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第4章 バーティミアス
56. アルヴィスとグラン
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リディにアルヴィスとの関係を聞かれたフィーネは、今の率直な気持ちをリディに吐露する。何を聞いているのかはてなな顔のフィーネにリディはもっとわかりやすく深く突っ込む。
「アルヴィスは私の護衛であり私がアルヴィスの護衛だよ? お互いに守ってる存在だからどんな関係って言われても?」
「ちがいますのよフィーネ! アルヴィス皇子とはどのような関係ですの?距離が近いですわ!」
どのような? ……フィーネはふとアルヴィスとの今までの出来事を思い浮かべている。
「んー好きか嫌いかでいうと好き。アルヴィスが側にいてくれると安心するし……たまにちょっとドキッとする存在かな」
少しこそばゆい感じで話すフィーネにリディはフィーネがアルヴィスに何かほんの少し惹かれているのを感じる。鈍感なフィーネが少しでもそんな感情を意識するとは……しかも強制している素振りもまったくない。アルヴィス皇子に、信頼をおいているような存在にリディの目には映って見えた。
「アルヴィス皇子とどんな関係ですの?まさか向こうで婚約したのですか!」
「へっ?婚約⁉違うよ違うっ(汗)アルヴィスは私の騎士として同行してる渡り鳥。立場は一緒だしそんなんじゃないよ(汗)」
フィーネの好きはどうやらまだ恋人や婚約者のような好きではないことを確認するリディ。
一方その頃……
強制的にフィーネの部屋から退場した二人は、そのあしでグランの部屋向かい部屋に入る。グランの部屋では到着するなり、アルヴィスが厳し目に外交の基本を教えるべく指南中だ!アルヴィスは書物を並べてグランに話しかける。
「グラン……まずはじめに初歩的なことを聞くがお前自身は商売には全く手を出してないのか?」
「アルヴィス皇子、私は……」
「あー……その皇子呼びはやめろ! それに他人行儀な敬語もだ! お前も同じ立場なんだからアルヴィスでいい。敬語ばかり使う腹の中がわからんやつは信用できない。そんなのでは商売は成り立たん!」
他人行儀な話し方をするグランにアルヴィスが話を遮りまずは通告する。アルヴィスの言葉に甘えて渋々グランは敬称はなしで進めることに。グランは現在の自分の立ち位置や役割をアルヴィスにはなしはじめる。
「商売は私は未だに全くといって関与していない。陛下がしていて私はどちらかというと騎士団を……騎士を率いる職務をメインに活動しているからな……」
「なぁ……騎士団育成は確かに立派でもあり国を思うなら攻防の要育成は必須ではあるが……お前は今からでも商売を習うべきだな。商売は国を豊かにする。それに……」
「それに?」
グランは歯切れの悪いアルヴィスに聞き返すとビシッと的を得た話をアルヴィスがし始める。
「お前の話を聞いて偏りすぎなんだよ。それに視野は狭すぎる! どうせまともに他国とも外交してないだろうとは思ったがな。さっきの部屋でもそうだ」
「さっきの部屋?フィーネの部屋?」
「そうだ。皇族というより、お前は貴族寄りに染まり過ぎだ! お貴族様のその偏った考え方は偏見をうみ、そして相手が欲しい情報が何なのかわからなくなってしまう。お前は自分の意志で民衆の声に耳を傾けたことがあるのか?」
「……それは……」
「今までのお前の主戦場のお相手はお貴族様だったかもしれんが……商売を身につけるということは対話を習い、腹のさぐりあいに参加し相手を信用させる話術を身につけることにもなる。それは民衆の意思を引き付けることも可能だ。民衆は貴族のソレとは違うからな……貴族なんざ身分でどうとでもできるがお前に必要な次期国王を目指す者なら……商売はお前のさらなる成長が期待できる必須事項だ!」
考え方が頑なでかなり堅苦しいグラン。それは確かにグランの周りで意見を言うのは貴族が多数を占めていた。魔物討伐や騎士の育成がメインで外交は父の国王が行っている。そのため、気がつけば周りには貴族しかいない環境でもあった。そのため……貴族としか城の中でしか交流はない。また貴族以外との対話は確かにあまりしたことがなかった。騎士達も貴族の子息でかためられている。それに……今までの環境が当たり前だと認識している現状……民にふれる機会や外交経験が圧倒的に不足しているグラン。
グランの様子を見ながら何かを考え込んでいたアルヴィスはグランにとある提案をする。
「なぁグラン……お前、オレ達と一緒にカラニペアに行くか?少々長旅になるのだが……」
「えっ? フィーネやアルヴィスはこれからカラニペアに向かうのか?」
アルヴィスの申し出に驚くグラン。まさか行き先がはるか北の島々カラニペアということ、そしてフィーネの旅に同行をアルヴィスに許されるとは思ってもいなかったからだ。
「そもそも……カラニペアに向かうのはフィーネの意向だ。それにいろいろと行くのにも条件もあるしな……」
「条件? その条件とは……」
