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第4章 バーティミアス

55. バーティミアス皇子アルヴィス

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 グランディールの城前は人だかりができていた。一体何があるのかなと人混みをかき分けてフィーネとアルヴィスがそこへ向かうとそこには見知った顔が出てくる。騎士達が城前にズラッと控えていたのだ。何事なの?と不思議そうなフィーネ。そして民衆の中からフィーネの姿を見たある人がこちらに気づき声をかけてきた。
「フィーネ!」
「シオン!これどうしたの?」
 フィーネに声をかけたのは紛れもなくシオンだった。懐かしい顔にホッとしたのもつかの間!
 ドンッ! 
 グエッというほどフィーネは抱きしめられる……こんな抱きつき方をするのはアイツしかいない。暑苦しいほど抱きつくのはやはりレベッカだ!
ギュウッ!……
「レベッカ……苦しいっ苦しいってばっ……」
「フィーネ様っ! 長らくどこに行ってたんですか。連絡が途絶えて行方不明……ファブニールのファブリル様から連絡があった時にはホントにビックリしたんですからね!」
 わぁっと口早に喋るレベッカにやれやれと思うフィーネの肩に乗っていたヴァルはフィーネを気遣い一言物申す。
〘おい……レベッカ……フィーネが折れてしまう……離してやれ……〙
「はっ!……フィーネ様大丈夫ですか!?」
 ヴァルの一言にビックリしたレベッカはパッと手を放しフィーネを開放する。
ケホケホケホッ……
 フィーネは急にキツく抱きしめられた反動でむせ返っていたが深呼吸をして気を取り直す。そして落ち着いてゆっくりと城前を見るとそこにはシオンにレイン……グエインまで城前に配置されているこの状況に不思議顔のフィーネはみんなの近くに歩み寄り問わずにはいられなかった。
「ねぇみんな……シオンやレオンがいるのは警備もかねてだとわかるんだけど、この人だかりは一体なんなの?」
 フィーネはキョロキョロしながら何があるんだろうと周りを見渡していると、次々にシオン、レオン、グエイン、レベッカが膝まづいてフィーネのいる方に頭をたれている。
ザっ………
「へ……??一体なんなの?」
 一体何? といった感じだが混乱しているフィーネにかまわずスッと……挨拶を口にするシオン。
「バーティミアス帝国皇子アルヴィス・アルローズ・バーティミアス殿下。はるばるグランディールまでお越しいただきありがとうございます。長旅でお疲れではないでしょうか?」

 そう……騎士団のトップ達がこぞって挨拶するのは隣国の帝国、皇子アルヴィスに対してだったのだった。アルヴィスはバーティミアス帝国の前皇帝代行であり現皇子……しばらく一連の様子をジッと見ていたアルヴィスも口を開きねぎらいの言葉をかける。
「そなたら、出迎えご苦労だった。いかにも私はアルヴィス・アルローズ・バーティミアスだ。グランディール国王とグラン殿下にも挨拶をしたいのだが、早速案内してもらえるだろうか?」
 シオンとレインが頷き城の中へと案内する。外交的な社交辞令ではあるものの、いつもとは違った顔のキリッとしているアルヴィスにはなんだかドキドキしてしまう……いつもと違う表情のアルヴィス。
(なんだろう? この気持ち……)
 不思議な顔をしているフィーネと目が合うとヒャッと慌てながらスッと目をそらすのだが、その様子を見たアルヴィスはクスっと笑っていた。
「ん……? フィーネ俺に惚れ直したか?」
 いたずらっぽく笑う仕草はヴァレリーそっくりだ。さすがアルローズの血筋だと……プクッとむくれているフィーネの頭をさらっと撫でながら話しかけてくる。
「ヴァレリー様の為にも外交問題はきちっとしないとな……次の地に行くまでグランディールには少し世話になる予定になるが……フィーネはそれで大丈夫か?」
 長旅に精霊契約の魔力消耗……フィーネの心配をしアルヴィスは気遣っているがフィーネは意外と平気そうな様子。その二人の会話や様子を見て話しかけてきたのはヴァルだった。
〘アルヴィス……フィーネは一時的な魔力キャパシティオーバーだったが……もう峠は越えた……今は問題はまったくない……〙
 アルヴィスは元々の魔力が高い為ヴァルの声も精霊達の声もわかる。ヴァルがそういうならとアルヴィスは安心したようだ。

