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3章
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志村真凜は学校から出席停止を求められてずっと家にいる。
今日で一週間。
あの日に投稿したSNSはあっという間に、拡散された。
労いの言葉もあれば批判の言葉もあった。
嘘松とか自作自演とか。
一番心に来たのは『お前が殺したようなもん』だった。
現場見てない癖に。
私の何がわかるのよ!
最近は家に知らない人がウロウロしているのが見えるので、極力外に出ないようにしている。
宅配を装って家を撮影しに来た人達が来た時は言葉に出来なかった。
『ねぇ? いまどんな気持ち?』
男性複数人でインターフォン越しに話しかけてきた。まるで人の不幸を楽しむかのように。
私の家が全世界に公開処刑されているのかと思うと、おちおち外に出るなんてできない。
今まで近所のスーパーや買い物によく行っていたけど、あの一件から知らない人に追いかけられたり、声かけられたり続いたので、通販で済ましている。
宅配や郵便が来ても置いてもらっている。
直接の顔合わせるのがこわい。
担任は何としてでも真凜の無罪を晴らそうと躍起になってる。
真凜はスマホを開いて、学校専用の連絡アプリを開く。
これでクラスの連絡や学校からのお知らせが一斉に送られる。
「えっ・・・・・・? なんで?!」
画面にはアカウントがありませんの表示。
「嘘、マジで? 何で?」
再ログインするために、パスワードとアカウントを思い出す。が出てこない。
入学式の時に配られた学校専用アプリの説明が書かれたプリントを学校鞄から取り出す。
プリントにアカウントとパスワードをメモしたのだから。
プリントと照らし合わせて再ログインをするがだめだ。
何回やっても同じ結果。
先週まで普通にログインできたのに。
アカウント停止になるようなこともしてない。
真凜はスマホの画面の前で落胆した。
「まさか、出席停止になったから、アカウントを消したとか?」
真凜はクラス内のグループチャットでログインできないことを愚痴る。
これは学校のアプリとは別で、各クラス自分達でグループチャットを作っている。
参加は任意だ。
このままアプリが使えないと、学校の大事な予定が確認できなくなる。
グループチャットに頼るのもさすがに他のクラスメイトに申し訳ない。
真凜は学校に電話かけた。
いちかばちか担任が出るのを祈るばかり。
「はい、藤ノ宮女子高校です」
出たのは女性教師だ。
「私、一年二組の志村真凜と申しますが、佐田先生いらっしゃいますか?」
真凛は硬い声で尋ねる。ただでさえ目上の人に電話をするのは緊張する。
「・・・・・・佐田先生なんていらっしゃいませんが」
女性の発言に耳を疑う。
「一年二組の佐田佳樹先生です。私の担任なんですが・・・・・・」
「佐田先生なんていらっしゃいません!! 一年二組の担任は別の方です」
「ちょっと、待ってください! 別の方って?」
「個人情報なのでお教えできません」
女性は強く言い切って、電話を切った。
真凜は何がなんだか分からない。
学校の予定を調べるにも、ログインができない。
担任に繋げてもらおうとしてもらったら「存在していない」と言われる。
真凜は再びクラスのグループチャットに電話でのやりとりを投稿する。
すると返事がきた。東だ。
曰く、佐田先生は退職で、次回登校する時には代わりに田丸がすると。
保護者に伝わってるはずだと。
学校のアプリにログインできないのは紬も同様だったと。
真凜は東の投稿に対して、全く情報が来てないし、親も担任が代わるなんて聞いてないと送った。
次々と既読の跡が付く。
後追いするようにマジかよとか、何で? のコメントがつづく。
こっちが知りたい。
『もしかしたら、校長の指示かも。まーりんとつーちゃんがアプリ繋げられないようにアカウント停止、佐田先生には今回の件が表沙汰になったら困るから辞めてもらって、田丸を担任にさせるのかも。校長、田丸のことかなり気に入ってるらしいから。先輩から聞いた』
東の投稿になんとなく納得できる。
今回の件に関わった人を片っ端から排除させることで、何事もなかったかのようにするつもりなのかもしれない。
保健室の高山先生もそのうち辞めさせられるかもしれない。
真凜にとって学校の情報を手に入れる方法はこのクラス内のチャットだけだ。
しばらくこのチャットに、もし何かあったら教えてほしいと送った。
真凜は机の上に突っ伏した。
腹立たしさと悲しさと悔しさと。
クラス全員が完璧に集団行動の練習ができていたら?
