107 / 108
第7章 ラッハザーク
89. 地底湖のワナ
しおりを挟む
ササラの魔法で光の灯った洞窟を先へ先へと足を運ぶその先は……どのくらいの道のりを奥深く、そして歩みを進めたのだろうか。
灯りはあるものの天井から滴る水に泥濘んで道が悪いのは否めない。スライムといった魔物等もちらほら現れてくる薄暗いダンジョン……
スライムのような液体の魔物にはシェリルとティレニアの魔法に加えて、しっかりと体を持つ獣の魔物はアルヴィスの剣が引き裂き、そして見事に連携して遭遇した魔物をさばいていく。ササラは皆の身体をいたわりながら最適な調薬をヴァルに守られながら進めていく。
天井から湧き出ている雫が背に降り注ぐと、ビクリと身体を震わすササラにアルヴィスがそっと手を添える。そんな気配りにホッとした顔をのぞかせているササラがいたのだった。
………………
どのくらいの時間が経過しただろうか……先の見えない一本道かと思いきや、突如現れた空間の先には三つの道が現れ広がっている。
恐らくこういった分岐点が多数存在し地底湖に向かう者を選定、よそ者をふるいにかけているようにも思う。
三つの道には灯りは今現在灯されてはいないが空気を鼻で吸いながら、ため息混じりに何かに反応しているのは飛翼族のシェリルだ。
スンスンスン……
【うむ……左の道は途中で道が途絶えておるようじゃな。空気が途切れておる! これはハズレじゃな。中央と右はどこまでもつづいておるようじゃが……なんじゃ……この二つは?気持ちが悪いのぅ……】
「シェリルはなぜ道が途切れてるのがわかるにゃ?」
【それはじゃな……】
シェリルによると洞窟内でも空気の流れは外と変わらず必ずしも流れがあり、風の流れが途絶えたりしないのだという。しかし左の道は途絶えているため行き止まりだ。ただ、残りの二つの道にも何か歪みというよりも何かが直感で引っかかっている様子のシェリル。
言葉では言い表せない気持ちの悪さに、顔が引きつっている状態の飛翼族の直感はあながちスルーする事案ではない事はティレニアがよく知っている。飛翼族も天翼族も直感は当たることが多いためだ。
シェリルの言葉を踏まえ、一行は中央と右でどちらかと相談しようとしたところ……タタタッとササラが二つの道の間に立ちながら天井に向けて杖を掲げている。
「ササラ?」
「どうしたんだ急にそんなところに立って……」
急にどうしたというのだろう。どうしたの? と近寄り声をかけようとしたティレニアの前でササラが魔法を使用し始めた。
「(道がわからないのにゃ……みんなが迷わず正しい道に行きたいのにゃ……杖さん頼むにゃ!)」
「ピオリナが一族ササラ。地底湖まで正しい道を導け!」
ゴゴゴッ……
パパパパッ……
「うそっ⁉」
「これは‼新たな道が現れた!」
なんと、ササラの魔法に反応したのは三つの道とは全く違う別の第四の道が現れ、道が開けたのだった。あっという間に新しい道が開けたのには驚きを隠せない。
先程の三つの道は相変わらずあるのだが、新たにできた道には光が奥までササラの魔法により灯されていく。
おそらくこれが正しい道……この不思議な状況にササラがなぜ魔法を唱えたのか気になったのはアルヴィスだ。
アルヴィスはいつもパーティの後ろにいて補助的な役割のササラが前に出て行動したことに不思議と口が開いたようだ。ササラはフイッとアルヴィスの方に顔をむけて口を開く。
「ササラはなんでその魔法を唱えたんだ?」
「三つの道は……ササラが道を眺めると背筋が凍るような怖さがあったにゃ。今でもピリピリした感覚が尻尾に残ってるのにゃ。あるべき道はこの三つとは違うんじゃないか……だからもしかしたらこの杖が正しい道を知ってるかもしれないと思って使ってみたにゃ」
ピリピリッ……
ふいにアルヴィスがササラの尻尾に目を向けると緊張しているようにも見えるが毛先まで尻尾は逆だっている。
今まで見たこともない状態にこれは獣人がゆえにかなり何かに警戒しているように思えた。
〘ササラは……狐人は種族的に警戒心が優れた一族ゆえ……このまやかしを見抜けたのかもしれぬな……〙
攫われる事や一瞬の判断ミスは死を意味する、そんな一族だからこその直感……アルヴィスは感心しながらササラの頭に手を触れて撫でてやる。
「よくやったササラ。これで安全に道に迷わずに進める。ありがとな」
ササラはアルヴィスがわしゃっと頭を撫でる手にそっと手を添えてニコッと笑顔を浮かべている。心地よさそうなその光景、その姿にティレニアは驚きを隠せない。
