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第一話 コレクター【エピローグ】
第一話 コレクター【エピローグ】1
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【1】
海岸線を走る大型のバイクは、それこそ楠野と共有していたものだった。記憶が正しければ、間違いなく楠野のほうが多く支払いをしているし、名義上は楠野のものになっていたはずだ。
電車があるから不便はしないのだが、しかし満員電車は柄に合わない。かといって、車は場所をとるし、維持費も馬鹿にならない。様々な条件が揃った結果、一応共同でバイクを購入するということになったのは、果たしていつだったのか。気がつけば、楠野との付き合いも長くなったものだ。
巌鉄にきつく言われたがゆえに、飾り程度のハーフヘルメットは被っている。これもまた楠野が使っていたものだった。巌鉄にばれたら間違いなく怒られるだろうが、坂田は滅多にヘルメットを被らない。あんなものは邪魔なものだとしか思っていなかった。
楠野は新山が呼んでくれた警察官が対応してくれて、その場で逮捕ということになった。巌鉄がやればいいと思ったのだが、どうやら彼には逮捕権というものがないらしい。ちらっと聞いた話だと、かつて逮捕する直前の犯人を半殺しにしてしまい、捜査一課から追い出されたとか――。あまり詮索はしないでおいてやるが、巌鉄も巌鉄で警察の問題児なのだろう。一撃で楠野を床に沈めた巌鉄の姿は、今思い返しても笑える。まさか一発で決めるとは思わなかった。
「確か、この辺りって話だがなぁ」
車が行き交う国道から脇道へとそれ、坂田を乗せたバイクは閑静な住宅街へと入った。バイクの排気音がうるさいくらい、静かなところだったが、もちろん坂田が気にかけるわけがない。
坂田が探しているのは、ある女性だった。反対する巌鉄をなんとか説得し、警察の情報網をフル活用して探し出してもらった人物だ。その人物は、雨立街から離れた場所で暮らしているらしい。もちろん、何食わぬ顔でだ。
この時代、ナビなんて便利なものはなかった。あったとしても、ごくごく一部の車が装備しているだけであり、誰でも手軽に道を調べることができ、案内通りに走らせれば目的地へと到着できるなんてのは、それこそSFレベルの話だった。
バイクを降り、ポケットに突っ込んであった住宅地図を広げる。巌鉄が調べてくれた通りならば、この近くのアパートに、その女は住んでいるはずだ。インターネットがまだ未発達であり、調べる――という、ごく当たり前のことができない時代から考えると、人を1人探し出すというのは難儀だった。
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電車があるから不便はしないのだが、しかし満員電車は柄に合わない。かといって、車は場所をとるし、維持費も馬鹿にならない。様々な条件が揃った結果、一応共同でバイクを購入するということになったのは、果たしていつだったのか。気がつけば、楠野との付き合いも長くなったものだ。
巌鉄にきつく言われたがゆえに、飾り程度のハーフヘルメットは被っている。これもまた楠野が使っていたものだった。巌鉄にばれたら間違いなく怒られるだろうが、坂田は滅多にヘルメットを被らない。あんなものは邪魔なものだとしか思っていなかった。
楠野は新山が呼んでくれた警察官が対応してくれて、その場で逮捕ということになった。巌鉄がやればいいと思ったのだが、どうやら彼には逮捕権というものがないらしい。ちらっと聞いた話だと、かつて逮捕する直前の犯人を半殺しにしてしまい、捜査一課から追い出されたとか――。あまり詮索はしないでおいてやるが、巌鉄も巌鉄で警察の問題児なのだろう。一撃で楠野を床に沈めた巌鉄の姿は、今思い返しても笑える。まさか一発で決めるとは思わなかった。
「確か、この辺りって話だがなぁ」
車が行き交う国道から脇道へとそれ、坂田を乗せたバイクは閑静な住宅街へと入った。バイクの排気音がうるさいくらい、静かなところだったが、もちろん坂田が気にかけるわけがない。
坂田が探しているのは、ある女性だった。反対する巌鉄をなんとか説得し、警察の情報網をフル活用して探し出してもらった人物だ。その人物は、雨立街から離れた場所で暮らしているらしい。もちろん、何食わぬ顔でだ。
この時代、ナビなんて便利なものはなかった。あったとしても、ごくごく一部の車が装備しているだけであり、誰でも手軽に道を調べることができ、案内通りに走らせれば目的地へと到着できるなんてのは、それこそSFレベルの話だった。
バイクを降り、ポケットに突っ込んであった住宅地図を広げる。巌鉄が調べてくれた通りならば、この近くのアパートに、その女は住んでいるはずだ。インターネットがまだ未発達であり、調べる――という、ごく当たり前のことができない時代から考えると、人を1人探し出すというのは難儀だった。
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