私が花粉症を我慢しとけば解決できた?
千夏が死んだ以上私は言われて当然なの?
家にまで嫌がらせが来てるのも、誹謗中傷されるのも自分が悪いの?
『藤ノ宮女子高校の件はまーりんが元凶』と言わんばかりに噂が独り歩きしている。
一番辛いのは千夏の家族だ。
私は弱音を吐いたらいけない立場なのかもしれない。
だから、いかに自分と向き合ってきちんと解決と再発防止してほしい。
――田丸と校長は絶対許さない。
本音を言うともうこの二人に会いたくない。
いなくなってほしい。
両親が揃った夜、真凜は学校のアプリが繋がらなくなったこと、担任の先生が田丸に代わったことを話した。
「えーっ!! どうして?」
「まさか、千夏ちゃん絡み?」
青ざめた真凜の父が学校に電話しようとする。
時間が七時前なので、繋がるかどうか分からない。
「いつもお世話になっています。私、一年二組の志村真凜の父なんですが・・・・・・」
しばらく電話のやりとりを見守る。
「・・・・・だめだ、一方的に切られた・・・・・・『うちにはそんな生徒いません!』」ってさ。随分失礼な言い方するなー」
応対したのは男性だった。
「校長から箝口令敷かれてるんじゃないか? もう真凜もここの生徒じゃない扱いしてるのかも。あの校長、保護者会での自己保身ぶり酷かったからな。あれがよく教育者やってられるな」
「お父さんとこの会社に嫌がらせはなかった?」
「今のとこはない。むしろ同情的だよ」
真凜は胸を撫で下ろした。
「あー、そういや、藤ノ宮には色々イタ電来てるらしいな。もしかして、それもあるのか? あの学校が冷たい対応するのは」
保護者でも静観する人、事態を楽しむ人、学校の方針に納得してない人様々である。
「真凜、お前は悪くない。むしろ千夏ちゃんに対してベストを尽力したんだ。お父さん誇りに思ってる」
そうだ。自分はやれることをやったんだから。
「校長が無理なら、学園長に相談する。それしかない」
今日で一週間。
あの日に投稿したSNSはあっという間に、拡散された。
労いの言葉もあれば批判の言葉もあった。
嘘松とか自作自演とか。
一番心に来たのは『お前が殺したようなもん』だった。
現場見てない癖に。
私の何がわかるのよ!
最近は家に知らない人がウロウロしているのが見えるので、極力外に出ないようにしている。
宅配を装って家を撮影しに来た人達が来た時は言葉に出来なかった。
『ねぇ? いまどんな気持ち?』
男性複数人でインターフォン越しに話しかけてきた。まるで人の不幸を楽しむかのように。
私の家が全世界に公開処刑されているのかと思うと、おちおち外に出るなんてできない。
今まで近所のスーパーや買い物によく行っていたけど、あの一件から知らない人に追いかけられたり、声かけられたり続いたので、通販で済ましている。
宅配や郵便が来ても置いてもらっている。
直接の顔合わせるのがこわい。
担任は何としてでも真凜の無罪を晴らそうと躍起になってる。
真凜はスマホを開いて、学校専用の連絡アプリを開く。
これでクラスの連絡や学校からのお知らせが一斉に送られる。
「えっ・・・・・・? なんで?!」
画面にはアカウントがありませんの表示。
「嘘、マジで? 何で?」
再ログインするために、パスワードとアカウントを思い出す。が出てこない。
入学式の時に配られた学校専用アプリの説明が書かれたプリントを学校鞄から取り出す。
プリントにアカウントとパスワードをメモしたのだから。
プリントと照らし合わせて再ログインをするがだめだ。
何回やっても同じ結果。
先週まで普通にログインできたのに。
アカウント停止になるようなこともしてない。
真凜はスマホの画面の前で落胆した。
「まさか、出席停止になったから、アカウントを消したとか?」
真凜はクラス内のグループチャットでログインできないことを愚痴る。
これは学校のアプリとは別で、各クラス自分達でグループチャットを作っている。
参加は任意だ。
このままアプリが使えないと、学校の大事な予定が確認できなくなる。
グループチャットに頼るのもさすがに他のクラスメイトに申し訳ない。
真凜は学校に電話かけた。
いちかばちか担任が出るのを祈るばかり。
