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ep1 春木甲馬
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雨音が、次第に激しさを増す。
ブランコが風に吹かれ揺れ、茶色く濁った溜まり水から起き上がり、ずぶ濡れの学生服から、濁水を流しながら春木甲馬は言った。
「たまには自然のシャワーも良いよね」
傘にあたる雨音が複数の笑い声を打ち消した。
「コウマちゃん……やり直しだ! シャワーは、やっぱ裸だ」
『ウケる――。熊虎君、マジ最高』と笑いをとり何とか危機を脱した甲馬であったが……。
『良かった……』
裸で水溜まりに入らなくて済んだ甲馬は、ホットした顔をみせる。
だがしかし彼は、そんなに甘くは無かった。
「じゃあ罰として、地面に溜まった水をの飲め。そしたらシャワーは許したる」
「いや……でも、それは流石に……」
次第に彼の顔が強ばっていく。
『いいから飲め!』と突き倒され甲馬の顔は水溜まりに沈んでいった。
「やべぇ――遅刻するぜ。甲馬! 先に行ってるからな。絶対に飲めよ」と甲馬をあざ笑い、やつらはその場を去っていた。
独りになった甲馬は水溜りの水は流石に飲まなかったが、雨と混ざり滝の如く流れ落ちる涙が口の中に流れ込むのであった。
この時、甲馬は心に決めたのであった。
『この屈辱の味は絶対に忘れない』と……。
この日、甲馬は学校を休んだ。もちろん親にはナイショだ……話したくても父は、この世にいないし、母は刑務所の中だ。
今、甲馬は父方の祖母と身を隠すように密かに暮らしている。
次の日、何事もなかった様に甲馬は登校した。
春木甲馬、高校一年の甲馬の学校生活は、まず自分の上履き探しから始まる。
『今日は難易度高くねぇ……』
――ゴミ箱は、定番過ぎて面白くない。
女子更衣室は流石に勘弁。あと鉄板は、やはりトイレかな。
『あった良かった』見つかった場所は男子トイレの床下点検口の中であった。
次いでにジャージに着替え意気揚々と教室へ入る甲馬。
「今日の上履きの隠し場所は、超絶難易度高かったよ――。でも僕は見つけたぜ『名探偵甲馬』と呼んでくれ」
誰も振り向く事もなく、愛想笑いしながら甲馬は席に向かった。
そうして何事も無かった様に、甲馬は席に着き俯く。机に強く握りしめた両手をおき、奥歯を強く噛みしめた。
『あの時に戻りたい……』
甲馬は中学までは、超が付くほどの人気者であった。
その理由は甲馬の母が、テレビに引っ張りだこの有名、霊媒占い師だったからだ。
学校の敷地より広い庭に建つ、宮殿のような家に住み、数え切れない程の信者に囲まれ、その中で甲馬は神の子として生きてきた。
ブランコが風に吹かれ揺れ、茶色く濁った溜まり水から起き上がり、ずぶ濡れの学生服から、濁水を流しながら春木甲馬は言った。
「たまには自然のシャワーも良いよね」
傘にあたる雨音が複数の笑い声を打ち消した。
「コウマちゃん……やり直しだ! シャワーは、やっぱ裸だ」
『ウケる――。熊虎君、マジ最高』と笑いをとり何とか危機を脱した甲馬であったが……。
『良かった……』
裸で水溜まりに入らなくて済んだ甲馬は、ホットした顔をみせる。
だがしかし彼は、そんなに甘くは無かった。
「じゃあ罰として、地面に溜まった水をの飲め。そしたらシャワーは許したる」
「いや……でも、それは流石に……」
次第に彼の顔が強ばっていく。
『いいから飲め!』と突き倒され甲馬の顔は水溜まりに沈んでいった。
「やべぇ――遅刻するぜ。甲馬! 先に行ってるからな。絶対に飲めよ」と甲馬をあざ笑い、やつらはその場を去っていた。
独りになった甲馬は水溜りの水は流石に飲まなかったが、雨と混ざり滝の如く流れ落ちる涙が口の中に流れ込むのであった。
この時、甲馬は心に決めたのであった。
『この屈辱の味は絶対に忘れない』と……。
この日、甲馬は学校を休んだ。もちろん親にはナイショだ……話したくても父は、この世にいないし、母は刑務所の中だ。
今、甲馬は父方の祖母と身を隠すように密かに暮らしている。
次の日、何事もなかった様に甲馬は登校した。
春木甲馬、高校一年の甲馬の学校生活は、まず自分の上履き探しから始まる。
『今日は難易度高くねぇ……』
――ゴミ箱は、定番過ぎて面白くない。
女子更衣室は流石に勘弁。あと鉄板は、やはりトイレかな。
『あった良かった』見つかった場所は男子トイレの床下点検口の中であった。
次いでにジャージに着替え意気揚々と教室へ入る甲馬。
「今日の上履きの隠し場所は、超絶難易度高かったよ――。でも僕は見つけたぜ『名探偵甲馬』と呼んでくれ」
誰も振り向く事もなく、愛想笑いしながら甲馬は席に向かった。
そうして何事も無かった様に、甲馬は席に着き俯く。机に強く握りしめた両手をおき、奥歯を強く噛みしめた。
『あの時に戻りたい……』
甲馬は中学までは、超が付くほどの人気者であった。
その理由は甲馬の母が、テレビに引っ張りだこの有名、霊媒占い師だったからだ。
学校の敷地より広い庭に建つ、宮殿のような家に住み、数え切れない程の信者に囲まれ、その中で甲馬は神の子として生きてきた。
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