「狐人が……人間にあれ程心を寄せるなんて……フィーネは特別としても、アルヴィスって一体何者なんでしょうか……」
異世界からやってきて命の恩人であるフィーネならいざしらず、こちらの世界の人間がなぜ? と首を傾げているティレニアにヴァルが口を開く。
〘アルヴィスは精霊に好かれた一族の末裔だからな……精霊を大切にしてきた狐人やこのラッハザークに住む獣人はフィーネ同様心地よいのだろう……〙
ヒィンッ……
アルヴィスのリストリングが淡く輝いたように見える。まるで精霊達が喜んでいるような温かい煌めき。精霊達が認めている懐の深いアルヴィスに少し興味を持ち始めたティレニア。
と、ササラが導いてくれた道に足を踏み入れ、そしてみんなが通過するとともに来た道へのが退路塞がる。
ゴゴゴッ……
「道がっ!塞がれた!」
突然後ろの道が塞がれはするが光は消えずに今の道の先まで灯っている。道が塞がれ動揺しているが少しすると地響きと共に洞窟が揺れている。
何なんだ? とひとかたまりになる一行にピクッと反応するのはシェリルだ。
ゴゴゴゴ…………
ピクッ!
【これは! ササラ……お主は命の恩人だな! これを見つけてくれなければワシらは今全滅してたやもしれぬな……】
「シェリル?この揺れは何なのにゃ!怖いのがいっぱいにゃ!」
【これを見てみるがいいのじゃ!】
シェリルはもしもの時の為に迷ってしまった時の為に、道に魔法で何やら細工をしていたようだ。その細工をした場所の映像が見られるように仕掛けたものをみせてくれる。
「これは⁉魔物の群れ!」
「モンスターパレード‼」
「一体どこから出てきたんだ⁉」
そう……そこに映し出されたのは先程の道におびただしい魔物の群れが溢れかえっており、逃げ場がないほどの多種の魔物達が入り乱れ溢れる『通称モンスターパレード』。
正気ではない魔物達が一気にその場を駆け巡る……殺気漂うこの光景に先程の気持ち悪い直感の答えがでていた。
もし先程の二つの道に間違って歩みを進めていたら……今頃このモンスターパレードに挟み撃ちにされ、この群れの中に見を投じていたのだ。こうなれば身体は八つ裂きに引き裂かれ、魔物に玩具にされたあげくに喰われていただろう……
(ゾクッ!)
一行は道の選択には慎重にと……さらに気を引き締めて灯りの先へと歩んでいく。
その後もいろんな道を歩むのだが最終的に一本道を進むとそこは開けた空間に繋がっていた。
そこには灯りが……というよりも湖のような広い場の水自体が光をたたえていて灯りなどが全く必要がない空間になっていた。湖の中を恐る恐る覗いてみるとその湖は変わったものがたくさんあったのだった。
「なんだこれは? 湖の中に建物がある……」
「不思議な生き物がいっぱいにゃ」
湖の中には彩とりどりの魚や草木、そして動植物も多々自生している。そして一番衝撃だったのは奥深くにある神殿のような建物だ。こんなところに建物とは何かが住んでいたのだろうか……。
アルヴィスが湖に近寄り水を触るとやはりモスリーン達の言うようにお湯のように温かい水。
火山の地下熱で温められたこの湖は温泉のようでもあるが、地上と違っているのはこの環境でも生きている植物や魚たちには驚きである。
「……この魚って食えるのかな?」
【はぁ?なんじゃおぬし……】
「アルヴィス?」
突然のつぶやきにティレニアやシェリルは口を開いて唖然としている。湖を目の前にしてコイツ何言ってるんだと。だが、にゃっと笑いながらもアルヴィスに笑いながら声かけるのはササラだ。
「アルヴィスはフィーネみたいだにゃ!」
「………なんでフィーネがでてくるんだ……」
確かにあいつがいたら……やれ魚釣りだ!キャンブだ!魚焼けたから食べて! などとはしゃいでいるに違いない。いつの間にかフィーネに感化されていたアルヴィスにヤレヤレと思いながら指を指しながら湖を見る様に話すヴァル。
〘アルヴィス……神聖な魚達……この湖の眷属に……そのような口を利くと喰われることになるぞ……奴らはニンゲンの言葉を理解するし……あ奴等もこちらに気づいている……口の聞き方には気をつけるんだな……〙
「おぃおぃ……ヴァルそういう事は早く言ってもらいたかったな!」
ヴァルの言葉に湖内を見ると中から魚の群れが集まりだしていた。
ゴゴゴッ……
それは大きな渦となりそして一気に湖面から突上げ水が浮き上がりながらまとまった水が盛り上がりそして割れる!
