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ルートF(フェアリー) ※十話から分岐
二十五話 魔将軍クロノに出会いました。
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「もうこんなに『物語』を進めてくれたのね。ありがたいことね」
真っ白な空間。
大きな鏡にはボクとメカの姿が映しだされている。
その空間に佇んでいるのはミルクウィードさんとよく似た女性。
「ここに封印されてからもう二年以上が経過しているけれど、今日という日だけでここまで進展があるなんて思わなかったわ。ああ、また独り言……一人でいるとどうしてこう独り言が増えてしまうのかしらね。それはそうと。サラ、ミルヴィ、レアル、不幸、そして次のカードは『クロノ』かしら? それとも『大使』? いいえ、この場合は『ミサキ・グレン』という可能性も……いけないわ。これ以上は『ネタバレ』になってしまうわ」
ミルクウィードさんによく似た女性は『こちら』を向き、片目を閉じ、人差し指を立てて言う。
「内緒ですよ。絶対に」
塔の前へとやってきたボクとメカはアイコンタクトをして塔の真正面の扉から堂々と入った。
鍵は掛かっていなかったようで、そのまま内部の壁に沿った螺旋状の階段を登っていく。
「誰だ貴様等!?」
「幸せの妖精と」
「不幸の妖精さ」
ボクとメカはピッタリと息の合ったぺったんこダブルパンチで魔族であろう一人の男を一撃で倒す。
「ボクに合わせた?」
「まあね。自分の戦い方は自分が一番良く知っているからね」
「ふふふっ、その様子だとボクへの怒りは晴れたみたいだね」
「はあ? キミは何を言っているのかな? 殺意がそう簡単になくなるわけがないだろ」
「ああそう。でも君のは完全に逆恨みだよね? ボクは君に直接何かをしたわけじゃない」
「……まあ、ね」
無言で暫く塔を登る。
「わざわざ言わなくても分かっていると思うけど、ガキ……レアルを連れ去った連中はまだこの塔には戻ってきていない。だから僕たちの目的は……」
「やつらが戻るまでにこの塔を攻略する事。先に親玉を叩けば統率力は無くなり、レアルも取り返す事ができる、でしょ?」
「本当に言うまでも無かったね。ところでこの塔、どこまで登らなきゃいけないのか……入る時頂上が見えなかったが」
「多分千メートル以上じゃないかな? 東京タワーよりずっと高いし」
「見た事あるのかい? 東京タワー」
「うん。小六の時に修学旅行で東京に行ったからさ」
「ほーう……? 随分と楽しんだみたいだね」
「まあ色々と楽しめたよ。元々地元にはレジャー施設はあまりないし、そういう場所にはとても行けないよ」
「親は連れていってくれなかっ……たの、か……?」
メカは自身の発言に違和感に表情を歪めつつも言葉を言い切った。
「お父さんもお母さんも忙しいからね」
「…………『共働きだから』か」
「うん。でも休日には近場で遊べるし、ボクは幸せだよ」
「…………そう、か」
(これまで僕は自分の方が不幸だと思っていたが……本当に不幸なのは「ボク」の方だ……これはあまりにも……)
メカは階段を登りながらボクを切羽詰まった表情で見つめる。
「それ以上ボクに同情しないでね? ボクは幸せの妖精なんだから。ボクは幸せだから」
「…………」
「もっともっと、ワクワクしたいんだよねっ! さ、走るよ!」
「えっ、ちょっ待っ」
ボクは階段を走って登り、それにメカはついてくる。
「よーし敵発見! もらった!」
ボクは積極的に敵を倒しに行く。
「またまた発見! おりゃっ!」
「痛々しい……こんな自分見たくないっての。はあっ!」
ボクとメカは塔の敵を倒しながら進み、ついには頂上までやってきた。
「ここが頂上か……高いね」
「ああ。ていうかなんで疲れないんだキミは」
「この体のおかげかな? 魔力を使わない物理的な動作だと疲れないみたい」
「ああそうかい」
頂上からは下の様子を見る事ができる。
ここは遠近感がおかしくなりそうな程高い。
「かなり敵を倒したはずなのに、何もないなんておかしいよね。絶対何かある」
「ああ。どこかに空間拡張だの横穴だのがあるはず……これか?」
塔の頂上階の中心部には小さい光の球が浮かんでいた。
メカがそれに触れると、横穴が出現した。
「出たぞ横穴……この先がやつらの本拠地って事か?」
「みたいだね。よし、行こう!」
ボクたちは横穴に入っていった。
「それにしてもまさか横穴を『使う』とは」
「そんなに不思議な事?」
「ああそうさ。僕がこの世界にやって来る時、家にわざわざ戻ってから横穴を広げたんだ」
「あー、そういえば記憶で見たような」
「アナザーに出来るのは元々ある横穴を広げるくらいだ。本来ならキミと同じ場所に出現するはずだったんだけど……世界同士を繋ぐ横穴自体が不安定なせいか、こっちの世界の果てに飛ばされてしまった」
「へえ」
「ってんな事はどーでもいい。その横穴を自在に操ったり拠点にしたりってのはそうそう出来る事じゃないんだよ。魔族でも、女神でも……」
ズアズア……ドォン!
