路の片隅で煙草を取り出した。これだって、令和と呼ばれる時代からすれば常識はずれなことであるが、残念ながらこれが当たり前だった時代が確かにあった。
人間、考えることは同じようで、先客がいた――というか、煙草を吸っている人間を見つけて、巌鉄が勝手にそちらに向かってから火を点けただけなのであるが、その先客とは面識があった。いいや、ついさっき知った顔と言ったほうがいいか。
「さっきのは中々言えるもんじゃない。このご時世、お嬢さんみたいな方は珍しんいじゃないか?」
あえて少し距離を置き、煙草を燻らす巌鉄。先客というのは、ついさっき式場を飛び出していった女性だった。並んでみると改めて長身であることが分かる。うっすらと化粧をしただけだが、顔立ちが整っているせいか、どこぞの歌劇団の人間のように見えた。言い方を変えると、少しばかり中性的に見える。格好からするに女性であることは間違いないが。
「幼馴染の葬式に出たのに、あの場で幼馴染のことを悪く言われたらムカつくじゃん。あー、でもあんな言い方しちゃったしさ、なんだか戻りにくくなっちゃった」
巌鉄は彼女の言葉に思い出す。この葬式の主役――加藤千秋には、確か信頼できる幼馴染がいたはずだ。何度か名前を聞いたことがあったのはずだが。
「あぁ、もしかして舞香さんか? 橋本舞香さん。彼女――千秋ちゃんから何度か聞いたことがある。男勝りで、小学校の頃にいじめっ子から守ってくれたって」
巌鉄の言葉に彼女は小さく頷くと、取り繕うかのごとく、煙を吐き出した。
「あの子、そんな風に言ってくれてたんだ。私自身、男勝りのつもりもないんだけどなぁ。ってことは、あんたもしかして巌鉄とかいう頑固刑事? 千秋から何度か聞いたことがあるわ」
頑固刑事とは、色々と語弊がある。ただ、幼馴染との会話の中で出してくれるくらいには、巌鉄のことを信頼していてくれたらしい。そんなこと――死んだ後に知っても虚しいだけだ。あらためて、彼女がこの世にいないことを実感した。
「お互い話に聞いていたが、こうして初めて顔を合わせたのが、あの子の葬式だなんて――皮肉なもんだな」
いつしか煙草が燃え尽きようとしていた。それを地面に放り投げて火を消すと、またくわえて火を点ける。
「なぁ、あんた刑事なんだろ? 今、少しだけ時間いいか? 千秋が殺される少し前のことなんだけど、ちょっと問題が起きてたんだよ」
人間、考えることは同じようで、先客がいた――というか、煙草を吸っている人間を見つけて、巌鉄が勝手にそちらに向かってから火を点けただけなのであるが、その先客とは面識があった。いいや、ついさっき知った顔と言ったほうがいいか。
「さっきのは中々言えるもんじゃない。このご時世、お嬢さんみたいな方は珍しんいじゃないか?」
あえて少し距離を置き、煙草を燻らす巌鉄。先客というのは、ついさっき式場を飛び出していった女性だった。並んでみると改めて長身であることが分かる。うっすらと化粧をしただけだが、顔立ちが整っているせいか、どこぞの歌劇団の人間のように見えた。言い方を変えると、少しばかり中性的に見える。格好からするに女性であることは間違いないが。
「幼馴染の葬式に出たのに、あの場で幼馴染のことを悪く言われたらムカつくじゃん。あー、でもあんな言い方しちゃったしさ、なんだか戻りにくくなっちゃった」
巌鉄は彼女の言葉に思い出す。この葬式の主役――加藤千秋には、確か信頼できる幼馴染がいたはずだ。何度か名前を聞いたことがあったのはずだが。
「あぁ、もしかして舞香さんか? 橋本舞香さん。彼女――千秋ちゃんから何度か聞いたことがある。男勝りで、小学校の頃にいじめっ子から守ってくれたって」
巌鉄の言葉に彼女は小さく頷くと、取り繕うかのごとく、煙を吐き出した。
「あの子、そんな風に言ってくれてたんだ。私自身、男勝りのつもりもないんだけどなぁ。ってことは、あんたもしかして巌鉄とかいう頑固刑事? 千秋から何度か聞いたことがあるわ」
頑固刑事とは、色々と語弊がある。ただ、幼馴染との会話の中で出してくれるくらいには、巌鉄のことを信頼していてくれたらしい。そんなこと――死んだ後に知っても虚しいだけだ。あらためて、彼女がこの世にいないことを実感した。
「お互い話に聞いていたが、こうして初めて顔を合わせたのが、あの子の葬式だなんて――皮肉なもんだな」
いつしか煙草が燃え尽きようとしていた。それを地面に放り投げて火を消すと、またくわえて火を点ける。
「なぁ、あんた刑事なんだろ? 今、少しだけ時間いいか? 千秋が殺される少し前のことなんだけど、ちょっと問題が起きてたんだよ」
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