その水の中から現れたのは透き通るような水色の長い髪を持ち上半身は人間、下半身は魚のようなヒレを持つ美しい人魚だった!
灯りはあるものの天井から滴る水に泥濘んで道が悪いのは否めない。スライムといった魔物等もちらほら現れてくる薄暗いダンジョン……
スライムのような液体の魔物にはシェリルとティレニアの魔法に加えて、しっかりと体を持つ獣の魔物はアルヴィスの剣が引き裂き、そして見事に連携して遭遇した魔物をさばいていく。ササラは皆の身体をいたわりながら最適な調薬をヴァルに守られながら進めていく。
天井から湧き出ている雫が背に降り注ぐと、ビクリと身体を震わすササラにアルヴィスがそっと手を添える。そんな気配りにホッとした顔をのぞかせているササラがいたのだった。
………………
どのくらいの時間が経過しただろうか……先の見えない一本道かと思いきや、突如現れた空間の先には三つの道が現れ広がっている。
恐らくこういった分岐点が多数存在し地底湖に向かう者を選定、よそ者をふるいにかけているようにも思う。
三つの道には灯りは今現在灯されてはいないが空気を鼻で吸いながら、ため息混じりに何かに反応しているのは飛翼族のシェリルだ。
スンスンスン……
【うむ……左の道は途中で道が途絶えておるようじゃな。空気が途切れておる! これはハズレじゃな。中央と右はどこまでもつづいておるようじゃが……なんじゃ……この二つは?気持ちが悪いのぅ……】
「シェリルはなぜ道が途切れてるのがわかるにゃ?」
【それはじゃな……】
シェリルによると洞窟内でも空気の流れは外と変わらず必ずしも流れがあり、風の流れが途絶えたりしないのだという。しかし左の道は途絶えているため行き止まりだ。ただ、残りの二つの道にも何か歪みというよりも何かが直感で引っかかっている様子のシェリル。
言葉では言い表せない気持ちの悪さに、顔が引きつっている状態の飛翼族の直感はあながちスルーする事案ではない事はティレニアがよく知っている。飛翼族も天翼族も直感は当たることが多いためだ。
シェリルの言葉を踏まえ、一行は中央と右でどちらかと相談しようとしたところ……タタタッとササラが二つの道の間に立ちながら天井に向けて杖を掲げている。
「ササラ?」
「どうしたんだ急にそんなところに立って……」
急にどうしたというのだろう。どうしたの? と近寄り声をかけようとしたティレニアの前でササラが魔法を使用し始めた。
「(道がわからないのにゃ……みんなが迷わず正しい道に行きたいのにゃ……杖さん頼むにゃ!)」
「ピオリナが一族ササラ。地底湖まで正しい道を導け!」
ゴゴゴッ……
パパパパッ……
「うそっ⁉」
「これは‼新たな道が現れた!」
なんと、ササラの魔法に反応したのは三つの道とは全く違う別の第四の道が現れ、道が開けたのだった。あっという間に新しい道が開けたのには驚きを隠せない。
先程の三つの道は相変わらずあるのだが、新たにできた道には光が奥までササラの魔法により灯されていく。
おそらくこれが正しい道……この不思議な状況にササラがなぜ魔法を唱えたのか気になったのはアルヴィスだ。
アルヴィスはいつもパーティの後ろにいて補助的な役割のササラが前に出て行動したことに不思議と口が開いたようだ。ササラはフイッとアルヴィスの方に顔をむけて口を開く。