グランがアルヴィスに尋ねるとアルヴィスは答えてくれた。カラニペアに向かうのはフィーネがカラニペアの『真実の鏡』を手にすることが目的であり、行くのにあたってこの国にいるシオンまたはティレニアの同行……これが必須条件なのだ。
「そもそもグランディールの騎士護衛のシオンが同行するんだ。グランがいても何もおかしな話ではないだろう。それに国交がないカラニペアにツテを作るのはグランディールとしても得策とも言えるんだが……この機会に商売を習う気にはならないか?」
「……わかった。不足している知識を深めるためにもいい機会になるはずだ。シオンの方はこちらで手を回そう。同行させ私も向かう大義名分があれば連れて行ける……それと向こうで商売を実践で教えてくれ」
グランにあらかたの旅の話をしたところで商談成立と……ふとアルヴィスは気になっていたグランへの疑問フィーネの話を直球で投げた。
「なぁグラン。お前フィーネが好きなのか?どこまで進んでるんだ?」
「は⁈ なっ何を急にっ!」
ストレートすぎるアルヴィスの質問にグランが驚きながらも慌てているが……顔は真っ赤でわかりやすい。この反応にニヤけるアルヴィスはいたずらっぽい顔をしている。
「お前らは一体……フィーネとどんな関係なんだ?」
「いやっ関係も何も……守ってやりたい存在でありほっとけないんだ!森の奥深くで暮らしていたフィーネをグランディールに連れてきたのは私だ。だから責任をもって私が守ってやらないといけないと思っているそんな存在だ!」
堅苦しい気持ちの吐露。アルヴィスは義務的だとかなんだとか御託を並べるグランの返答にフッとまだまだ幼いなと笑いながら……まだまだ経験不足とため息をつきながらもまだ質問をやめない。ただこの質問にはグランはすんなり口を開くのだが……どうやら歯切れが悪い。
「お前婚約者は? 皇子なんだ……一人や二人いるのだろう?婚約者候補が。正室に側室は?」
「今はいない……が、陛下が私の為に選定しているようだ。そのうち公爵家や侯爵の縁あるところから縁談の話があると思う……義務だから迎えることには反対はしていない」
皇族である以上……政略結婚も外交の内だが、そこにグランの……自分に意志はないところをみると……アルヴィスからみると典型的に貴族に染まったお貴族様だ。だがそんな様子に呆れているアルヴィスは深いため息をつきながら一言。
「なぁ……女性はお前のその堅苦しい感じは嫌いだと思うがな。お前自身の気持ちがまったくない。まぁ……地位が欲しいだの権限が欲しい強欲な者共からすればかなりいい優良物件だよお前は。素直に従うだけだからな。だが……やはりお前は視野が狭いし勉強不足だ。政治にしても恋愛にしても自分自身の事も……全てにおいてな!」
そう言いながら話が終わったアルヴィスが、今日は終わりだとフィーネの部屋に帰るためグランの部屋の扉を開くと、アルヴィスは振り返りながらグランにストレートに忠告、そして釘を刺す。
「あぁ、言い忘れていたが……先に言っておく! フィーネは俺の女だ。命を捧ぐと騎士の誓い、そしてバーティミアス皇帝公認だ。俺には精霊達の祝福もあるからな。だからこの城で同衾していても何も問題はないし何も言わせない。だからグラン……間違っても俺のフィーネに手を出すなよ」
「なっ⁉ ……アルヴィス! それはどういう……」
急なカミングアウトに衝撃を受けて驚いているグランをよそに、牽制をして後ろ手を振りながらそれ以降何も口にせずにアルヴィスは立ち去っていく。アルヴィスの大胆なフィーネに対する宣言と内容の衝撃のあまり呆然と立ち尽くすグランだった。
一方その頃……
フィーネの部屋ではリディとフィーネはメディアが用意したお茶を飲みながら小さなお茶会と恋バナをしていた。
「フィーネは……以前からお付き合いした殿方はいたんですの?」
「ううん……一度もないかなぁ~正直……元の世界でもそういうのは経験してないから付き合うとか好きとか……あんまりピンとこないんだよね~」
フィーネは男性とのお付き合いや特定の特別な人をもったことはない。それに以前ヴァルから聞いたギャップのあるあの話はなんとも今は受け入れ難い。リディにヴァルの言ったことについて聞いてみた。
「ねぇリディ。この世界は一夫多妻制……つまり男性は一人じゃなくて多数愛している人、好きな人がいるんだよね? この世界はたくさん結婚するんだよね?」
「ん……フィーネが言っているのはおそらく貴族で言う正室と側室達と言うことだとしたらそうですわね。正室一人とたくさんの側室。より多く、良い血統を残す為にたくさん娶り、身体をかさね子を孕み高貴な血を残す。こちらの世界ではすごく当たり前のことで子孫繁栄は貴族の特に女性のの責務ですわね。でもはじめから好きとかの恋愛感情はないと思いますわ……恋愛から始まるものはごくわずかではないかしら?」
「でもリディ……自分の他にも愛する人がいるなんて……嫌じゃない?」
「そうですわね……フィーネに言われるまであまりそういう考えは思いもしなかったですわね。女性に生まれた貴族はよい家柄に嫁ぐ。それが努めなのですわフィーネ。幼い頃よりそう教育されてますしわたくしが正室で嫁いだ場合は、側室様、愛妾を許さないほど狭量ではないですもの……」
