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ルートF(フェアリー)
十八話 決戦、不幸の妖精メカ! 前
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「何っ!?」
ボクはフレイムスフィアを両手に出したままメカに殴りかかった。
メカはボクが魔法で遠距離から攻撃をしてこなかった事に対して驚き、反応が鈍る。
「それが魔法か! しかも僕めがけて撃たずに直接当てようとしてくるとはっ……ファイアボールとか言うんだろどうせ!」
「フレイムスフィアだよ。この世界の実用的な魔法は特殊な言い回しをするみたいなんだよ、ねっ!」
ボクとメカの戦いは既にクライマックスと呼ぶに相応しい攻防になっている。
ボクは何度もメカに攻撃を仕掛け、メカはボクの攻撃をギリギリで避け続ける。
メカには攻撃を避けながらも喋る余裕があるみたいだけど、ボクのやる事は変わらない。
ここまでで限界以上に膨れ上がった怒りに身を任せてこのコピーを、偽物を、悪を仕留める。
それがボクのすべき事だ。
ボクはメカを殴る瞬間に魔力を強く込め、フレイムスフィアを巨大化させる。
リーチが伸びた事でフレイムスフィアの端がメカの体に触れる。
「ぐあっ!?」
メカの体はフレイムスフィアに触れた事で熱を持ち変形した。
メカは身の危険を感じ、咄嗟に後ろに飛び退く。
だが、メカは背後にある木に気が付かなかった。
メカは木の幹に激突し、火花を散らして座り込む。
「ぐぐっ、しまった……熱と衝撃で体が動かないッ! チクショウ!!」
悔しさに表情を歪めるメカにボクは歩いて近づく。
「トドメだ」
ボクはフレイムスフィアを両手で一つに合わせ、高温のフレイムスフィアを形成し、メカの体に近づける。
あと少しで触れると言うその時、魔剣が勝手にメカの左手を離れ、フレイムスフィアを切り裂いた。
「何っ……? 刀が勝手に……」
「クククッ……そろそろ我の出番だな、宇佐美つきみよ」
「ははっ、助かったよアナザー。ナイスタイミングだ」
一人でに動き喋る刀。
ボクの理解を超えている。
異世界なのだからこんな事があってもおかしくないとは思う。
でもメカがいくら動けないと言ってもこれは厳しい。
何せ相手は刀。
どうやって倒せばいいというのだろうか。
「その喋る不気味な刀は?」
「こいつは魔剣ディブレード。次元をも切り裂く最強の魔剣。そしてその正体はかつて『亜空間』に住んでいた常識はずれの龍、アナザードラゴン。人間一人には到底太刀打ちできない化け物さ」
「クククッ、まあそう言う事だ。我に勝つ事など不可能だ。因みにこんな事もできる……」
魔剣の眼が光り、柄から黒い木の根のようなものが無数に飛び出し、メカの体を覆う。
黒い根が再び魔剣に戻ると、メカは完全に復活していた。
傷一つなく、変形した部位すら元通りになっている。
「なっ……!?」
「クククッ……これが我が力。一つの宇宙を司る力を我は持っているのだ。機械の体を修復する事など容易い。貴様が何度このコピーを倒そうとも復活させる事ができるのだ。貴様のする事は全て無駄だ」
魔剣に封じ込められた龍、アナザードラゴンの言葉を聞き、ボクはギリっと歯軋りをする。
その時、メカは表情を歪ませ、アナザーを睨んでいた。
「アナザー、確かに僕を直してくれた事には感謝する。凄く助かった。だがコピーなんて言うな。オリジナルなのは僕のほうだよ。自分で口にするのはいいが人に言われると癪に触る」
「……クク、善処しよう。だがお前こそ気をつけろ。我がお前に協力しているのはあくまで我の目的のためだ。我の怒りを買えば我の協力は得られない。お前は目の前のぬいぐるみ如きに容易く葬られるぞ」
「ブン殴りたいところだけどその通りだよ。その通りだから……もう本気でやる。フォームアップ」
メカは右手の人差し指に付けたピンク色の指輪のダイヤルを左手で回して言葉を口にした。
指輪から鎧が飛び出し、メカに装備された。
「機械が鎧を着るなんて……」
「この体が衝撃に弱いのはよくわかった。バトルバニーはあくまで量産型兵器。倒される事前提の設計で防御力は低めみたいだからね。鎧で体を覆えばかなりマシになる。それにこの鎧にはこの場所に至るまでの道中に使用した素晴らしい機能があるんだよ。オーバークロック!」
メカは一瞬にしてボクの視界から姿を消した。
ボクはフレイムスフィアを両手に出したままメカに殴りかかった。
メカはボクが魔法で遠距離から攻撃をしてこなかった事に対して驚き、反応が鈍る。
「それが魔法か! しかも僕めがけて撃たずに直接当てようとしてくるとはっ……ファイアボールとか言うんだろどうせ!」
「フレイムスフィアだよ。この世界の実用的な魔法は特殊な言い回しをするみたいなんだよ、ねっ!」
ボクとメカの戦いは既にクライマックスと呼ぶに相応しい攻防になっている。
ボクは何度もメカに攻撃を仕掛け、メカはボクの攻撃をギリギリで避け続ける。
メカには攻撃を避けながらも喋る余裕があるみたいだけど、ボクのやる事は変わらない。
ここまでで限界以上に膨れ上がった怒りに身を任せてこのコピーを、偽物を、悪を仕留める。
それがボクのすべき事だ。
ボクはメカを殴る瞬間に魔力を強く込め、フレイムスフィアを巨大化させる。
リーチが伸びた事でフレイムスフィアの端がメカの体に触れる。
「ぐあっ!?」
メカの体はフレイムスフィアに触れた事で熱を持ち変形した。
メカは身の危険を感じ、咄嗟に後ろに飛び退く。
だが、メカは背後にある木に気が付かなかった。
メカは木の幹に激突し、火花を散らして座り込む。
「ぐぐっ、しまった……熱と衝撃で体が動かないッ! チクショウ!!」
悔しさに表情を歪めるメカにボクは歩いて近づく。
「トドメだ」
ボクはフレイムスフィアを両手で一つに合わせ、高温のフレイムスフィアを形成し、メカの体に近づける。
あと少しで触れると言うその時、魔剣が勝手にメカの左手を離れ、フレイムスフィアを切り裂いた。
「何っ……? 刀が勝手に……」
「クククッ……そろそろ我の出番だな、宇佐美つきみよ」
「ははっ、助かったよアナザー。ナイスタイミングだ」
一人でに動き喋る刀。
ボクの理解を超えている。
異世界なのだからこんな事があってもおかしくないとは思う。
でもメカがいくら動けないと言ってもこれは厳しい。
何せ相手は刀。
どうやって倒せばいいというのだろうか。
「その喋る不気味な刀は?」
「こいつは魔剣ディブレード。次元をも切り裂く最強の魔剣。そしてその正体はかつて『亜空間』に住んでいた常識はずれの龍、アナザードラゴン。人間一人には到底太刀打ちできない化け物さ」
「クククッ、まあそう言う事だ。我に勝つ事など不可能だ。因みにこんな事もできる……」
魔剣の眼が光り、柄から黒い木の根のようなものが無数に飛び出し、メカの体を覆う。
黒い根が再び魔剣に戻ると、メカは完全に復活していた。
傷一つなく、変形した部位すら元通りになっている。
「なっ……!?」
「クククッ……これが我が力。一つの宇宙を司る力を我は持っているのだ。機械の体を修復する事など容易い。貴様が何度このコピーを倒そうとも復活させる事ができるのだ。貴様のする事は全て無駄だ」
魔剣に封じ込められた龍、アナザードラゴンの言葉を聞き、ボクはギリっと歯軋りをする。
その時、メカは表情を歪ませ、アナザーを睨んでいた。
「アナザー、確かに僕を直してくれた事には感謝する。凄く助かった。だがコピーなんて言うな。オリジナルなのは僕のほうだよ。自分で口にするのはいいが人に言われると癪に触る」
「……クク、善処しよう。だがお前こそ気をつけろ。我がお前に協力しているのはあくまで我の目的のためだ。我の怒りを買えば我の協力は得られない。お前は目の前のぬいぐるみ如きに容易く葬られるぞ」
「ブン殴りたいところだけどその通りだよ。その通りだから……もう本気でやる。フォームアップ」
メカは右手の人差し指に付けたピンク色の指輪のダイヤルを左手で回して言葉を口にした。
指輪から鎧が飛び出し、メカに装備された。
「機械が鎧を着るなんて……」
「この体が衝撃に弱いのはよくわかった。バトルバニーはあくまで量産型兵器。倒される事前提の設計で防御力は低めみたいだからね。鎧で体を覆えばかなりマシになる。それにこの鎧にはこの場所に至るまでの道中に使用した素晴らしい機能があるんだよ。オーバークロック!」
メカは一瞬にしてボクの視界から姿を消した。
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