女教師・潤〜絶望の寝取られ教師〜

神宮寺灯

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悠真

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潤が勤めている高校は私立ということもあり、部活動の指導は基本的にプロの指導者が行っていた。

部活動の担当がないので、教師たちは授業のない日曜日を比較的ゆっくり過ごすことができる。



土曜の学校終わり。
潤は愛車を運転し、勤務先の学校から離れた山奥にドライブに来ていた。
まだ昼過ぎで、春めいてきた日差しがフロントガラスから差し込み、気持ちがいい。


「ねぇ、どっちが好き?」
隣に座る、まだあどけなさが残るものの、精悍な顔つきをした少年が両手にそれぞれペットボトルを持ち、信号待ちをしている隙に尋ねてきた。

彼の名前は、永田悠真。
潤が勤める高校に通う、学生である。

潤は、自身の教え子と付き合っていた。

悠真との出会いは今から2年ほど前、悠真が入学した直後のことである。
副担任として受け持ったクラスで出会った。

一目でお互いが恋に落ちたことを理解したが、自分は教師であるという強い気持ちが、潤の心を抑えつけていた。


しかし、若い悠真は真っ直ぐ、その恋心を告白してきた。
熱烈なアプローチに、初めこそ拒否を示していた潤だったが、生まれて初めて心が温かくなるのを感じていた。

誰かに真剣に愛されるというのは、こんなにも幸せなことなのか。
いけないこととは思いつつ、潤は、悠真の恋心を受け入れてしまった。

その後は、絶対に誰にも知られないよう、お互い細心の注意を払ってデートを重ねた。

潤が運転する車で、地元から離れたところで待つ悠真を迎えに行き、ドライブデートを楽しむことが多かった。

しかし、身体の関係は、悠真が卒業するまでは持たないということを約束していた。



今日のデートは、悠真のリクエストだった。
これからの受験勉強の景気付けに、どうしても泊まりがけでどこかに行きたいと駄々をこねられた。

悠真の成績は悪いものではない。
入学時から学年上位の成績を維持している。
そんなよく出来た、普段は絶対にわがままを言わない教え子兼恋人のわがままに、潤は折れた。

悠真は成績が良いこともあって、両親から勉強について口煩く言われたことは生まれてこの方ないという。

1年次から単位の1つとして受けさせられる外部模試の成績も悪くないため、これから本格化する受験勉強の英気を養うためといって一人旅を願い出たところ、悠真の両親はすぐに許可を出した。
そして悠真は、大手を振って隣の県にある山奥の旅館を予約していた。

「ねぇ、どっちがいい?」
先ほどコンビニで買い込んだ飲み物の希望を聞いてくる悠真に、視線を前方に向けたまま、どっちでもいいよと答える潤。

少し考えて、自分が飲みたい方を決めた悠真は、自分が選ばなかった方の飲み物の蓋を開け、ストローをさし、ドリンクホルダーに入れた。

しっかりしすぎなくらいしっかりしている悠真に、男性としてももちろん好意をもっているが、年下のこの恋人を甘やかしてあげたいという、母性のような気持ちもあった。


宿に着き、チェックインを行う。
悠真が率先してフロントに行くが、明らかに若い男性と、アラフォー女の組み合わせに、無遠慮な視線が注がれる。

ーー今私たちはどんな関係にみられているのかしら



部屋に案内された後は、旅館の露天風呂を堪能した。
出された豪華な夕食にも二人で舌鼓をうった。

途中遠回しに関係を聞いてきた仲居に、悠真は「姉弟」とあっさり嘘をついた。
もうすぐ結婚してしまう歳の離れた姉と、旅行にきたと。
その嘘に、少し傷ついている自分がいることに、潤は心の中で呆れていた。

ーーなに傷ついているの、潤。私たちの関係は絶対に秘密なのよ
そう自分に言い聞かせた。


その夜、いつになく改まった様子で、悠真が話し出した。

「次来るときは、姉なんて嘘をつかなくてよくしよう。受験勉強がんばって、両親がいう大学にちゃんと進学する。だから……これはオレの覚悟だと思って受け取ってください。僕と、結婚してください」

そういうと、徐にリングケースを取り出し、蓋を開けた。

「……どうしたの、これ?」
「小さい頃から貯めてた貯金をおろした。あと、冬休みに少しだけアルバイトもした」

あまりの驚きに返事が出来ないでいる潤。

「先生の立場があるから、普段指輪は付けられないと思うけど……今だけ……今だけ指に嵌めてもらえないかな……?」
今にも泣き出しそうな笑顔で尋ねられ、思わず潤の目にも涙が溢れた。

「はい……!」

潤は左手を差し出し、悠真は潤の薬指に指輪を嵌めた。
そして、2人はその日、初めて身体を重ねた。

褥で重ねられる2人の手。
潤の薬指の指輪はキラキラと輝いていた。

この日、潤と悠真は、ずっと守ってきた大切な約束を破ってしまったのだった。

あまり快感を覚えることはなかったが、潤の心は幸せで満たされていた。
この幸せは、あと少し耐えれば報われるのだと、2人とも信じて疑わなかった。


この幸せな日を、後悔する日がやってくるとは、潤も悠真も、知る由もなかった。
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