「はい、藤ノ宮女子高校です」
出たのは女性教師だ。
「私、一年二組の志村真凜と申しますが、佐田先生いらっしゃいますか?」
真凛は硬い声で尋ねる。ただでさえ目上の人に電話をするのは緊張する。
「・・・・・・佐田先生なんていらっしゃいませんが」
女性の発言に耳を疑う。
「一年二組の佐田佳樹先生です。私の担任なんですが・・・・・・」
「佐田先生なんていらっしゃいません!! 一年二組の担任は別の方です」
「ちょっと、待ってください! 別の方って?」
「個人情報なのでお教えできません」
女性は強く言い切って、電話を切った。
真凜は何がなんだか分からない。
学校の予定を調べるにも、ログインができない。
担任に繋げてもらおうとしてもらったら「存在していない」と言われる。
真凜は再びクラスのグループチャットに電話でのやりとりを投稿する。
すると返事がきた。東だ。
曰く、佐田先生は退職で、次回登校する時には代わりに田丸がすると。
保護者に伝わってるはずだと。
学校のアプリにログインできないのは紬も同様だったと。
真凜は東の投稿に対して、全く情報が来てないし、親も担任が代わるなんて聞いてないと送った。
次々と既読の跡が付く。
後追いするようにマジかよとか、何で? のコメントがつづく。
こっちが知りたい。
『もしかしたら、校長の指示かも。まーりんとつーちゃんがアプリ繋げられないようにアカウント停止、佐田先生には今回の件が表沙汰になったら困るから辞めてもらって、田丸を担任にさせるのかも。校長、田丸のことかなり気に入ってるらしいから。先輩から聞いた』
東の投稿になんとなく納得できる。
今回の件に関わった人を片っ端から排除させることで、何事もなかったかのようにするつもりなのかもしれない。
保健室の高山先生もそのうち辞めさせられるかもしれない。
真凜にとって学校の情報を手に入れる方法はこのクラス内のチャットだけだ。
しばらくこのチャットに、もし何かあったら教えてほしいと送った。
真凜は机の上に突っ伏した。
腹立たしさと悲しさと悔しさと。
クラス全員が完璧に集団行動の練習ができていたら?
私が花粉症を我慢しとけば解決できた?
千夏が死んだ以上私は言われて当然なの?
家にまで嫌がらせが来てるのも、誹謗中傷されるのも自分が悪いの?
『藤ノ宮女子高校の件はまーりんが元凶』と言わんばかりに噂が独り歩きしている。
一番辛いのは千夏の家族だ。
私は弱音を吐いたらいけない立場なのかもしれない。
だから、いかに自分と向き合ってきちんと解決と再発防止してほしい。
――田丸と校長は絶対許さない。
本音を言うともうこの二人に会いたくない。
いなくなってほしい。
両親が揃った夜、真凜は学校のアプリが繋がらなくなったこと、担任の先生が田丸に代わったことを話した。
「えーっ!! どうして?」
「まさか、千夏ちゃん絡み?」
青ざめた真凜の父が学校に電話しようとする。
時間が七時前なので、繋がるかどうか分からない。
「いつもお世話になっています。私、一年二組の志村真凜の父なんですが・・・・・・」
しばらく電話のやりとりを見守る。
「・・・・・だめだ、一方的に切られた・・・・・・『うちにはそんな生徒いません!』」ってさ。随分失礼な言い方するなー」
応対したのは男性だった。
「校長から箝口令敷かれてるんじゃないか? もう真凜もここの生徒じゃない扱いしてるのかも。あの校長、保護者会での自己保身ぶり酷かったからな。あれがよく教育者やってられるな」
「お父さんとこの会社に嫌がらせはなかった?」
「今のとこはない。むしろ同情的だよ」
真凜は胸を撫で下ろした。
「あー、そういや、藤ノ宮には色々イタ電来てるらしいな。もしかして、それもあるのか? あの学校が冷たい対応するのは」
保護者でも静観する人、事態を楽しむ人、学校の方針に納得してない人様々である。
「真凜、お前は悪くない。むしろ千夏ちゃんに対してベストを尽力したんだ。お父さん誇りに思ってる」
そうだ。自分はやれることをやったんだから。
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