 グランディールの城の奥、玉座の間を案内され訪れる。玉座には現在の国王ギデオンと皇子グラン、皇女リディリアが控えていた。
 騎士達が見守る広間を中ほどまで歩きアルヴィスが膝まづいて挨拶をする。フィーネも見習いながら同じようにアルヴィスの隣で膝まづいている。アルヴィスが挨拶をすると陛下が答える。
「急な来訪に失礼した。グランディール国王ギデオン陛下に挨拶を申し上げる。私はバーティミアス帝国が皇子アルヴィス・アルローズ・バーティミアス。訳あってフィーネと共に北の大地に向かう途中……こちらで少し身を寄せ世話になりたい」
「よい……話はフィーネの通信より……そしてヴァレリー皇帝から一報をもらっておる。そこにいるフィーネはこちらの賓客でもあるゆえグランディール城で次の旅立ちまでゆるりとくつろがれよ……」
 国王から指示をもらい滞在許可がもらえた。すると追加で陛下から願いが申し渡される。
「時にアルヴィス皇子……貴殿はヴァレリー皇帝が誕生するまで皇帝代行として君臨されていた。その手腕を……我が息子グランに滞在中に外交のイロハを教えてもらえぬだろうか? 外交を含めお互いを知れるいい機会となるはずだと思うのだが……」
ピクッ……
 アルヴィスがグランディール国王が発するその名前に少し反応する。そういえばグラン……確かフィーネが優しくしてもらってお世話になったと言っていた者の名前が……確かグランだったと記憶している。アルヴィスは陛下の隣りにいる皇子を……チラッとグランを見る。グランはアルヴィスに近寄りお辞儀をし話しかけてきた。
「アルヴィス皇子。グラン・エルフォート・グランディールでございます。まだまだ若輩者ではあるがぜひ貴殿の外交を学ばせてもらいたい」
 まずまずの物言いに頷きながらアルヴィスは陛下の申し出を快く了承する。
「私で良ければ力になろう。本日は急に謁見の場を設けていただき……心遣いにありがたく気持ちを頂戴する。これにて失礼させていただく」
 そう言うとアルヴィスはフィーネと共に玉座の間を退出する。