「ササラはなんでその魔法を唱えたんだ?」
「三つの道は……ササラが道を眺めると背筋が凍るような怖さがあったにゃ。今でもピリピリした感覚が尻尾に残ってるのにゃ。あるべき道はこの三つとは違うんじゃないか……だからもしかしたらこの杖が正しい道を知ってるかもしれないと思って使ってみたにゃ」
ピリピリッ……
ふいにアルヴィスがササラの尻尾に目を向けると緊張しているようにも見えるが毛先まで尻尾は逆だっている。
今まで見たこともない状態にこれは獣人がゆえにかなり何かに警戒しているように思えた。
〘ササラは……狐人は種族的に警戒心が優れた一族ゆえ……このまやかしを見抜けたのかもしれぬな……〙
攫われる事や一瞬の判断ミスは死を意味する、そんな一族だからこその直感……アルヴィスは感心しながらササラの頭に手を触れて撫でてやる。
「よくやったササラ。これで安全に道に迷わずに進める。ありがとな」
ササラはアルヴィスがわしゃっと頭を撫でる手にそっと手を添えてニコッと笑顔を浮かべている。心地よさそうなその光景、その姿にティレニアは驚きを隠せない。
「狐人が……人間にあれ程心を寄せるなんて……フィーネは特別としても、アルヴィスって一体何者なんでしょうか……」
異世界からやってきて命の恩人であるフィーネならいざしらず、こちらの世界の人間がなぜ? と首を傾げているティレニアにヴァルが口を開く。
〘アルヴィスは精霊に好かれた一族の末裔だからな……精霊を大切にしてきた狐人やこのラッハザークに住む獣人はフィーネ同様心地よいのだろう……〙
ヒィンッ……
アルヴィスのリストリングが淡く輝いたように見える。まるで精霊達が喜んでいるような温かい煌めき。精霊達が認めている懐の深いアルヴィスに少し興味を持ち始めたティレニア。
と、ササラが導いてくれた道に足を踏み入れ、そしてみんなが通過するとともに来た道へのが退路塞がる。
ゴゴゴッ……
「道がっ!塞がれた!」
突然後ろの道が塞がれはするが光は消えずに今の道の先まで灯っている。道が塞がれ動揺しているが少しすると地響きと共に洞窟が揺れている。
何なんだ? とひとかたまりになる一行にピクッと反応するのはシェリルだ。
ゴゴゴゴ…………
ピクッ!
【これは! ササラ……お主は命の恩人だな! これを見つけてくれなければワシらは今全滅してたやもしれぬな……】
「シェリル?この揺れは何なのにゃ!怖いのがいっぱいにゃ!」
【これを見てみるがいいのじゃ!】
シェリルはもしもの時の為に迷ってしまった時の為に、道に魔法で何やら細工をしていたようだ。その細工をした場所の映像が見られるように仕掛けたものをみせてくれる。
「これは⁉魔物の群れ!」
「モンスターパレード‼」
「一体どこから出てきたんだ⁉」
そう……そこに映し出されたのは先程の道におびただしい魔物の群れが溢れかえっており、逃げ場がないほどの多種の魔物達が入り乱れ溢れる『通称モンスターパレード』。
正気ではない魔物達が一気にその場を駆け巡る……殺気漂うこの光景に先程の気持ち悪い直感の答えがでていた。
もし先程の二つの道に間違って歩みを進めていたら……今頃このモンスターパレードに挟み撃ちにされ、この群れの中に見を投じていたのだ。こうなれば身体は八つ裂きに引き裂かれ、魔物に玩具にされたあげくに喰われていただろう……
(ゾクッ!)
一行は道の選択には慎重にと……さらに気を引き締めて灯りの先へと歩んでいく。
その後もいろんな道を歩むのだが最終的に一本道を進むとそこは開けた空間に繋がっていた。
そこには灯りが……というよりも湖のような広い場の水自体が光をたたえていて灯りなどが全く必要がない空間になっていた。湖の中を恐る恐る覗いてみるとその湖は変わったものがたくさんあったのだった。
「なんだこれは? 湖の中に建物がある……」
「不思議な生き物がいっぱいにゃ」
湖の中には彩とりどりの魚や草木、そして動植物も多々自生している。そして一番衝撃だったのは奥深くにある神殿のような建物だ。こんなところに建物とは何かが住んでいたのだろうか……。
アルヴィスが湖に近寄り水を触るとやはりモスリーン達の言うようにお湯のように温かい水。
火山の地下熱で温められたこの湖は温泉のようでもあるが、地上と違っているのはこの環境でも生きている植物や魚たちには驚きである。
「……この魚って食えるのかな?」
【はぁ?なんじゃおぬし……】
「アルヴィス?」
突然のつぶやきにティレニアやシェリルは口を開いて唖然としている。湖を目の前にしてコイツ何言ってるんだと。だが、にゃっと笑いながらもアルヴィスに笑いながら声かけるのはササラだ。
「アルヴィスはフィーネみたいだにゃ!」
「………なんでフィーネがでてくるんだ……」
確かにあいつがいたら……やれ魚釣りだ!キャンブだ!魚焼けたから食べて! などとはしゃいでいるに違いない。いつの間にかフィーネに感化されていたアルヴィスにヤレヤレと思いながら指を指しながら湖を見る様に話すヴァル。
〘アルヴィス……神聖な魚達……この湖の眷属に……そのような口を利くと喰われることになるぞ……奴らはニンゲンの言葉を理解するし……あ奴等もこちらに気づいている……口の聞き方には気をつけるんだな……〙
「おぃおぃ……ヴァルそういう事は早く言ってもらいたかったな!」
ヴァルの言葉に湖内を見ると中から魚の群れが集まりだしていた。
ゴゴゴッ……
それは大きな渦となりそして一気に湖面から突上げ水が浮き上がりながらまとまった水が盛り上がりそして割れる!
その水の中から現れたのは透き通るような水色の長い髪を持ち上半身は人間、下半身は魚のようなヒレを持つ美しい人魚だった!
0
お気に入りに追加
1,520
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
敗北ルートが悲惨すぎる悪役令嬢の飼い猫に転生しました~ご主人様は天使なので絶対破滅させません~
砂礫レキ
ファンタジー
彼氏いない歴イコール年齢のアラサー。趣味は乙女ゲーとネットの完全インドア女。それが生前の私だった。
ある日、飛び降りた人間の下敷きになって死んだ私は何故かニッチな乙女ゲー世界に子猫として転生した。
困っていたところを心優しい美少女に拾われて飼われることになる。
この天使な女の子の正体は悪役令嬢のベアトリス。
数年後にヒロインである義妹に婚約者を奪われて自殺をする運命にあるキャラクターだ。
そう、この乙女ゲーはヒロインが他の女性キャラクターからパートナーのイケメンを略奪する極悪仕様だったのだ。
ご主人様の悲惨な運命を回避するべく元人間な猫の奮戦が今始まる。モフリもあるよ!
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜
丸手音狐
ファンタジー
★男性HOTランキングトップ10位入達成
★小説家になろう注目度ランキング9位
特に何の才能もない高校生の東雲ハルトはいつも通り教室で座っていると強い光に包まれる。
気づけばそこは見知らぬ世界――異世界だった。
クラス転移をしたハルト達は謎の長老からスキルを駆使して魔の災害から世界を救って欲しいと頼まれる。
そしてお待ちかねのスキルが公開されたのだがクラスの中で唯一ハルトだけがスキルを持っていなかった。
それが原因で何もすることができなかったハルトはある時結華を救う事になるのだが負傷したハルトは見捨てられてしまい露頭に迷うことになる。
そんなハルトは森の中で最後の魔女――シノに出会う。
シノはハルトに魔力を源とする魔法という力を分け与えた。
そしてハルトは貰った魔法を駆使して次から次に現れる敵達と戦うことに。
しかし分け与えられた魔法はすぐに力の限界を迎える事になってしまう。
魔法を強くする方法はただひとつ。
最後の魔女であるシノと愛し合う事。
だがこれまで恋愛をしたことがないハルトは愛を知らずどうすれば言いのかと奮闘することになる。
ハルトが愛を見つけた時、世界が新たな時代へと動き出す。
これはクラス転移したがスキルがなく使い物にならず見放されたハルトが最後の魔女のシノと出会い最強に成り代わる物語である。
小説家になろう様、カクヨム様でも連載中です。
先行配信に関しては小説家になろう様で行っています。
あれ?なんでこうなった?
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、正妃教育をしていたルミアナは、婚約者であった王子の堂々とした浮気の現場を見て、ここが前世でやった乙女ゲームの中であり、そして自分は悪役令嬢という立場にあることを思い出した。
…‥って、最終的に国外追放になるのはまぁいいとして、あの超屑王子が国王になったら、この国終わるよね?ならば、絶対に国外追放されないと!!
そう意気込み、彼女は国外追放後も生きていけるように色々とやって、ついに婚約破棄を迎える・・・・はずだった。
‥‥‥あれ?なんでこうなった?
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる