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2.私の家

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学校を出ると、そのまま駅に向かう。
あの二人はもういないようだ。
駅にはたくさんのお店が出ている。
そこで好きなスイーツを買って帰るのが日課なのだ。
スイーツこそが唯一の癒しともいえる。
スイーツでストレスを発散するのだ。
駅はとてもきらびやかだ。
沢山のお洒落なお店に、沢山の人。
確かに目的の一つはスイーツだが、駅で買い物をすることで、なんか自分が一人前の女性になれる、自分の灰色の人生が少しだけ明るくなる、そんな気がするのだ。
まあ、独りということは悲しいけれど。

結局散々迷った結果、苺大福と、新作のみかん大福にした。
マカロンとかケーキとか洋菓子も好きだけれど、和菓子も好きだ。
プラスの気分の日は洋菓子、マイナスの気分の日は和菓子。
私はこう考えている。
だから、今日は和菓子。
そして、電車に乗る。一時間かけて、やっと電車はとある田舎町に止まる。
ここが私の最寄り駅だ。
いい和菓子を手に入れたことに対する喜びと早く食べたいという思いで、スキップして帰る。
家の前の坂を駆け上ると
「今日もいるよ……。」
家の壁や門に落書きしている高校生が五人も……。
もう既に落書きだらけの壁に、赤いスプレーで「出ていけ!」と書く。
その高校生は私に気が付くと
「殺人鬼の娘がこの町にいんじゃねえよ。」
そうののしる。ゴミを投げる。石を投げる。
いつものことだが、その度にいたたまれなくなって私は逃げ出すのだ。
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