退出すると外にはメディアが控えておりその知った顔を見るやいなやホッとしたフィーネがパァッと明るい表情になる。
「メディアだっ!」
「フィーネ様お久しぶりでございます! アルヴィス皇子、フィーネ様お二人共さぁこちらへ……」
 そういうとメディア達メイドがまずは現地点から一番近いフィーネの部屋に二人を案内するのだった。
ガチャッ……
 フィーネの部屋はバーティミアスへ向かう前となんら変わらない。いつもと一緒の部屋に安心するフィーネがにこやかに設置した小箱の手入れを始める。小箱にかけられた魔法も結界も異常はない。一通りフィーネが確認し終わるのを見計らっていたメディアがアルヴィスを皇族専用の他の部屋に案内をとしようとした瞬間、アルヴィスがメディアに声かけた。
「では……アルヴィス殿下はこちらへ……」
「あぁ……案内ご苦労メイド殿。私は大丈夫だかまわなくて結構。フィーネとこの部屋で十分だ」
「えっ? アルヴィスここで一緒に休むの?」
「いや……そんなことはさすがに……」
 アルヴィスの言葉にメディアが固まる。そもそもアルヴィスには皇族専用の部屋が用意してあるからだ。それにメディアからすれば未婚の男女が同じ部屋に寝泊まりというのが……しかも隣国の前皇帝代行で皇子であるアルヴィスに対して失礼ではないかと慌てていると……何かを察したアルヴィスがフッと笑いながらメディアに気遣いさせないように話をし始めた。
「メイド殿……私は帝国の皇子でもありそれと同時にフィーネの騎士でもある護衛だ。それに気にしているようだが二人きりではない。精霊のヴァルやリースとサラディナーサもいるんだ。そなたが心配することなど何もないのだよ」
 アルヴィスに言われてメディアは指示に従い下がるしかなかった。メディアはメイドでありアルヴィスは皇子……身分が違いすぎるのだ。
「……バーティミアス皇子のおおせのままに……」
 メディアが立ち去り部屋の扉を閉じるとアルヴィスの行動に心配して声をかけるが、フィーネの心配をよそにため息まじりにアルが状況を話す。
「ねぇアル……私の部屋は狭いよ。アルなら皇子なんだし立派なお部屋がかまえられてるはずだからそっちの方が広くて落ち着くんじゃないの?」
「フィーネ。まず状況を考えてみな?ここは俺からしたら異国の地だぞ? 外交をする身としてはな……側に信頼できる騎士のラギアクルスが常にいるならまだしも今回は単身だぞ? 常に暗殺がつきまとう一国の……帝国皇子が一人で過ごすなどと危険を冒すよりも信頼できるフィーネがいる方が身の危険はないと思うが?」 
 確かに……一般人のフィーネならいざしらずアルヴィスからすればここは異国の知らない土地。護衛もいない単身でアルヴィスが言うことも納得できる。それにもしもアルヴィスに何かあれば外交問題が発生する身分なのだ。しかも暗殺なんて元いた世界では考えられないのだがこちらはそういう世界なのだろう……。それを踏まえるとフィーネの規格外の魔法と精霊達にヴァルが見守るフィーネの部屋。それに手練のアルヴィスが揃えば向かうところ敵なしか……と思い巡らせていると少し甘えるアルヴィスがいた。
「それに俺がフィーネと居たい。その方が落ち着いていられるからな」
「アルヴィス?」
「なぁフィーネ……ここに居てはダメか?」 
 確かに気心知れた人が一人もいない緊張感って心細くて物凄くイヤだよね。しかも暗殺ってかなり物騒じゃない!?過ごすだけで気苦労が耐えないのは確かに気の毒だな……とコクコクと納得するとフィーネは快諾する。
「いいよアルヴィス落ち着くならここに居たらいいんじゃない?四六時中気を張って堅苦しいのはしんどいよねぇ……暗殺って私の世界ではなかったから……私の部屋は狭いけど我慢できる?」
 物分かりの良いフィーネにアルヴィスはクスッと笑う。こんな物分かりの良い令嬢はこの世界にはいない……
 我先に寵愛を……愛情や権力、既成事実を求め嫉妬渦巻く女性だらけのどこの国の皇子も直面する王妃争いや覇権争い……この世界のそんなものに全く興味を示さないフィーネのありがたさをさらに実感する。中立な立場がどれだけ救われるかなんてフィーネは知る由もないが、拠り所としてアルヴィスは余計なことを考えないでいい存在に安心していた。

