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ep18 裏切り
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「さあ戦いも大詰め、どちらも残り人数は、もう僅かしか残ってはいません。因みに紅組は二名、白組は三名。残り時間は二〇分です」
『クソッタレ、皆ゾンビになりやがって』と熊虎は、焦りとあまりにも酷い状況に苛立ちを覚え、仲間に八つ当たりをする。
『こんなホウキなどでは武器にならん』と仲間に武器を探して来いと命令をする。
ついに、そんな熊虎の態度に嫌気をさした仲間は、頃合いをみて熊虎から逃げる計画をたてる。
『おい! お前ら北側の階段から、ゾンビが来たぞ! 早く戦え』と熊虎が指図をすると仲間は熊虎を置いて一目散に逃げ出した。
『畜生、あいつ等、覚えてやがれ………』
その頃、紅組の日乃出は窮地に追い込まれていた。
『日乃出様は、我が希望の光、私めが必ず守ります』と震える手でモップを握り締めた日乃出の側近、剣道部の凪山照美がゾンビと戦っていた。
そこに息を荒げ見覚えのあるゾンビをが徐々に近寄ってくる。
肩が、はずれたかの様に両腕をぶらーんと垂らしたゾンビが凪山に迫る。
『嘘でしょ……香菜』凪山の前に現れたゾンビは彼女と小さな頃からの親友、香野香菜であった。
『お願いやめて……香菜』と凪山は戦うのやめモップを置いた。
そんな親友の凪山の願いが通じたのか、香菜は急に大人しくなり凪山を見つめる。
『……ありがとう香菜』と囁やき、涙を浮かべ凪山は香菜をギュッと抱きしめる。
しかし、しばらく経っても佇む、ふたりに日乃出は異変を感じ、そっと近づいてみる。すると香菜と凪山が立っているその床にポタリポタリと赤い液体が垂れ落ちていた。
『うわぁーー』思わず日乃出は引きつった声をあげその場に腰をつく。
ゾンビになった香菜の歯が、凪山の首元に深く食い込み……
それは、まるでライオンに喰われたシマウマの様に徐々に肉が引きちぎられていく。
凪山が、意識朦朧とかすれた声で何か囁いている。
『痛い……助けて日乃出様』と……。
更にゾンビ香菜は、凪山から食いちぎった体の一部を口にぶら下げながら、日乃出の方へ迫ってきた。
日乃出の金切り声が校内に反響する。その声を聞き、反応した周辺のゾンビも迫ってくる。
恐怖と仲間の無惨な姿を目の当たりにした日乃出は、足がすくみ固まり動けなくなる。
『お母様……助けて下さい』
ゾンビに囲まれる日乃出は、絶体絶命の危機を迎える。
『ゴンッ』その時、鈍い音と共にゾンビの頭部だけが日乃出の足元へ転がってきた。
『日乃出……大丈夫か!』その声のする方へ日乃出は顔を向けるとそこには金属バットを手にした熊虎の姿があった。
「ありがとう熊虎、助かりましたわ」
「なぁ日乃出……俺にいい考えがある」
『クソッタレ、皆ゾンビになりやがって』と熊虎は、焦りとあまりにも酷い状況に苛立ちを覚え、仲間に八つ当たりをする。
『こんなホウキなどでは武器にならん』と仲間に武器を探して来いと命令をする。
ついに、そんな熊虎の態度に嫌気をさした仲間は、頃合いをみて熊虎から逃げる計画をたてる。
『おい! お前ら北側の階段から、ゾンビが来たぞ! 早く戦え』と熊虎が指図をすると仲間は熊虎を置いて一目散に逃げ出した。
『畜生、あいつ等、覚えてやがれ………』
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そこに息を荒げ見覚えのあるゾンビをが徐々に近寄ってくる。
肩が、はずれたかの様に両腕をぶらーんと垂らしたゾンビが凪山に迫る。
『嘘でしょ……香菜』凪山の前に現れたゾンビは彼女と小さな頃からの親友、香野香菜であった。
『お願いやめて……香菜』と凪山は戦うのやめモップを置いた。
そんな親友の凪山の願いが通じたのか、香菜は急に大人しくなり凪山を見つめる。
『……ありがとう香菜』と囁やき、涙を浮かべ凪山は香菜をギュッと抱きしめる。
しかし、しばらく経っても佇む、ふたりに日乃出は異変を感じ、そっと近づいてみる。すると香菜と凪山が立っているその床にポタリポタリと赤い液体が垂れ落ちていた。
『うわぁーー』思わず日乃出は引きつった声をあげその場に腰をつく。
ゾンビになった香菜の歯が、凪山の首元に深く食い込み……
それは、まるでライオンに喰われたシマウマの様に徐々に肉が引きちぎられていく。
凪山が、意識朦朧とかすれた声で何か囁いている。
『痛い……助けて日乃出様』と……。
更にゾンビ香菜は、凪山から食いちぎった体の一部を口にぶら下げながら、日乃出の方へ迫ってきた。
日乃出の金切り声が校内に反響する。その声を聞き、反応した周辺のゾンビも迫ってくる。
恐怖と仲間の無惨な姿を目の当たりにした日乃出は、足がすくみ固まり動けなくなる。
『お母様……助けて下さい』
ゾンビに囲まれる日乃出は、絶体絶命の危機を迎える。
『ゴンッ』その時、鈍い音と共にゾンビの頭部だけが日乃出の足元へ転がってきた。
『日乃出……大丈夫か!』その声のする方へ日乃出は顔を向けるとそこには金属バットを手にした熊虎の姿があった。
「ありがとう熊虎、助かりましたわ」
「なぁ日乃出……俺にいい考えがある」
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