突然飛んできた炎の球がボクたちの目の前に落ちる。
「これはフレイムスフィア……誰!?」
「ようこそ『魔王城』へ。そして、さようなら」
目の前に現れたのは黒い髪に黒い瞳に白い肌のイケメンだった。
「俺は魔将軍クロノ。魔族大使の命により、幸せの妖精、貴様を排除する」
「君は……」
ボクの脳裏に浮かんだ人物、その名は「アオノ」。
目の前のクロノと名乗った男はアオノによく似ていた。
真っ白な空間。
大きな鏡にはボクとメカの姿が映しだされている。
その空間に佇んでいるのはミルクウィードさんとよく似た女性。
「ここに封印されてからもう二年以上が経過しているけれど、今日という日だけでここまで進展があるなんて思わなかったわ。ああ、また独り言……一人でいるとどうしてこう独り言が増えてしまうのかしらね。それはそうと。サラ、ミルヴィ、レアル、不幸、そして次のカードは『クロノ』かしら? それとも『大使』? いいえ、この場合は『ミサキ・グレン』という可能性も……いけないわ。これ以上は『ネタバレ』になってしまうわ」
ミルクウィードさんによく似た女性は『こちら』を向き、片目を閉じ、人差し指を立てて言う。
「内緒ですよ。絶対に」
塔の前へとやってきたボクとメカはアイコンタクトをして塔の真正面の扉から堂々と入った。
鍵は掛かっていなかったようで、そのまま内部の壁に沿った螺旋状の階段を登っていく。
「誰だ貴様等!?」
「幸せの妖精と」
「不幸の妖精さ」
ボクとメカはピッタリと息の合ったぺったんこダブルパンチで魔族であろう一人の男を一撃で倒す。
「ボクに合わせた?」
「まあね。自分の戦い方は自分が一番良く知っているからね」
「ふふふっ、その様子だとボクへの怒りは晴れたみたいだね」
「はあ? キミは何を言っているのかな? 殺意がそう簡単になくなるわけがないだろ」
「ああそう。でも君のは完全に逆恨みだよね? ボクは君に直接何かをしたわけじゃない」
「……まあ、ね」
無言で暫く塔を登る。
「わざわざ言わなくても分かっていると思うけど、ガキ……レアルを連れ去った連中はまだこの塔には戻ってきていない。だから僕たちの目的は……」
「やつらが戻るまでにこの塔を攻略する事。先に親玉を叩けば統率力は無くなり、レアルも取り返す事ができる、でしょ?」
「本当に言うまでも無かったね。ところでこの塔、どこまで登らなきゃいけないのか……入る時頂上が見えなかったが」
「多分千メートル以上じゃないかな? 東京タワーよりずっと高いし」
「見た事あるのかい? 東京タワー」
「うん。小六の時に修学旅行で東京に行ったからさ」
「ほーう……? 随分と楽しんだみたいだね」
「まあ色々と楽しめたよ。元々地元にはレジャー施設はあまりないし、そういう場所にはとても行けないよ」
「親は連れていってくれなかっ……たの、か……?」
メカは自身の発言に違和感に表情を歪めつつも言葉を言い切った。
「お父さんもお母さんも忙しいからね」
「…………『共働きだから』か」
「うん。でも休日には近場で遊べるし、ボクは幸せだよ」
「…………そう、か」
(これまで僕は自分の方が不幸だと思っていたが……本当に不幸なのは「ボク」の方だ……これはあまりにも……)
メカは階段を登りながらボクを切羽詰まった表情で見つめる。
「それ以上ボクに同情しないでね? ボクは幸せの妖精なんだから。ボクは幸せだから」
「…………」
「もっともっと、ワクワクしたいんだよねっ! さ、走るよ!」
「えっ、ちょっ待っ」
ボクは階段を走って登り、それにメカはついてくる。
「よーし敵発見! もらった!」
ボクは積極的に敵を倒しに行く。
「またまた発見! おりゃっ!」
「痛々しい……こんな自分見たくないっての。はあっ!」
ボクとメカは塔の敵を倒しながら進み、ついには頂上までやってきた。
「ここが頂上か……高いね」
「ああ。ていうかなんで疲れないんだキミは」
「この体のおかげかな? 魔力を使わない物理的な動作だと疲れないみたい」
「ああそうかい」
頂上からは下の様子を見る事ができる。
ここは遠近感がおかしくなりそうな程高い。
「かなり敵を倒したはずなのに、何もないなんておかしいよね。絶対何かある」
「ああ。どこかに空間拡張だの横穴だのがあるはず……これか?」
塔の頂上階の中心部には小さい光の球が浮かんでいた。
メカがそれに触れると、横穴が出現した。
「出たぞ横穴……この先がやつらの本拠地って事か?」
「みたいだね。よし、行こう!」
ボクたちは横穴に入っていった。
「それにしてもまさか横穴を『使う』とは」
「そんなに不思議な事?」
「ああそうさ。僕がこの世界にやって来る時、家にわざわざ戻ってから横穴を広げたんだ」
「あー、そういえば記憶で見たような」
「アナザーに出来るのは元々ある横穴を広げるくらいだ。本来ならキミと同じ場所に出現するはずだったんだけど……世界同士を繋ぐ横穴自体が不安定なせいか、こっちの世界の果てに飛ばされてしまった」
「へえ」
「ってんな事はどーでもいい。その横穴を自在に操ったり拠点にしたりってのはそうそう出来る事じゃないんだよ。魔族でも、女神でも……」
ズアズア……ドォン!
突然飛んできた炎の球がボクたちの目の前に落ちる。
「これはフレイムスフィア……誰!?」
「ようこそ『魔王城』へ。そして、さようなら」
目の前に現れたのは黒い髪に黒い瞳に白い肌のイケメンだった。
「俺は魔将軍クロノ。魔族大使の命により、幸せの妖精、貴様を排除する」
「君は……」
ボクの脳裏に浮かんだ人物、その名は「アオノ」。
目の前のクロノと名乗った男はアオノによく似ていた。
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