トントントンっ……
 扉を叩く音がすると……
ガチャリ……
 扉を開くのはリディリアだ。久々の再開にいても経ってもいられずリディがフィーネの部屋を訪ねてきたようだ。
「もぅフィーネ……何も言わずに旅立つなんて心配したんですのよっ!」
 開口一番キュッとしがみついてフィーネの無事を肌に感じているリディ。そんなリディが可愛らしくそしてまた心配をさせてしまったことに謝る。
「ごめんリディ。黙って行ってしまって……私は大丈夫だから心配しないで……ね?」
 二人のやり取りをジッと部屋の中からみていたアルヴィスがフィーネと姫に近づいて声をかけてきた。
「リディリア姫……到着した早々から気になったのだがグランディールはなかなかスキンシップが多い国なのだな。先程のレベッカという魔術師もそうだが……そんなにも軽くスキンシップなんざ度々してれば、その場に乗じて暗殺されてもおかしくないんだぞ?この国の警備は本当に大丈夫なのか?」
「えっ⁉ アルヴィス皇子!キャアァっ!」
バッ!!……
 アルヴィスの姿を見た瞬間、リディリアは驚きのあまり悲鳴をあげ、フィーネから離れビックリした顔でアルヴィスを見つめている。
 ん? と言わんばかりにアルヴィスをマジマジと見るリディリアはアルヴィスがフィーネの部屋にいた事に驚き固まっている。すると近くを通りかかったグランがリディリアの声を聞いて駆けつけてくる。駆けつけたグランもフィーネの部屋にアルヴィス皇子がいるのに少し驚いていた。
「リディ何があった! フィーネにアルヴィス皇子?」
「ごめんなさいグランお兄様!フィーネに会いに来たのですが、アルヴィス皇子がいるとは知らず驚いてしまったのです」
「?なぜ女性の部屋にアルヴィス皇子がいるのですか?」
 アルヴィスは次から次に何なんだ? という不思議そうな顔をしながらも怪訝そうな表情を浮かべてグランに声かける。
「一体さっきから何なんだこの国は? 騒がしいにも程がある! グランディールでは女性の部屋に男性は入ってはいけない作法や法でもあるのか?」
「いぇ……そういうわけでは……」
「それにだな……スキンシップが多すぎるぞ!皇族や貴族が簡単に行動を許すとそれに乗じて暗殺につながることもある!気を引き締めるべきではないのか?」
 今のごちゃっとした状況にため息をつきながら……そしてせっかくのフィーネとの時間を台無しにされ二度ため息をつく。少し苛つきながらも呆れているアルヴィスは……
「グランディールは騒々しい……」
 一連の流れや話を聞きそれに対してグランは冷静に対処しはじめる。
「確かに我が国ではスキンシップは多いかもしれないが……立派な挨拶でもある。だが忠告は前向きに受け取ろう」
「……ではもう一つ。なぜ女性の部屋に男性が居てはだめなのだ?」
「独身女性の部屋はグランディールでは聖域だ。結婚適齢期の殿方……ましては隣国の皇子が何か曲がり間違った噂がたってもお互いに困るでしょう? 城に出入りしている者は他国の者も多数いますからお控え願えるかな? それにリディはフィーネの親友だ。女性同士のつもる話もあるだろう……」
 アルヴィスを牽制をしながらリディをフォローするグラン。ジーッと静かに話を聞いていたアルヴィスは少し思うところはあるが……この場はグランに華を持たせてあげることに。フィーネに優しく声をかけるアルヴィスは少しグランを牽制しながらフィーネに問う。
「フィーネと噂? はははっまぁそれは別に問題はないんだが……フィーネはリディリア皇女とつもる話でもあるのか?」 
「リディには迷惑かけちゃったから……旅の話とかいろんな話をしたいわ」
 アルヴィスに訪ねられるとチラッとリディを見るフィーネ。すると話したそうなリディの顔を見るなりフィーネはリディと話をしたいとアルヴィスに言う。
「まぁ女性同士、話するがいい……また戻るわ」
 少し不機嫌なアルヴィスが部屋から去ろうとするとすかさずアルヴィスの手を取りフィーネが声をかける。
「アルヴィスあのね! 後でちゃんと戻ってきてね……この部屋で待ってるから……」 
 フィーネの戻ってきてね……この部屋で待ってるから……の声を聞くとフッと笑い少しフィーネの元まで戻り頭をポンッ撫でてあぁと反応する。
 と……すかさずグランをグイッと連れて部屋から退出しようとする。グランはフィーネの部屋に残ろうとするのだがアルヴィスにがっちりと腕を取られて扉の外の方へ移動されてしまう。
「えっ⁉ 私はフィーネに……」
「野暮なことを言うなグラン皇子!皇女とフィーネはつもる話があるんだろ? 気を利かせな。それと……お前はその間外交の勉強だ!」 
 そう言ってグランは強制的に退出を余儀なくされる。

ガチャッ……バタン……
 リディと二人きりになるフィーネ。リディはフィーネが旅に出てから常に心配をしてくれていた一人だ。今までの経緯を話し、何があったのかリディを安心させる事に。リディは魔力がそこまで高くはないため精霊達は見えないのだがフィーネを守ってくれている存在にホッとしているようだ。
 リディは変わらないフィーネに安心するのだが……リディはどうやらアルヴィスのフィーネに対する行動が気がかりだ。
「ねぇフィーネ。フィーネはアルヴィス皇子とどんな関係なんですの?」
「へ……? どんな関係って……普通だけど何?」
 急なアルヴィスとの関係を聞かれて返事に困るフィーネ。
 フィーネの答えは……
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