5 / 8
第5話
しおりを挟む
そして翌日。
「奇遇ですね。今向かおうと思っていたところです」
俺は再度高野さんの部屋を訪れようと部屋を出たら、玄関前で既に待っていた。
「私の部屋を見せたのだからあなたの部屋も見てみたかっただけよ」
「そうですか」
「とりあえず攻撃が始まるまで話でもしましょう。コーヒーはあるかしら」
俺は高野さんに言われるがままコーヒーを準備し、昨日学んだことについて話した。
しかし、これといってめぼしい情報は無かった。
地獄の住人が仕事を探す先の案内や、一般常識など、一応異文化だから覚えておけよという知識の習得がメインだった。
強いて言うなら、先祖に連絡を取ることが出来るようになったことか。
とは言ってもひいじいちゃんまでだったが。まあ子孫は倍々ゲームの勢いで増えていくからな。
5代後の親族なんて実際にはほとんど血が繋がっていない。
後でとりあえずじいちゃんには連絡するか。
「まあこの世界に住むのだから必要な情報ではあったのだけれど」
「戦争に関しては実際に見てみないと分からないようだね」
10時から始まるということなので、大人しく待つことにした。
別にやっていることはただの戦争なので時間なんて気にしなくても良い気がするが。
まあエンタメがここでも存在するのだから仕方ないか。
「そろそろ始まるわね」
俺たちは昨日の学習で学んだとおりに端末をテレビに接続した。勿論無線で。
どこを探せどコードがコンセントすら無いから何に使うんだと思っていたが、単に便利なだけであった。
表示されているのは何かの機体越しの映像のようだ。ガラス越しに天国の様子が映っていた。
「天国は逆に古代に戻っている感じがするわ」
俺たちが初めて目にした天国というものは、ほとんど大自然そのものだった。
流石に家などは存在しているが、文明レベルは明らかに低い。建物も古代遺跡で見られるようなものばかりだ。
「神は私たちにああいう生活を望んでいたんだね」
本当に最低限人間が生きていけるレベルでしかなかった。
天使は何故あんなものを良しとしたのだろうか。
現代の先進国出身の天使は、生活レベルの差に困らなかったのだろうか。
「敵の本拠地に辿り着いたみたいね」
そんなことを考えている間に目的地に到達したようだ。
恐らく神が住んでいるであろう場所。超巨大な神殿だった。
ここから
『我々は今から、神を殺す!』
という宣言を皮切りに、集中砲火が始まった。
『人間が、我に勝てると思うな』
攻撃を始めてから数分後、重々しい足取りにて神が現れた。
「これが神なのね」
それは、神とは思えない姿だった。
確かに巨大であり、力を感じさせるのだが、見た目はいたって普通の人間と変わらなかった。
しかし構わず攻撃を続ける。が一切効いていない。それが他の生命体との違いをひしひしと感じさせる。
『ひれ伏すがよい』
その言葉と共に腕を振り回す。それと共に衝撃波がこちらを襲う。
そして一気に半数ほどの機体が地に堕ちた。
「本当に勝てるのかしら?」
「どうだろう。かなり不利に見えるけど、指揮官の中にあのヒトラーが混じっているから何かありそう」
第二次世界大戦で大敗を喫したヒトラーが何かしらの策を持たずに再度戦争を起こそうとするとは正直思えない。
そもそも今回の状況も小さき国が大きなものと戦うという構図に変わりないしな。
流石に神様を舐めてかかるほどのアホだとは思えない。
そんなことを考えていると、第二陣が現れた。どうやら用意した戦力は予想以上に多かったようだ。
だが、それでも神の攻撃には一切歯が立っておらず、ただ二の足を踏むだけとなっていた。
『この程度で私に抗おうと思ったのか?流石は私の意思に反しようとする者たちだ。身の程知らずにも程がある』
やはり神は地獄の住人を相当に嫌っているらしい。
『この戦いが終わったら、天使たちに貴様らの世界を滅ぼすように指示をするか。塵も残らぬほどに。愚者に慈悲を残した私が馬鹿だった』
「こいつめちゃくちゃ言っているわね。いくら創造主と言っても終わっているわ」
「そうだね」
人間が神話で描いた神もこのような人間性であることが多いので、実は妥当な性格であるともいえる。
もしかすると強すぎる力を持った者はだいたいこうなってしまうのかもな。
そして第3陣がやってきてそのまま神に倒されたのち、大きな動きがあった。
神の住んでいる神殿が崩壊したのだ。
最初から狙いはあの神殿だったようだ。
『何をする!これはこの世界を管理するために重要な物なのだぞ!』
急に焦りだす神。この世界の管理は神の権能では無かったのか?