ヴァルから聞いたそのたくさんの嫁達、側室がどうもフィーネの倫理に引っかかる。それが当たり前だと……それを普通に許すリディも信じられないが。でもこれがこちらの世界では当たり前な慣習なのだろう……フィーネは意を決してリディに話してみる。
「あのねリディ……私の世界は一夫一妻制。家のしがらみとかじゃなく恋愛で結ばれる。だから一人の人がたくさん女性や奥さんがいるのは、浮気や不倫って言って……結婚してから新しい好きな人を作ると法で罰せられるような所だったの!」
「まぁ!そのような……世界が本当にあるのですね……罰ですか……」
「なんだかこっちの世界の……そのたくさんの女性を一人の男性が愛するっていうのが……今の私には受け入れられなくて……」
「まぁ! そうでしたの? それは……そんな不思議な世界があるんですわね……にわかには信じられませんが……そんないろんな恋愛を経て一人だけを愛するなんて……不思議ですわ。だってこちらの世界でそんな事したらこうですわ」
そう世界の価値観はすぐには覆るようなものではない。リディが例えばこちらの世界でグランが一人を愛するとなった場合、貴族間または国同士の小競り合いも発生する事があるだろう。大体の皇族の婚姻は政略結婚だ。国と国を結びつけ、国内外で力を強固にするのが至って普通。皇族が側室を迎えないなどの前例はない。
フィーネの世界は自由な恋愛婚……そして一人を愛する。まったくもって真逆で違うのだ。
お茶を口に含み一息ついたリディ。
「ふぅ……フィーネの世界はなんだか少しだけ、少しだけ羨ましい気がしますわ……わたくし達の婚姻は好きか嫌いかなんて選べる話ではないのですから……」
「リディ……」
「んー話を聞いてフィーネの世界観が違うのは理解しましたが、女王でしたらファブリル様だと逆に多夫一妻になるのですよ? だからフィーネも異世界人で多夫一妻でも何も問題はないのしゃないかしら?……」
「えっ!それは……まだちょっと……受け入れることはできないかな……」
元の世界と今の世界の価値観で悩めるフィーネ。そこにシンプルな質問に切り替え再度改めてフィーネに問うリディア。
「んー……では改めてフィーネ。貴方はアルヴィス皇子の事はどう思ってるんですの?」
「ん~……アルヴィスは大人だし私を優先してくれる男性かな。たまにドキッとする時もあるけれど……こそばゆい感情が何なのかはまだわからないわ……」
少し顔が赤くなるフィーネ。ふいに唇にキスをされたことを思い出してしまったけれどその赤らみはすぐにかき消される。
「やっぱり……ひっかかるのはこちらの皇族ってたくさん娶って子孫を残すためにたくさんの妻を迎えるのよ……ね?」
「ええ……そうですわ。おそらくグランお兄様もアルヴィス殿下も同じでしょうね」
「でも……でもねリディ、もし少しでも気になりはじめた芽生えたこの気持ちが……ホントはこちらの世界の女性皇族や貴族の姫君達の為に本来あるべきものなら……アルヴィスを奪ってしまうことになったり迷惑かけないか? とか……その想い人の邪魔してしまってないかとか不安な時もあるの。私みたいなふらっとした旅人と違って国を背負ってる重責もあるし、容姿端麗だから他国や自国の女性も引く手あまただと思うし、それに私なんかと釣り合わないし……」
少しシュンとしながらも真剣に話しているフィーネの話に耳を傾けていたリディ。フィーネの悩みながらの本音を、その想いをドアの側で聞きながら声をかけるのは部屋に戻ってきたアルヴィスだった。
「まったく……フィーネは心配する必要は全くないと言っているのにまーだ気にしているのか?」
ハッとしながら声がする方を見るとアルヴィスが一人で部屋に入ってくる。不安そうなフィーネをみて開口一番アルヴィスがフィーネに伝えたのは不安が消し飛ぶようなストレートな思いだった。
「フィーネ。俺は今もこれから先も他国や自国の皇女や貴族を娶るつもりはない。お前一人で十分だ。バーティミアス帝国はヴァレリー皇帝と子供達……それにナターシャ達が引き継ぐからな。俺は生涯お前一人だけだから安心して俺に甘えな!」
「「えっ⁈……うそっ!」」
思わず女性二人は口を揃えて驚きのあまり声が出る。不思議そうな顔で見つめるフィーネと、アルヴィスの言葉にリディが慌ててすかさず口を開く。
「まさか……まさか! アルヴィス皇子は皇子ですのよ! 継承権があるのに側室は持たないのですか?」
リディリアの言葉にため息をつくアルヴィスは周りの貴族と一緒にするなと呆れていた。
「あのなぁ……俺は地位にしがみつく貴族や令嬢は元々大嫌いなんだよ。それにバーティミアスではただ一人を愛する文化は二百年前から根付いているんだよな~誰かさんのおかげでね……」
「誰かさんってもしかして……ヴァレリー!」
誰かさん……精霊を愛したヴァレリー皇帝の事だとフィーネは推察する。フィーネに近寄りながらあわせて話し始める。
「俺はフィーネの騎士としてもそうだが……命を捧げるとバーティミアス城で誓った!だからフィーネは俺に黙って甘えればいいんだよ。難しいことは考えずに俺に頼れ。それに俺しか考えるなよ! 他の男によそ見なんてする間もないくらい俺が愛してやるよ」
カアァァァ!
