19 / 23
ep18 裏切り
しおりを挟む
「さあ戦いも大詰め、どちらも残り人数は、もう僅かしか残ってはいません。因みに紅組は二名、白組は三名。残り時間は二〇分です」
『クソッタレ、皆ゾンビになりやがって』と熊虎は、焦りとあまりにも酷い状況に苛立ちを覚え、仲間に八つ当たりをする。
『こんなホウキなどでは武器にならん』と仲間に武器を探して来いと命令をする。
ついに、そんな熊虎の態度に嫌気をさした仲間は、頃合いをみて熊虎から逃げる計画をたてる。
『おい! お前ら北側の階段から、ゾンビが来たぞ! 早く戦え』と熊虎が指図をすると仲間は熊虎を置いて一目散に逃げ出した。
『畜生、あいつ等、覚えてやがれ………』
その頃、紅組の日乃出は窮地に追い込まれていた。
『日乃出様は、我が希望の光、私めが必ず守ります』と震える手でモップを握り締めた日乃出の側近、剣道部の凪山照美がゾンビと戦っていた。
そこに息を荒げ見覚えのあるゾンビをが徐々に近寄ってくる。
肩が、はずれたかの様に両腕をぶらーんと垂らしたゾンビが凪山に迫る。
『嘘でしょ……香菜』凪山の前に現れたゾンビは彼女と小さな頃からの親友、香野香菜であった。
『お願いやめて……香菜』と凪山は戦うのやめモップを置いた。
そんな親友の凪山の願いが通じたのか、香菜は急に大人しくなり凪山を見つめる。
『……ありがとう香菜』と囁やき、涙を浮かべ凪山は香菜をギュッと抱きしめる。
しかし、しばらく経っても佇む、ふたりに日乃出は異変を感じ、そっと近づいてみる。すると香菜と凪山が立っているその床にポタリポタリと赤い液体が垂れ落ちていた。
『うわぁーー』思わず日乃出は引きつった声をあげその場に腰をつく。
ゾンビになった香菜の歯が、凪山の首元に深く食い込み……
それは、まるでライオンに喰われたシマウマの様に徐々に肉が引きちぎられていく。
凪山が、意識朦朧とかすれた声で何か囁いている。
『痛い……助けて日乃出様』と……。
更にゾンビ香菜は、凪山から食いちぎった体の一部を口にぶら下げながら、日乃出の方へ迫ってきた。
日乃出の金切り声が校内に反響する。その声を聞き、反応した周辺のゾンビも迫ってくる。
恐怖と仲間の無惨な姿を目の当たりにした日乃出は、足がすくみ固まり動けなくなる。
『お母様……助けて下さい』
ゾンビに囲まれる日乃出は、絶体絶命の危機を迎える。
『ゴンッ』その時、鈍い音と共にゾンビの頭部だけが日乃出の足元へ転がってきた。
『日乃出……大丈夫か!』その声のする方へ日乃出は顔を向けるとそこには金属バットを手にした熊虎の姿があった。
「ありがとう熊虎、助かりましたわ」
「なぁ日乃出……俺にいい考えがある」
『クソッタレ、皆ゾンビになりやがって』と熊虎は、焦りとあまりにも酷い状況に苛立ちを覚え、仲間に八つ当たりをする。
『こんなホウキなどでは武器にならん』と仲間に武器を探して来いと命令をする。
ついに、そんな熊虎の態度に嫌気をさした仲間は、頃合いをみて熊虎から逃げる計画をたてる。
『おい! お前ら北側の階段から、ゾンビが来たぞ! 早く戦え』と熊虎が指図をすると仲間は熊虎を置いて一目散に逃げ出した。
『畜生、あいつ等、覚えてやがれ………』
その頃、紅組の日乃出は窮地に追い込まれていた。
『日乃出様は、我が希望の光、私めが必ず守ります』と震える手でモップを握り締めた日乃出の側近、剣道部の凪山照美がゾンビと戦っていた。
そこに息を荒げ見覚えのあるゾンビをが徐々に近寄ってくる。
肩が、はずれたかの様に両腕をぶらーんと垂らしたゾンビが凪山に迫る。
『嘘でしょ……香菜』凪山の前に現れたゾンビは彼女と小さな頃からの親友、香野香菜であった。
『お願いやめて……香菜』と凪山は戦うのやめモップを置いた。
そんな親友の凪山の願いが通じたのか、香菜は急に大人しくなり凪山を見つめる。
『……ありがとう香菜』と囁やき、涙を浮かべ凪山は香菜をギュッと抱きしめる。
しかし、しばらく経っても佇む、ふたりに日乃出は異変を感じ、そっと近づいてみる。すると香菜と凪山が立っているその床にポタリポタリと赤い液体が垂れ落ちていた。
『うわぁーー』思わず日乃出は引きつった声をあげその場に腰をつく。
ゾンビになった香菜の歯が、凪山の首元に深く食い込み……
それは、まるでライオンに喰われたシマウマの様に徐々に肉が引きちぎられていく。
凪山が、意識朦朧とかすれた声で何か囁いている。
『痛い……助けて日乃出様』と……。
更にゾンビ香菜は、凪山から食いちぎった体の一部を口にぶら下げながら、日乃出の方へ迫ってきた。
日乃出の金切り声が校内に反響する。その声を聞き、反応した周辺のゾンビも迫ってくる。
恐怖と仲間の無惨な姿を目の当たりにした日乃出は、足がすくみ固まり動けなくなる。
『お母様……助けて下さい』
ゾンビに囲まれる日乃出は、絶体絶命の危機を迎える。
『ゴンッ』その時、鈍い音と共にゾンビの頭部だけが日乃出の足元へ転がってきた。
『日乃出……大丈夫か!』その声のする方へ日乃出は顔を向けるとそこには金属バットを手にした熊虎の姿があった。
「ありがとう熊虎、助かりましたわ」
「なぁ日乃出……俺にいい考えがある」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
逢魔ヶ刻の迷い子3
naomikoryo
ホラー
——それは、閉ざされた異世界からのSOS。
夏休みのある夜、中学3年生になった陽介・隼人・大輝・美咲・紗奈・由香の6人は、受験勉強のために訪れた図書館で再び“恐怖”に巻き込まれる。
「図書館に大事な物を忘れたから取りに行ってくる。」
陽介の何気ないメッセージから始まった異変。
深夜の図書館に響く正体不明の足音、消えていくメッセージ、そして——
「ここから出られない」と助けを求める陽介の声。
彼は、次元の違う同じ場所にいる。
現実世界と並行して存在する“もう一つの図書館”。
六人は、陽介を救うためにその謎を解き明かしていくが、やがてこの場所が“異世界と繋がる境界”であることに気付く。
七不思議の夜を乗り越えた彼らが挑む、シリーズ第3作目。
恐怖と謎が交錯する、戦慄のホラー・ミステリー。
「境界が開かれた時、もう戻れない——。」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
スナック『霊』
ぜらいす黒糖
ホラー
1️⃣女の客が「私、人を殺したことがあるの」とママに話しかける。女の後ろには女が殺した男が立っていた。
2️⃣幽体離脱した状態で現れた男の客。男は自分の記憶を辿りながら何が起こったのかママに話そうとする。
3️⃣閉店間際、店の前にいた男に声をかけたママ。どうやら昔あったスナックを探しているらしい。
4️⃣カウンター席に座る男がママに話しかける。「死んでから恨みを晴らしたらどうなると思う?」と。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
【本当にあった怖い話】
ねこぽて
ホラー
※実話怪談や本当にあった怖い話など、
取材や実体験を元に構成されております。
【ご朗読について】
申請などは特に必要ありませんが、
引用元への記載をお願い致します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる