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5章
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体育の授業は恐怖と支配で指導してナンボだ。そうするとみんな否応がなしに従う。
洗脳教育に近いかもしれない。それが手っ取り早いから。
国を支配した感覚だ。奴隷が跪いて言うこと聞いてくれるから。
社会人になれば研修や仕事で恐怖と支配を押し付けて指導する会社が沢山ある。
今のうちに叩き込めば社会に出ても耐えられるだろう。
大人しく従っとけば、こんな騒ぎにならなかったのに。
元は志村真凜というやつが気をつけの最中に目をかいたから、制裁しただけだ。
神原千夏という軟弱な女も死ななかった。
喘息だかなんだか知らないが、たかだか少し走っただけで息苦しくなるなんて、頭おかしい。
喘息の吸入薬なんか授業に関係ないものだから投げ捨てた。
たとえ担任の承諾や医師の証明があろうかと、自分の授業では関係ない。
それなのに志村真凜が事情を説明して意味がわからなかった。
うるせー女だ。生意気だから蹴りを入れた。
本人は痛みを堪えながら、ただの同級生の一人に過ぎないやつの吸入薬を一生懸命取りに行こうとして滑稽だった。
同級生一人で何でここまで助けるか分からない。
神原千夏が倒れた時に死んでは責任取る立場になったらめんどくさいから、倫子と一緒に保健室いくフリして駐車場に向かって適当にどっか向かった。
二人でクルマ乗っていると高揚感が半端なかった。
罪悪感より責任から逃げるのと二人で秘密を共有してる楽しさが勝った。
――自分達は絶対悪くない。勝手に動いた連中や逆らった奴らが悪い。結果として死んだに過ぎない。
倫子が今回関わった生徒とその担任、警備員と保健室の教師と辞めさせる話をしてくれた。
邪魔者がいなくなることを考えたら嬉しかった。
あとは学園長と教頭がいなくなれば万々歳だ。
彼女達の担任がいなくなれば田丸先生がなればいいと倫子が言ってくれた。
倫子の腰巾着達に根回しを散々したのに。
今、目の前で全部バラされてる。
家族にも学園長と教頭のアイツにも。
ネットで一部始終が拡散されている。
「おめえらどうするつもりなんだ。俺たちは謝罪も何もするつもりはないからな!!」
俊治は机を足で蹴る。
「あんたいい加減にせんか!! まだ自分の立場を理解してないの?」
「うるせー黙ってろ!! 死ね!! どいつもこいつも俺様にエラソーに!!」
加奈子に注意されますます不快度が上がる俊治。
「うるさいのは君の方だ、田丸先生。普段の勤務態度といい、ここでの態度といい、非常に悪すぎる。田丸先生に心酔する校長も同類だ」
忌々しげに話す顕信に「俊治さんを悪く言わないで!」と止める倫子。
顕信は盲目状態の倫子を見切る。それは学園長も同じだ。
「もうこれ以上話しても無駄ですね。学園長」
「ああ、そうだな」
「――あなた達二人を懲戒処分に致します。そして慰謝料の請求――怪我をされた志村真凜さん、亡くなられた神原千夏さん、佐久間教頭そして、田丸先生の奥様宛に。正式な書類をこれから渡します」
淡々と告げた学園長からの言葉に、俊治は学園長に近づく。
ポケットからカッターを取り出して「俺たちを懲戒処分だぁ? ふざけんな。殺されたくなかったら取り消せ」
学園長の顔が震えていた。
「もうやっちゃってー!」
ニコニコと子どもを見守るような目の倫子。
校長室の空気が固まった。
洗脳教育に近いかもしれない。それが手っ取り早いから。
国を支配した感覚だ。奴隷が跪いて言うこと聞いてくれるから。
社会人になれば研修や仕事で恐怖と支配を押し付けて指導する会社が沢山ある。
今のうちに叩き込めば社会に出ても耐えられるだろう。
大人しく従っとけば、こんな騒ぎにならなかったのに。
元は志村真凜というやつが気をつけの最中に目をかいたから、制裁しただけだ。
神原千夏という軟弱な女も死ななかった。
喘息だかなんだか知らないが、たかだか少し走っただけで息苦しくなるなんて、頭おかしい。
喘息の吸入薬なんか授業に関係ないものだから投げ捨てた。
たとえ担任の承諾や医師の証明があろうかと、自分の授業では関係ない。
それなのに志村真凜が事情を説明して意味がわからなかった。
うるせー女だ。生意気だから蹴りを入れた。
本人は痛みを堪えながら、ただの同級生の一人に過ぎないやつの吸入薬を一生懸命取りに行こうとして滑稽だった。
同級生一人で何でここまで助けるか分からない。
神原千夏が倒れた時に死んでは責任取る立場になったらめんどくさいから、倫子と一緒に保健室いくフリして駐車場に向かって適当にどっか向かった。
二人でクルマ乗っていると高揚感が半端なかった。
罪悪感より責任から逃げるのと二人で秘密を共有してる楽しさが勝った。
――自分達は絶対悪くない。勝手に動いた連中や逆らった奴らが悪い。結果として死んだに過ぎない。
倫子が今回関わった生徒とその担任、警備員と保健室の教師と辞めさせる話をしてくれた。
邪魔者がいなくなることを考えたら嬉しかった。
あとは学園長と教頭がいなくなれば万々歳だ。
彼女達の担任がいなくなれば田丸先生がなればいいと倫子が言ってくれた。
倫子の腰巾着達に根回しを散々したのに。
今、目の前で全部バラされてる。
家族にも学園長と教頭のアイツにも。
ネットで一部始終が拡散されている。
「おめえらどうするつもりなんだ。俺たちは謝罪も何もするつもりはないからな!!」
俊治は机を足で蹴る。
「あんたいい加減にせんか!! まだ自分の立場を理解してないの?」
「うるせー黙ってろ!! 死ね!! どいつもこいつも俺様にエラソーに!!」
加奈子に注意されますます不快度が上がる俊治。
「うるさいのは君の方だ、田丸先生。普段の勤務態度といい、ここでの態度といい、非常に悪すぎる。田丸先生に心酔する校長も同類だ」
忌々しげに話す顕信に「俊治さんを悪く言わないで!」と止める倫子。
顕信は盲目状態の倫子を見切る。それは学園長も同じだ。
「もうこれ以上話しても無駄ですね。学園長」
「ああ、そうだな」
「――あなた達二人を懲戒処分に致します。そして慰謝料の請求――怪我をされた志村真凜さん、亡くなられた神原千夏さん、佐久間教頭そして、田丸先生の奥様宛に。正式な書類をこれから渡します」
淡々と告げた学園長からの言葉に、俊治は学園長に近づく。
ポケットからカッターを取り出して「俺たちを懲戒処分だぁ? ふざけんな。殺されたくなかったら取り消せ」
学園長の顔が震えていた。
「もうやっちゃってー!」
ニコニコと子どもを見守るような目の倫子。
校長室の空気が固まった。
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