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第一話 コレクター【解決編】
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「俺はこう見えて、かつては一課でバリバリやってたんだが、ちょっとばかり問題を起こしてな、その結果として今はガキ共のお世話係だ。まぁ、やりがいはあるかもしれんが、なんていうか――刺激が足らねぇんだよ」
巌鉄はそう言うと、体勢を低くして構えをとった。
「お前とやり合うのはどれくらいぶりかな。どっちが上か、そろそろ決めっか」
坂田はフリーファイトスタイルだから、構えもへったくれもない。いつものようにひょうひょうとしつつも、いきなり殴りつけてくることだろう。
視線。楠野が欲したのは視線だった。特に母性本能を持つ女性の視線が欲しかっただけだ。新鮮な女の目玉が欲しかっただけなのだ。もし、殺さずに手に入るのであれば、殺したくなんてなかった。でも、生きたまま目玉を抉るというのは、どうしても難しい。それに、やられる側もたまったもんじゃない。だから、これは慈悲。楠野ができる精一杯の優しさのつもりだった。
「坂田。こいつは放っておくとまだやるぞ。そういう目をしてやがる。絶対に逃すな」
ちらりと店の入り口のほうに視線をやったのを、巌鉄は見逃さなかったようだ。そう、まだ足りない。視線が足りない。誰でもいいから女の視線を独り占めしたい。そのために目玉を喰らいたい。
楠野はずっと隠し持っていたバタフライナイフを取り出した。被害者の腹を刺してやったやつだ。それを構えて坂田と巌鉄を威嚇する。
「死にたくねぇなら見逃せよ。お、俺もお前を殺したくはない……」
坂田のほうに刃先を向けると、しかし坂田は退くどころか、一歩前に踏み出してくる。射程範囲に楠野を捉えるためか、かなり距離を詰めた感じだった。思わず反応しそうになるが、ぐっと堪える。こちらから仕掛けても、相手は2人だ。残念ながら、この2人を相手にして勝てるとは思えない。うまいこと隙を作って逃げなければ。
「やれるもんならやってみろ。俺は知ってるんだよ。お前にそこまでの度胸はねぇ。正直、人を殺したなんてこと、まだ信じられねぇよ」
坂田と巌鉄が同時に距離を詰めてくる。目玉に対する異常な執着。それが楠野を動かしていた衝動だった。それがもうできなくなる。二度と目玉が食えなくなってしまう。そう考えると恐ろしかった。怖かった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
突如とした上がった奇声が自分のものだったと楠野が知るのは、残念ながら警察病院のベッドの上のことである。ここから先、彼には全く記憶が残っていなかった。
巌鉄はそう言うと、体勢を低くして構えをとった。
「お前とやり合うのはどれくらいぶりかな。どっちが上か、そろそろ決めっか」
坂田はフリーファイトスタイルだから、構えもへったくれもない。いつものようにひょうひょうとしつつも、いきなり殴りつけてくることだろう。
視線。楠野が欲したのは視線だった。特に母性本能を持つ女性の視線が欲しかっただけだ。新鮮な女の目玉が欲しかっただけなのだ。もし、殺さずに手に入るのであれば、殺したくなんてなかった。でも、生きたまま目玉を抉るというのは、どうしても難しい。それに、やられる側もたまったもんじゃない。だから、これは慈悲。楠野ができる精一杯の優しさのつもりだった。
「坂田。こいつは放っておくとまだやるぞ。そういう目をしてやがる。絶対に逃すな」
ちらりと店の入り口のほうに視線をやったのを、巌鉄は見逃さなかったようだ。そう、まだ足りない。視線が足りない。誰でもいいから女の視線を独り占めしたい。そのために目玉を喰らいたい。
楠野はずっと隠し持っていたバタフライナイフを取り出した。被害者の腹を刺してやったやつだ。それを構えて坂田と巌鉄を威嚇する。
「死にたくねぇなら見逃せよ。お、俺もお前を殺したくはない……」
坂田のほうに刃先を向けると、しかし坂田は退くどころか、一歩前に踏み出してくる。射程範囲に楠野を捉えるためか、かなり距離を詰めた感じだった。思わず反応しそうになるが、ぐっと堪える。こちらから仕掛けても、相手は2人だ。残念ながら、この2人を相手にして勝てるとは思えない。うまいこと隙を作って逃げなければ。
「やれるもんならやってみろ。俺は知ってるんだよ。お前にそこまでの度胸はねぇ。正直、人を殺したなんてこと、まだ信じられねぇよ」
坂田と巌鉄が同時に距離を詰めてくる。目玉に対する異常な執着。それが楠野を動かしていた衝動だった。それがもうできなくなる。二度と目玉が食えなくなってしまう。そう考えると恐ろしかった。怖かった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
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