アルヴィスの告白にリディもフィーネも真っ赤だ! こんな情熱的な男性はグランディールにはいない。いや世界は広しとはいうがどこにもいないだろう……フィーネは真っ赤になりながらもキョトンとしながらアルヴィスに問う。
「アルヴィスはホントにそれでいいの? 私じゃ窮屈に感じるかもしれないよ。世界が違うから……考え方の違いで嫌になるかも……」
「フッ……お前がいいんだ! いや……違うな! お前じゃないとダメだな。それともフィーネは俺が嫌いなのか?」
ボッ!……
真っ直ぐな言葉に真っ赤になりながら首を横にフルフルと降るフィーネ。それを見てリディはほほえみながら二人に本当に羨ましいと羨望の眼差しを向ける。ボソリとつぶやきながら話すリディに感心するアルヴィス。
「どうやらアルヴィス様には……今のグランお兄様では役不足ですわね……お兄様もここまで情熱的に申し上げる勇気がありましたらよかったのに……鈍感で恋愛経験のないフィーネには遠回しの美学なんて全く通用しませんもの……」
「ははっ皇女は兄のことしっかり理解してるんだな……あいつは視野が狭い。そして考えが固すぎる!」
ストレートなアルヴィスの指摘にあはははっと笑うリディ。どうやら緊張がほぐれていつものリディが顔を見せる。
「あはは……おかしいですわね。アルヴィス様が思ったより話しやすい方でホントによかったですわ。確かにお兄様は固すぎて女性には物足りないですわね」
リディはアルヴィスの方を向きぺこりとお辞儀する。
「ふふふっ……アルヴィス様。世間知らずのフィーネをどうぞこれからもよろしくお願いいたしますわ」
どうやらリディはアルヴィスをはじめは警戒はしていたものの、アルヴィスにフィーネを託しても大丈夫だと会話の中で納得したようだ。リディの物事の考え方、そして頭の柔らかさに感心する。その様子を見てどうやらアルヴィスはアルヴィスで妹と比べているようだ。
「ナターシャも……俺の妹もリディリア姫のように自分で物事を確認し理解するような、物分かりがよければよかったんだがなぁ……」
「あらまぁっナターシャ姫様という方がバーティミアス帝国にはいらっしゃるの? ふふふっアルヴィス様の妹姫。退屈しなさそうですわね。ぜひナターシャ姫にもいつか会いたいですわ~」
苦笑いのアルヴィスに改めてスッと眼差しを向けながらリディが忠告する。
「フィーネはいろんな意味で殿方には魅力的に映りますから……たくさんの群がる虫達から守ってくださいませ」
「そんな事は俺が一番理解しわかっている。指一本触れさせはしないしそんなスキは与えないつもりだ」
ふふふっ……二人が話す虫達とはなんの虫? と思っているフィーネだったが二人が仲良くなってよかったと安堵するフィーネだった。
翌日……国王に謁見しカラニペアに向かう準備、支度をする。今回同行するのは……昨日約束したグランの信頼する側近だ。
「アルヴィス。こちらがシオンだ」
グランはシオンを紹介する。フィーネの情報通りきれいな顔だちのロングヘア騎士。フィーネが気にしている二人の内の一人だ。そして不思議な雰囲気をもつ城に出迎えてくれた騎士だった。
「あぁ……シオン道中よろしく頼む」
アルヴィスがそう言うとフィーネはヴァルを肩に乗せて今回は素の亜麻色の通常フィーネスタートだ。
アルヴィス、グラン、シオンでカラニペアを目指す。新たな未開の土地と……期待をむねに今旅立つ!
