115 / 136
第二章
五十三話
しおりを挟む
召喚獣の三人と夕食を終え、約束の二十二時までゆっくりと過ごそうとしていたのだが、お風呂に入り終わるなりゆっくりする暇もなく、三人の手によって大きなベッドの上へと連れていかれた。
「こ、これは……」
連れていかれるなり、最初に注目したのは、それぞれの頭についているものだった。
それぞれの頭やお尻にはケモ耳、そして尻尾が鎮座していたのだ。
「ベル、存分に触ってくれて構わないよ。約束だしね」
「え、でも……。ラヴィックとトトーとの戦いでは引き分けになっちゃったし」
午前の試合では圧勝したものの、午後から行った二試合中一試合は負けこそしなかったが引き分けという結果に落ち着いてしまった。
ベルとしては全部勝てたらもふれるという考えだったため、この発想はなかった。発想がなかったからこそ、引き分けた悔しさが普段よりも倍増していたのだ。
「だが、午後からの試合は本来の力を出せずに、だっただろ? それで引き分けになっただけ大したもんだろ」
「そうそう。お嬢は今日頑張ったんだから、俺たちからのご褒美ってことで。それに俺たちも頑張ったご褒美が欲しいし」
「セス、アーテ、アル……って、んん? あれ? ご褒美??」
褒められた上にご褒美がもらえるとあって嬉しくなっていたのだが、アルブスの最後の一言が引っかかる。
肩に顔がくっつきそうなくらい首を傾げれば、ロセウスの両手に顔を包まれて元の位置に戻された。
「私が言った言葉を覚えているかい?」
「確か、セスたちの耳や尻尾を思う存分触らせてくれるって。んでもってどこを触っても、その間私の体にちょっかいを出さないことも約束するって……」
性感帯に値する耳の付け根部分を触っていいと許可までもらった。
「んでその後、俺が言った言葉は?」
「アルが言った言葉……あ。そういうことですか」
――触り終わったあとに、俺たちもお嬢の体を堪能させてもらうけどな
確かそう言っていたはずだ。
ベルの体を堪能させてもらうとは、つまりそういうことをするということ。ご褒美という言葉にも頷ける。だからこそ、三人は思う存分ベルにケモ耳を堪能してほしいのだ。
「で、お嬢? どうする?」
アーテルが判断を委ねてくるが、選択肢は一つしかなかった。
「もふります」
「だよな、お嬢だし」
己の欲望に忠実なベルの言葉には、もはや迷いすらなかった。
そうして存分に満足をした数十分後、ベルの艶やかな声がベッドルームいっぱいに広がったのは言うまでもなかった。
ただベルは自身に言い訳をするように心の中で呟いた。
性感帯である付け根部分は、極力触れることを我慢した、と。
時間が存分にあったこともあって、約束の二十二時までには無事就寝できたことに、ほっと息をつく。夕方までラヴィックたちとともにいたのだ。これで遅れてでもいたら、何をしていたのか大声で告げていると同義である。
夢を夢だと認識する不思議な感覚を感じながら、小さな家の前にあるお茶会用のテーブルについた。
「昨日の夜ぶりー」
「うん、こんばんはムース、ヴァイオレットさん」
「ああ、こんばんはベル」
ムースの気が抜けるような伸びた挨拶にベルも挨拶を返す。
周囲を見渡せば、ベルを皮切りに続々と集まりだしているようだ。そうして全員が集まり、席についたところでムースが人差し指をくいっと動かす。するとベルたちの前にティーカップが出現した。ティーカップの中身は紅茶のようで、淹れ立てのように湯気が立っていた。香りも夢の中なのにきちんとあって、夢だと言われなければ現実と信じてしまう。紅茶に口をつけてみれば、口内に茶葉の豊かな風味が広がった。ここまで再現をしてしまうとは、さすがムースである。
皆が紅茶で口を潤したところで、ヴァイオレットが口を開いた。
「さて、早速で悪いが、クライシスの居場所について報告をさせてもらうよ」
その言葉にごくりと喉を思わず鳴らしてしまう。
「跡を辿って夢を渡り歩いた結果、クライシスの居場所がわかった」
「それはどこなんだ」
我慢しきれなかったのか、ラヴィックが尋ねる。そんなラヴィックの言葉に頷き、ヴァイオレットは再度口を開ける。
「場所は――異界の湖だ」
「こ、これは……」
連れていかれるなり、最初に注目したのは、それぞれの頭についているものだった。
それぞれの頭やお尻にはケモ耳、そして尻尾が鎮座していたのだ。
「ベル、存分に触ってくれて構わないよ。約束だしね」
「え、でも……。ラヴィックとトトーとの戦いでは引き分けになっちゃったし」
午前の試合では圧勝したものの、午後から行った二試合中一試合は負けこそしなかったが引き分けという結果に落ち着いてしまった。
ベルとしては全部勝てたらもふれるという考えだったため、この発想はなかった。発想がなかったからこそ、引き分けた悔しさが普段よりも倍増していたのだ。
「だが、午後からの試合は本来の力を出せずに、だっただろ? それで引き分けになっただけ大したもんだろ」
「そうそう。お嬢は今日頑張ったんだから、俺たちからのご褒美ってことで。それに俺たちも頑張ったご褒美が欲しいし」
「セス、アーテ、アル……って、んん? あれ? ご褒美??」
褒められた上にご褒美がもらえるとあって嬉しくなっていたのだが、アルブスの最後の一言が引っかかる。
肩に顔がくっつきそうなくらい首を傾げれば、ロセウスの両手に顔を包まれて元の位置に戻された。
「私が言った言葉を覚えているかい?」
「確か、セスたちの耳や尻尾を思う存分触らせてくれるって。んでもってどこを触っても、その間私の体にちょっかいを出さないことも約束するって……」
性感帯に値する耳の付け根部分を触っていいと許可までもらった。
「んでその後、俺が言った言葉は?」
「アルが言った言葉……あ。そういうことですか」
――触り終わったあとに、俺たちもお嬢の体を堪能させてもらうけどな
確かそう言っていたはずだ。
ベルの体を堪能させてもらうとは、つまりそういうことをするということ。ご褒美という言葉にも頷ける。だからこそ、三人は思う存分ベルにケモ耳を堪能してほしいのだ。
「で、お嬢? どうする?」
アーテルが判断を委ねてくるが、選択肢は一つしかなかった。
「もふります」
「だよな、お嬢だし」
己の欲望に忠実なベルの言葉には、もはや迷いすらなかった。
そうして存分に満足をした数十分後、ベルの艶やかな声がベッドルームいっぱいに広がったのは言うまでもなかった。
ただベルは自身に言い訳をするように心の中で呟いた。
性感帯である付け根部分は、極力触れることを我慢した、と。
時間が存分にあったこともあって、約束の二十二時までには無事就寝できたことに、ほっと息をつく。夕方までラヴィックたちとともにいたのだ。これで遅れてでもいたら、何をしていたのか大声で告げていると同義である。
夢を夢だと認識する不思議な感覚を感じながら、小さな家の前にあるお茶会用のテーブルについた。
「昨日の夜ぶりー」
「うん、こんばんはムース、ヴァイオレットさん」
「ああ、こんばんはベル」
ムースの気が抜けるような伸びた挨拶にベルも挨拶を返す。
周囲を見渡せば、ベルを皮切りに続々と集まりだしているようだ。そうして全員が集まり、席についたところでムースが人差し指をくいっと動かす。するとベルたちの前にティーカップが出現した。ティーカップの中身は紅茶のようで、淹れ立てのように湯気が立っていた。香りも夢の中なのにきちんとあって、夢だと言われなければ現実と信じてしまう。紅茶に口をつけてみれば、口内に茶葉の豊かな風味が広がった。ここまで再現をしてしまうとは、さすがムースである。
皆が紅茶で口を潤したところで、ヴァイオレットが口を開いた。
「さて、早速で悪いが、クライシスの居場所について報告をさせてもらうよ」
その言葉にごくりと喉を思わず鳴らしてしまう。
「跡を辿って夢を渡り歩いた結果、クライシスの居場所がわかった」
「それはどこなんだ」
我慢しきれなかったのか、ラヴィックが尋ねる。そんなラヴィックの言葉に頷き、ヴァイオレットは再度口を開ける。
「場所は――異界の湖だ」
0
お気に入りに追加
672
あなたにおすすめの小説
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
不埒な魔術師がわたしに執着する件について~後ろ向きなわたしが異世界でみんなから溺愛されるお話
めるの
恋愛
仕事に疲れたアラサー女子ですが、気付いたら超絶美少女であるアナスタシアのからだの中に!
魅了の魔力を持つせいか、わがまま勝手な天才魔術師や犬属性の宰相子息、Sっ気が強い王様に気に入られ愛される毎日。
幸せだけど、いつか醒めるかもしれない夢にどっぷり浸ることは難しい。幸せになりたいけれど何が幸せなのかわからなくなってしまった主人公が、人から愛され大切にされることを身をもって知るお話。
※主人公以外の視点が多いです。※他サイトからの転載です
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!
結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)
でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない!
何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ…………
……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ?
え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い…
え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back…
ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子?
無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布!
って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない!
イヤー!!!!!助けてお兄ー様!
4人の王子に囲まれて
*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。
4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって……
4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー!
鈴木結衣(Yui Suzuki)
高1 156cm 39kg
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。
母の再婚によって4人の義兄ができる。
矢神 琉生(Ryusei yagami)
26歳 178cm
結衣の義兄の長男。
面倒見がよく優しい。
近くのクリニックの先生をしている。
矢神 秀(Shu yagami)
24歳 172cm
結衣の義兄の次男。
優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。
結衣と大雅が通うS高の数学教師。
矢神 瑛斗(Eito yagami)
22歳 177cm
結衣の義兄の三男。
優しいけどちょっぴりSな一面も!?
今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。
矢神 大雅(Taiga yagami)
高3 182cm
結衣の義兄の四男。
学校からも目をつけられているヤンキー。
結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。
*注 医療の知識等はございません。
ご了承くださいませ。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる