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閑話 キミを倒すのは僕だ。

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 この世界ミルフィルムの果てで一つの闇が活動を始めていた。

「妖精サラ……いや、『宇佐美つきみ』。待っていろ、必ず僕がキミを倒してやる」

 その声の主は身長四十センチメートルほどで、黒いフード付きのローブを見に纏い、フードの中から青い目を光らせていた。

「クククッ……面白い。不幸の妖精『メカ』と幸せの妖精サラ……どちらが本物であるのか証明が始まるわけだ」

 不幸の妖精メカの左手に握られている黒い刀から重低音の声が響いた。

「まあ見ていなよアナザー。幸せなやつなんてただの甘ちゃんだよ。僕は何度も地獄を見てきたんだ。僕が負けるなんて事は原理的に起こらない。この世に生まれた時点で死は覚悟しなければならないのに、あいつにはそれが出来ていない。経験値が不足し過ぎている。僕は死線を彷徨って何度も死の恐怖を味わったけど、この結論に辿り着いてからは一度だって恐怖を感じた事はない。死を怖がって逃げたり判断が遅れたりすればそれが命取りになる。死ぬ事を覚悟している僕があいつに負けるわけがない。どんな世界でも地獄を見てその上でそれを受け入れ、向き合う覚悟をしたものが勝つ。この世の全ての闇を魂に刻み込んだ僕が一番強い。ルールの存在する格闘技のチャンピオンや、大きな組織の一員であるという安心感を持つ軍人ごときなんてとうに超えているのさ。僕はお前と出会うまでこの世の闇とたった一人で戦ってきたんだ。僕はもうモルモットじゃない。今まで溜まった鬱憤をあいつに全部ぶつけてやる。本物は僕だと証明するッ!!」

 メカの言葉を聞き、アナザーと呼ばれた黒い刀はクカカッと笑い、柄の目玉のような装飾から赤い妖光を放った。


「ついに『不幸』が動き出したみたいね。ミルウィとサラは上手くやってくれるかしら?」

 その様子を大きな鏡に写して見ていたミルクウィードさんによく似た女性は、四十センチメートルのくまのぬいぐるみを両手で抱えながら微笑んだ。
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