「アルヴィスは私の護衛であり私がアルヴィスの護衛だよ? お互いに守ってる存在だからどんな関係って言われても?」
「ちがいますのよフィーネ! アルヴィス皇子とはどのような関係ですの?距離が近いですわ!」
どのような? ……フィーネはふとアルヴィスとの今までの出来事を思い浮かべている。
「んー好きか嫌いかでいうと好き。アルヴィスが側にいてくれると安心するし……たまにちょっとドキッとする存在かな」
少しこそばゆい感じで話すフィーネにリディはフィーネがアルヴィスに何かほんの少し惹かれているのを感じる。鈍感なフィーネが少しでもそんな感情を意識するとは……しかも強制している素振りもまったくない。アルヴィス皇子に、信頼をおいているような存在にリディの目には映って見えた。
「アルヴィス皇子とどんな関係ですの?まさか向こうで婚約したのですか!」
「へっ?婚約⁉違うよ違うっ(汗)アルヴィスは私の騎士として同行してる渡り鳥。立場は一緒だしそんなんじゃないよ(汗)」
フィーネの好きはどうやらまだ恋人や婚約者のような好きではないことを確認するリディ。
一方その頃……
強制的にフィーネの部屋から退場した二人は、そのあしでグランの部屋向かい部屋に入る。グランの部屋では到着するなり、アルヴィスが厳し目に外交の基本を教えるべく指南中だ!アルヴィスは書物を並べてグランに話しかける。
「グラン……まずはじめに初歩的なことを聞くがお前自身は商売には全く手を出してないのか?」
「アルヴィス皇子、私は……」
「あー……その皇子呼びはやめろ! それに他人行儀な敬語もだ! お前も同じ立場なんだからアルヴィスでいい。敬語ばかり使う腹の中がわからんやつは信用できない。そんなのでは商売は成り立たん!」
他人行儀な話し方をするグランにアルヴィスが話を遮りまずは通告する。アルヴィスの言葉に甘えて渋々グランは敬称はなしで進めることに。グランは現在の自分の立ち位置や役割をアルヴィスにはなしはじめる。
「商売は私は未だに全くといって関与していない。陛下がしていて私はどちらかというと騎士団を……騎士を率いる職務をメインに活動しているからな……」
「なぁ……騎士団育成は確かに立派でもあり国を思うなら攻防の要育成は必須ではあるが……お前は今からでも商売を習うべきだな。商売は国を豊かにする。それに……」
「それに?」
グランは歯切れの悪いアルヴィスに聞き返すとビシッと的を得た話をアルヴィスがし始める。
「お前の話を聞いて偏りすぎなんだよ。それに視野は狭すぎる! どうせまともに他国とも外交してないだろうとは思ったがな。さっきの部屋でもそうだ」
「さっきの部屋?フィーネの部屋?」
「そうだ。皇族というより、お前は貴族寄りに染まり過ぎだ! お貴族様のその偏った考え方は偏見をうみ、そして相手が欲しい情報が何なのかわからなくなってしまう。お前は自分の意志で民衆の声に耳を傾けたことがあるのか?」
「……それは……」
「今までのお前の主戦場のお相手はお貴族様だったかもしれんが……商売を身につけるということは対話を習い、腹のさぐりあいに参加し相手を信用させる話術を身につけることにもなる。それは民衆の意思を引き付けることも可能だ。民衆は貴族のソレとは違うからな……貴族なんざ身分でどうとでもできるがお前に必要な次期国王を目指す者なら……商売はお前のさらなる成長が期待できる必須事項だ!」
考え方が頑なでかなり堅苦しいグラン。それは確かにグランの周りで意見を言うのは貴族が多数を占めていた。魔物討伐や騎士の育成がメインで外交は父の国王が行っている。そのため、気がつけば周りには貴族しかいない環境でもあった。そのため……貴族としか城の中でしか交流はない。また貴族以外との対話は確かにあまりしたことがなかった。騎士達も貴族の子息でかためられている。それに……今までの環境が当たり前だと認識している現状……民にふれる機会や外交経験が圧倒的に不足しているグラン。
グランの様子を見ながら何かを考え込んでいたアルヴィスはグランにとある提案をする。
「なぁグラン……お前、オレ達と一緒にカラニペアに行くか?少々長旅になるのだが……」
「えっ? フィーネやアルヴィスはこれからカラニペアに向かうのか?」
アルヴィスの申し出に驚くグラン。まさか行き先がはるか北の島々カラニペアということ、そしてフィーネの旅に同行をアルヴィスに許されるとは思ってもいなかったからだ。
「そもそも……カラニペアに向かうのはフィーネの意向だ。それにいろいろと行くのにも条件もあるしな……」
「条件? その条件とは……」
グランがアルヴィスに尋ねるとアルヴィスは答えてくれた。カラニペアに向かうのはフィーネがカラニペアの『真実の鏡』を手にすることが目的であり、行くのにあたってこの国にいるシオンまたはティレニアの同行……これが必須条件なのだ。
「そもそもグランディールの騎士護衛のシオンが同行するんだ。グランがいても何もおかしな話ではないだろう。それに国交がないカラニペアにツテを作るのはグランディールとしても得策とも言えるんだが……この機会に商売を習う気にはならないか?」
「……わかった。不足している知識を深めるためにもいい機会になるはずだ。シオンの方はこちらで手を回そう。同行させ私も向かう大義名分があれば連れて行ける……それと向こうで商売を実践で教えてくれ」
グランにあらかたの旅の話をしたところで商談成立と……ふとアルヴィスは気になっていたグランへの疑問フィーネの話を直球で投げた。
「なぁグラン。お前フィーネが好きなのか?どこまで進んでるんだ?」
「は⁈ なっ何を急にっ!」
ストレートすぎるアルヴィスの質問にグランが驚きながらも慌てているが……顔は真っ赤でわかりやすい。この反応にニヤけるアルヴィスはいたずらっぽい顔をしている。
「お前らは一体……フィーネとどんな関係なんだ?」
「いやっ関係も何も……守ってやりたい存在でありほっとけないんだ!森の奥深くで暮らしていたフィーネをグランディールに連れてきたのは私だ。だから責任をもって私が守ってやらないといけないと思っているそんな存在だ!」
堅苦しい気持ちの吐露。アルヴィスは義務的だとかなんだとか御託を並べるグランの返答にフッとまだまだ幼いなと笑いながら……まだまだ経験不足とため息をつきながらもまだ質問をやめない。ただこの質問にはグランはすんなり口を開くのだが……どうやら歯切れが悪い。
「お前婚約者は? 皇子なんだ……一人や二人いるのだろう?婚約者候補が。正室に側室は?」
「今はいない……が、陛下が私の為に選定しているようだ。そのうち公爵家や侯爵の縁あるところから縁談の話があると思う……義務だから迎えることには反対はしていない」
皇族である以上……政略結婚も外交の内だが、そこにグランの……自分に意志はないところをみると……アルヴィスからみると典型的に貴族に染まったお貴族様だ。だがそんな様子に呆れているアルヴィスは深いため息をつきながら一言。
「なぁ……女性はお前のその堅苦しい感じは嫌いだと思うがな。お前自身の気持ちがまったくない。まぁ……地位が欲しいだの権限が欲しい強欲な者共からすればかなりいい優良物件だよお前は。素直に従うだけだからな。だが……やはりお前は視野が狭いし勉強不足だ。政治にしても恋愛にしても自分自身の事も……全てにおいてな!」
そう言いながら話が終わったアルヴィスが、今日は終わりだとフィーネの部屋に帰るためグランの部屋の扉を開くと、アルヴィスは振り返りながらグランにストレートに忠告、そして釘を刺す。
「あぁ、言い忘れていたが……先に言っておく! フィーネは俺の女だ。命を捧ぐと騎士の誓い、そしてバーティミアス皇帝公認だ。俺には精霊達の祝福もあるからな。だからこの城で同衾していても何も問題はないし何も言わせない。だからグラン……間違っても俺のフィーネに手を出すなよ」
「なっ⁉ ……アルヴィス! それはどういう……」
急なカミングアウトに衝撃を受けて驚いているグランをよそに、牽制をして後ろ手を振りながらそれ以降何も口にせずにアルヴィスは立ち去っていく。アルヴィスの大胆なフィーネに対する宣言と内容の衝撃のあまり呆然と立ち尽くすグランだった。
一方その頃……
フィーネの部屋ではリディとフィーネはメディアが用意したお茶を飲みながら小さなお茶会と恋バナをしていた。
「フィーネは……以前からお付き合いした殿方はいたんですの?」
「ううん……一度もないかなぁ~正直……元の世界でもそういうのは経験してないから付き合うとか好きとか……あんまりピンとこないんだよね~」
フィーネは男性とのお付き合いや特定の特別な人をもったことはない。それに以前ヴァルから聞いたギャップのあるあの話はなんとも今は受け入れ難い。リディにヴァルの言ったことについて聞いてみた。
「ねぇリディ。この世界は一夫多妻制……つまり男性は一人じゃなくて多数愛している人、好きな人がいるんだよね? この世界はたくさん結婚するんだよね?」
「ん……フィーネが言っているのはおそらく貴族で言う正室と側室達と言うことだとしたらそうですわね。正室一人とたくさんの側室。より多く、良い血統を残す為にたくさん娶り、身体をかさね子を孕み高貴な血を残す。こちらの世界ではすごく当たり前のことで子孫繁栄は貴族の特に女性のの責務ですわね。でもはじめから好きとかの恋愛感情はないと思いますわ……恋愛から始まるものはごくわずかではないかしら?」
「でもリディ……自分の他にも愛する人がいるなんて……嫌じゃない?」
「そうですわね……フィーネに言われるまであまりそういう考えは思いもしなかったですわね。女性に生まれた貴族はよい家柄に嫁ぐ。それが努めなのですわフィーネ。幼い頃よりそう教育されてますしわたくしが正室で嫁いだ場合は、側室様、愛妾を許さないほど狭量ではないですもの……」
ヴァルから聞いたそのたくさんの嫁達、側室がどうもフィーネの倫理に引っかかる。それが当たり前だと……それを普通に許すリディも信じられないが。でもこれがこちらの世界では当たり前な慣習なのだろう……フィーネは意を決してリディに話してみる。
