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本編
家族会議のその行方【4】
しおりを挟む「……は?」
それから数十秒ほどの間があって、ようやく絞り出せたのは、たったの1文字だった。
いや、おれじゃなくてもこうなるだろう。
弟の衝撃発言に、言葉どころか呼吸の仕方すらド忘れした。
え、なにこいつ。まさか酔ってるのか?いやそんなバカな。こいつが今飲んでるのみりんだぞ?みりんで人って酔えるのか?そもそもそこに入っているのは本当にみりんなのか?そして目の前のルクスに入ってるのは本当にルクスなのか?
「………え、お前、おれのこと好きなの?」
動揺のあまり我ながらどうでもいいことに思考を巡らせることさらに5分。
ついにつむぎ出した言葉は、17歳男にしてはあまりに間の抜けた確認の言葉だった。
「ああ」
それに対し、ルクスは怖いくらいの真顔で頭を縦に振る。
これが他人だったなら冗談としか思えないが、声音からしてこいつがふざけていないことは長年の付き合いから伝わってくる。一応兄弟だからな。で、どっきり大成功の札はどこだ?……ねぇな。
「……いつから」
「さあな。初めて会った時じゃないか?」
「……なにゆえ」
「かわいい、えろい、おもしろい」
「……??……????お前men食いだったの???」
「それはあれか、『面』と『men』をかけた意味でのめんくいか。実にくだらないがお前のそういう空気が読めないところは好きだ」
いや、少しくらい照れろよ。
ここは面接会場か。
つかもう一度言うが、お前、やっぱ喧嘩売ってるよな?
そう言いかけたが、無表情がデフォルトの弟が微かに緊張している様子を感じ取り押し黙る。
なんとなくいたたまれない気持ちになりながら初耳すぎる弟の言葉をひとつひとつ丁寧に飲み込んでいると、なぜか愉快そうに笑ったルクスがおもむろに手のひらを寄せてきた。
「……顔が赤いな」
頬に触れた低い体温に、自分の顔にさらに熱が集まるのがわかる。
……いっやしょうがねぇだろ!!え、なに?なに突然?びっくりした、びっくりした!!お前、イケメンの癖に童貞だったのそういうことかよ!いやおれもだけど!!
初めて女の子に告白された時以上に全力で照れていると、じっとこちらを見つめていたルクスがボソリと何かを呟いた。
「お前がもし皇位を継ぎたいと言うのなら王都の革命軍を動かして全てリセットしようと思っていたが、まあまずそれはないだろうと思い連れ去る準備はしていた。親がクズだったおかげで理由作りをする手間が省けたな。これで心おきなく祖父に侵略を頼める」
………?
「しんりゃく?」
「ああ。追いかけてこられては面倒だからな。地位を剥奪して身ぐるみ全て剥いでしまえば手を出す気も失うだろう?これでお前も心置き無く新婚生活がおくれるわけだ」
いや、別にいいんだけどさ。
こいつがおれの返事全く聞かずに新婚とか宣おうと、意外にも不快な気持ちにはならんから聞き流してやるさ。
でも……でもよ。
「……お前がおれのこと大好きなのはわかったけど、どうして国を消す方向に話が進んでるわけ?」
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