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ルートF(フェアリー) ※十話から分岐
十九話 決戦、不幸の妖精メカ! 中
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メカが姿を消した直後、背中から途轍もない衝撃を受け、ボクは十メートル以上吹っ飛ばされた。
「うがあっ……! な、何がっ……」
考える暇もなく、無数の攻撃が四方八方からボクを襲う。
顔、体、手足、背中と無差別に攻撃が繰り返される。
メカはオーバークロックと口にしていた。
つまりメカは機能を拡張して使っている。
当然スピードも桁違いに上がるわけで、視界に殆ど映らない。
そんなもの、対処しようがない。
ボクの体はもう殆ど原型を留めていない。
手足は千切れ、片耳も何処かへ行ってしまった。
全身がズキズキと痛みを訴える。
ボクにはもう考える力は残っていない。
ただ痛みに根性で耐えているだけ。
だがそれももう長くは持たない。
「っかはっ……」
ボクは強烈な寒気と共に絶命した。
全身の力は抜け、目の前は真っ暗になった。
これが力尽きるという死に方なのかとボクは悟る。
でも、レアルのためにもここで死んでおわるわけにはいかない。
だからこそ。
ミルクウィードさん、ボクに命を……!
「幸せの妖精サラに祝福あれ!」
ミルクウィードさんの声が辺りに響き、ボクの体は再構築される。
汚れひとつない状態でボクは復活した。
「な、なんだとっ!?」
「ほう、貴様も復活するとは……これでは決着が着かないな。クククッ、面白い」
「笑い事じゃないだろっ! 僕はこいつを殺す為にこの世界に来たんだぞ! 殺せないんじゃ何の為にっ……!」
動きを止め動揺を見せるメカにボクは告げる。
「確かに決着はつかないかもしれないけど……いい事を教えて貰ったよ。指輪、そういう風に使うんだね」
「な、何だ? 何を言っている?」
ボクは体の中から横穴で手に入れた赤い指輪を取り出し、ぺったんこな右手に強引に嵌める。
「フォームアップ」
ボクはメカが指輪を使用する時に使っていたのと同じ言葉を呟き、指輪の上部にあるダイヤルを回す。
指輪から赤い鎧が飛び出し、ボクの装備された。
「お前、それをどこでっ!?」
「横穴だよ。この世界に発生する横穴の中には別の世界の一部が存在しているらしいよ。そこでボクはこの指輪を手に入れた。君が持っているものと同じデザインだし、同じような力が使えるんじゃないかと思ったんだ。それがドンピシャ。これで君のオーバークロックは無力化したも同然だね」
「ははっ、僕がジャークから指輪を手に入れなければ僕は負けていたわけだ。つまり僕の選択はやはり間違っていなかった。僕はお前に勝てる!」
「それは少し違うんじゃないかな? 君が使わなきゃボクはこれの使い方を知らなかった。同じ事だよ」
「ぐっ、黙れっ! それでも僕の優勢に変わりはない! この二対一の状況をどう打開するつもりなのかなぁ!」
「君こそ……死なないボクをどうやって殺すって言うの? もうボクの方はこのやりとりの間に答えを出しちゃったけど」
「何だと!? やれるもんならやってみろこの偽善者がっ!!」
「クククッ、同一人物同士の争いは見ていて面白いな。どこまでも愚かで滑稽だ。これを見て楽しむという目的の方は達成したな。クカカッ! それにしても先程の声、女神というやつなのか? いや、女神にしては魔力の反応が鈍すぎる。あの気配は女神の血縁者といったところか。もう一度幸せを絶命させればハッキリするだろう」
こうして思惑入り乱れる戦いはいよいよ決着の時を迎えようとしていた。
「うがあっ……! な、何がっ……」
考える暇もなく、無数の攻撃が四方八方からボクを襲う。
顔、体、手足、背中と無差別に攻撃が繰り返される。
メカはオーバークロックと口にしていた。
つまりメカは機能を拡張して使っている。
当然スピードも桁違いに上がるわけで、視界に殆ど映らない。
そんなもの、対処しようがない。
ボクの体はもう殆ど原型を留めていない。
手足は千切れ、片耳も何処かへ行ってしまった。
全身がズキズキと痛みを訴える。
ボクにはもう考える力は残っていない。
ただ痛みに根性で耐えているだけ。
だがそれももう長くは持たない。
「っかはっ……」
ボクは強烈な寒気と共に絶命した。
全身の力は抜け、目の前は真っ暗になった。
これが力尽きるという死に方なのかとボクは悟る。
でも、レアルのためにもここで死んでおわるわけにはいかない。
だからこそ。
ミルクウィードさん、ボクに命を……!
「幸せの妖精サラに祝福あれ!」
ミルクウィードさんの声が辺りに響き、ボクの体は再構築される。
汚れひとつない状態でボクは復活した。
「な、なんだとっ!?」
「ほう、貴様も復活するとは……これでは決着が着かないな。クククッ、面白い」
「笑い事じゃないだろっ! 僕はこいつを殺す為にこの世界に来たんだぞ! 殺せないんじゃ何の為にっ……!」
動きを止め動揺を見せるメカにボクは告げる。
「確かに決着はつかないかもしれないけど……いい事を教えて貰ったよ。指輪、そういう風に使うんだね」
「な、何だ? 何を言っている?」
ボクは体の中から横穴で手に入れた赤い指輪を取り出し、ぺったんこな右手に強引に嵌める。
「フォームアップ」
ボクはメカが指輪を使用する時に使っていたのと同じ言葉を呟き、指輪の上部にあるダイヤルを回す。
指輪から赤い鎧が飛び出し、ボクの装備された。
「お前、それをどこでっ!?」
「横穴だよ。この世界に発生する横穴の中には別の世界の一部が存在しているらしいよ。そこでボクはこの指輪を手に入れた。君が持っているものと同じデザインだし、同じような力が使えるんじゃないかと思ったんだ。それがドンピシャ。これで君のオーバークロックは無力化したも同然だね」
「ははっ、僕がジャークから指輪を手に入れなければ僕は負けていたわけだ。つまり僕の選択はやはり間違っていなかった。僕はお前に勝てる!」
「それは少し違うんじゃないかな? 君が使わなきゃボクはこれの使い方を知らなかった。同じ事だよ」
「ぐっ、黙れっ! それでも僕の優勢に変わりはない! この二対一の状況をどう打開するつもりなのかなぁ!」
「君こそ……死なないボクをどうやって殺すって言うの? もうボクの方はこのやりとりの間に答えを出しちゃったけど」
「何だと!? やれるもんならやってみろこの偽善者がっ!!」
「クククッ、同一人物同士の争いは見ていて面白いな。どこまでも愚かで滑稽だ。これを見て楽しむという目的の方は達成したな。クカカッ! それにしても先程の声、女神というやつなのか? いや、女神にしては魔力の反応が鈍すぎる。あの気配は女神の血縁者といったところか。もう一度幸せを絶命させればハッキリするだろう」
こうして思惑入り乱れる戦いはいよいよ決着の時を迎えようとしていた。
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モチベに繋がりますので、感想や誤字報告、エールもお待ちしています〜
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