「あのねリディ……私の世界は一夫一妻制。家のしがらみとかじゃなく恋愛で結ばれる。だから一人の人がたくさん女性や奥さんがいるのは、浮気や不倫って言って……結婚してから新しい好きな人を作ると法で罰せられるような所だったの!」
「まぁ!そのような……世界が本当にあるのですね……罰ですか……」
「なんだかこっちの世界の……そのたくさんの女性を一人の男性が愛するっていうのが……今の私には受け入れられなくて……」
「まぁ! そうでしたの? それは……そんな不思議な世界があるんですわね……にわかには信じられませんが……そんないろんな恋愛を経て一人だけを愛するなんて……不思議ですわ。だってこちらの世界でそんな事したらこうですわ」
そう世界の価値観はすぐには覆るようなものではない。リディが例えばこちらの世界でグランが一人を愛するとなった場合、貴族間または国同士の小競り合いも発生する事があるだろう。大体の皇族の婚姻は政略結婚だ。国と国を結びつけ、国内外で力を強固にするのが至って普通。皇族が側室を迎えないなどの前例はない。
フィーネの世界は自由な恋愛婚……そして一人を愛する。まったくもって真逆で違うのだ。
お茶を口に含み一息ついたリディ。
「ふぅ……フィーネの世界はなんだか少しだけ、少しだけ羨ましい気がしますわ……わたくし達の婚姻は好きか嫌いかなんて選べる話ではないのですから……」
「リディ……」
「んー話を聞いてフィーネの世界観が違うのは理解しましたが、女王でしたらファブリル様だと逆に多夫一妻になるのですよ? だからフィーネも異世界人で多夫一妻でも何も問題はないのしゃないかしら?……」
「えっ!それは……まだちょっと……受け入れることはできないかな……」
元の世界と今の世界の価値観で悩めるフィーネ。そこにシンプルな質問に切り替え再度改めてフィーネに問うリディア。
「んー……では改めてフィーネ。貴方はアルヴィス皇子の事はどう思ってるんですの?」
「ん~……アルヴィスは大人だし私を優先してくれる男性かな。たまにドキッとする時もあるけれど……こそばゆい感情が何なのかはまだわからないわ……」
少し顔が赤くなるフィーネ。ふいに唇にキスをされたことを思い出してしまったけれどその赤らみはすぐにかき消される。
「やっぱり……ひっかかるのはこちらの皇族ってたくさん娶って子孫を残すためにたくさんの妻を迎えるのよ……ね?」
「ええ……そうですわ。おそらくグランお兄様もアルヴィス殿下も同じでしょうね」
「でも……でもねリディ、もし少しでも気になりはじめた芽生えたこの気持ちが……ホントはこちらの世界の女性皇族や貴族の姫君達の為に本来あるべきものなら……アルヴィスを奪ってしまうことになったり迷惑かけないか? とか……その想い人の邪魔してしまってないかとか不安な時もあるの。私みたいなふらっとした旅人と違って国を背負ってる重責もあるし、容姿端麗だから他国や自国の女性も引く手あまただと思うし、それに私なんかと釣り合わないし……」
少しシュンとしながらも真剣に話しているフィーネの話に耳を傾けていたリディ。フィーネの悩みながらの本音を、その想いをドアの側で聞きながら声をかけるのは部屋に戻ってきたアルヴィスだった。
「まったく……フィーネは心配する必要は全くないと言っているのにまーだ気にしているのか?」
ハッとしながら声がする方を見るとアルヴィスが一人で部屋に入ってくる。不安そうなフィーネをみて開口一番アルヴィスがフィーネに伝えたのは不安が消し飛ぶようなストレートな思いだった。
「フィーネ。俺は今もこれから先も他国や自国の皇女や貴族を娶るつもりはない。お前一人で十分だ。バーティミアス帝国はヴァレリー皇帝と子供達……それにナターシャ達が引き継ぐからな。俺は生涯お前一人だけだから安心して俺に甘えな!」
「「えっ⁈……うそっ!」」
思わず女性二人は口を揃えて驚きのあまり声が出る。不思議そうな顔で見つめるフィーネと、アルヴィスの言葉にリディが慌ててすかさず口を開く。
「まさか……まさか! アルヴィス皇子は皇子ですのよ! 継承権があるのに側室は持たないのですか?」
リディリアの言葉にため息をつくアルヴィスは周りの貴族と一緒にするなと呆れていた。
「あのなぁ……俺は地位にしがみつく貴族や令嬢は元々大嫌いなんだよ。それにバーティミアスではただ一人を愛する文化は二百年前から根付いているんだよな~誰かさんのおかげでね……」
「誰かさんってもしかして……ヴァレリー!」
誰かさん……精霊を愛したヴァレリー皇帝の事だとフィーネは推察する。フィーネに近寄りながらあわせて話し始める。
「俺はフィーネの騎士としてもそうだが……命を捧げるとバーティミアス城で誓った!だからフィーネは俺に黙って甘えればいいんだよ。難しいことは考えずに俺に頼れ。それに俺しか考えるなよ! 他の男によそ見なんてする間もないくらい俺が愛してやるよ」
カアァァァ!
アルヴィスの告白にリディもフィーネも真っ赤だ! こんな情熱的な男性はグランディールにはいない。いや世界は広しとはいうがどこにもいないだろう……フィーネは真っ赤になりながらもキョトンとしながらアルヴィスに問う。
「アルヴィスはホントにそれでいいの? 私じゃ窮屈に感じるかもしれないよ。世界が違うから……考え方の違いで嫌になるかも……」
「フッ……お前がいいんだ! いや……違うな! お前じゃないとダメだな。それともフィーネは俺が嫌いなのか?」
ボッ!……
真っ直ぐな言葉に真っ赤になりながら首を横にフルフルと降るフィーネ。それを見てリディはほほえみながら二人に本当に羨ましいと羨望の眼差しを向ける。ボソリとつぶやきながら話すリディに感心するアルヴィス。
「どうやらアルヴィス様には……今のグランお兄様では役不足ですわね……お兄様もここまで情熱的に申し上げる勇気がありましたらよかったのに……鈍感で恋愛経験のないフィーネには遠回しの美学なんて全く通用しませんもの……」
「ははっ皇女は兄のことしっかり理解してるんだな……あいつは視野が狭い。そして考えが固すぎる!」
ストレートなアルヴィスの指摘にあはははっと笑うリディ。どうやら緊張がほぐれていつものリディが顔を見せる。
「あはは……おかしいですわね。アルヴィス様が思ったより話しやすい方でホントによかったですわ。確かにお兄様は固すぎて女性には物足りないですわね」
リディはアルヴィスの方を向きぺこりとお辞儀する。
「ふふふっ……アルヴィス様。世間知らずのフィーネをどうぞこれからもよろしくお願いいたしますわ」
どうやらリディはアルヴィスをはじめは警戒はしていたものの、アルヴィスにフィーネを託しても大丈夫だと会話の中で納得したようだ。リディの物事の考え方、そして頭の柔らかさに感心する。その様子を見てどうやらアルヴィスはアルヴィスで妹と比べているようだ。
「ナターシャも……俺の妹もリディリア姫のように自分で物事を確認し理解するような、物分かりがよければよかったんだがなぁ……」
「あらまぁっナターシャ姫様という方がバーティミアス帝国にはいらっしゃるの? ふふふっアルヴィス様の妹姫。退屈しなさそうですわね。ぜひナターシャ姫にもいつか会いたいですわ~」
苦笑いのアルヴィスに改めてスッと眼差しを向けながらリディが忠告する。
「フィーネはいろんな意味で殿方には魅力的に映りますから……たくさんの群がる虫達から守ってくださいませ」
「そんな事は俺が一番理解しわかっている。指一本触れさせはしないしそんなスキは与えないつもりだ」
ふふふっ……二人が話す虫達とはなんの虫? と思っているフィーネだったが二人が仲良くなってよかったと安堵するフィーネだった。
翌日……国王に謁見しカラニペアに向かう準備、支度をする。今回同行するのは……昨日約束したグランの信頼する側近だ。
「アルヴィス。こちらがシオンだ」
グランはシオンを紹介する。フィーネの情報通りきれいな顔だちのロングヘア騎士。フィーネが気にしている二人の内の一人だ。そして不思議な雰囲気をもつ城に出迎えてくれた騎士だった。
「あぁ……シオン道中よろしく頼む」
アルヴィスがそう言うとフィーネはヴァルを肩に乗せて今回は素の亜麻色の通常フィーネスタートだ。
アルヴィス、グラン、シオンでカラニペアを目指す。新たな未開の土地と……期待をむねに今旅立つ!
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