『貴様はそもそもこの世界をたいして管理していないだろう。それならば今のこの世界にはそんなものは必要がない。それに、必要になれば我々の技術力で解決するのみだ』
「よく見るとオーラが小さくなっていないかしら」
「本当だ」
神が画面に初めて現れた時は神様らしく神々しい光を放っていた。
しかし、今は鈍っており、どちらかと言えば黒い。
『この状態になった神に我々が負ける道理はない!いざ出陣だ!』
「奇遇ですね。今向かおうと思っていたところです」
俺は再度高野さんの部屋を訪れようと部屋を出たら、玄関前で既に待っていた。
「私の部屋を見せたのだからあなたの部屋も見てみたかっただけよ」
「そうですか」
「とりあえず攻撃が始まるまで話でもしましょう。コーヒーはあるかしら」
俺は高野さんに言われるがままコーヒーを準備し、昨日学んだことについて話した。
しかし、これといってめぼしい情報は無かった。
地獄の住人が仕事を探す先の案内や、一般常識など、一応異文化だから覚えておけよという知識の習得がメインだった。
強いて言うなら、先祖に連絡を取ることが出来るようになったことか。
とは言ってもひいじいちゃんまでだったが。まあ子孫は倍々ゲームの勢いで増えていくからな。
5代後の親族なんて実際にはほとんど血が繋がっていない。
後でとりあえずじいちゃんには連絡するか。
「まあこの世界に住むのだから必要な情報ではあったのだけれど」
「戦争に関しては実際に見てみないと分からないようだね」
10時から始まるということなので、大人しく待つことにした。
別にやっていることはただの戦争なので時間なんて気にしなくても良い気がするが。
まあエンタメがここでも存在するのだから仕方ないか。
「そろそろ始まるわね」
俺たちは昨日の学習で学んだとおりに端末をテレビに接続した。勿論無線で。
どこを探せどコードがコンセントすら無いから何に使うんだと思っていたが、単に便利なだけであった。
表示されているのは何かの機体越しの映像のようだ。ガラス越しに天国の様子が映っていた。
「天国は逆に古代に戻っている感じがするわ」
俺たちが初めて目にした天国というものは、ほとんど大自然そのものだった。
流石に家などは存在しているが、文明レベルは明らかに低い。建物も古代遺跡で見られるようなものばかりだ。
「神は私たちにああいう生活を望んでいたんだね」
本当に最低限人間が生きていけるレベルでしかなかった。
天使は何故あんなものを良しとしたのだろうか。
現代の先進国出身の天使は、生活レベルの差に困らなかったのだろうか。
「敵の本拠地に辿り着いたみたいね」
そんなことを考えている間に目的地に到達したようだ。
恐らく神が住んでいるであろう場所。超巨大な神殿だった。
ここから
『我々は今から、神を殺す!』
という宣言を皮切りに、集中砲火が始まった。
『人間が、我に勝てると思うな』
攻撃を始めてから数分後、重々しい足取りにて神が現れた。
「これが神なのね」
それは、神とは思えない姿だった。
確かに巨大であり、力を感じさせるのだが、見た目はいたって普通の人間と変わらなかった。
しかし構わず攻撃を続ける。が一切効いていない。それが他の生命体との違いをひしひしと感じさせる。
『ひれ伏すがよい』
その言葉と共に腕を振り回す。それと共に衝撃波がこちらを襲う。
そして一気に半数ほどの機体が地に堕ちた。
「本当に勝てるのかしら?」
「どうだろう。かなり不利に見えるけど、指揮官の中にあのヒトラーが混じっているから何かありそう」
第二次世界大戦で大敗を喫したヒトラーが何かしらの策を持たずに再度戦争を起こそうとするとは正直思えない。
そもそも今回の状況も小さき国が大きなものと戦うという構図に変わりないしな。
流石に神様を舐めてかかるほどのアホだとは思えない。
そんなことを考えていると、第二陣が現れた。どうやら用意した戦力は予想以上に多かったようだ。
だが、それでも神の攻撃には一切歯が立っておらず、ただ二の足を踏むだけとなっていた。
『この程度で私に抗おうと思ったのか?流石は私の意思に反しようとする者たちだ。身の程知らずにも程がある』
やはり神は地獄の住人を相当に嫌っているらしい。
『この戦いが終わったら、天使たちに貴様らの世界を滅ぼすように指示をするか。塵も残らぬほどに。愚者に慈悲を残した私が馬鹿だった』
「こいつめちゃくちゃ言っているわね。いくら創造主と言っても終わっているわ」
「そうだね」
人間が神話で描いた神もこのような人間性であることが多いので、実は妥当な性格であるともいえる。
もしかすると強すぎる力を持った者はだいたいこうなってしまうのかもな。
そして第3陣がやってきてそのまま神に倒されたのち、大きな動きがあった。
神の住んでいる神殿が崩壊したのだ。
最初から狙いはあの神殿だったようだ。
『何をする!これはこの世界を管理するために重要な物なのだぞ!』
急に焦りだす神。この世界の管理は神の権能では無かったのか?
『貴様はそもそもこの世界をたいして管理していないだろう。それならば今のこの世界にはそんなものは必要がない。それに、必要になれば我々の技術力で解決するのみだ』
「よく見るとオーラが小さくなっていないかしら」
「本当だ」
神が画面に初めて現れた時は神様らしく神々しい光を放っていた。
しかし、今は鈍っており、どちらかと言えば黒い。
『この状態になった神に我々が負ける道理はない!いざ出陣だ!』
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
再び君に出会うために
naomikoryo
SF
僕たちは宇宙の中で存在している、地球上のものでいえばエネルギー生命体に近い存在だ。星間塵(せいかんじん)を糧として、宇宙空間であれば何万光年も生きていける。
気の合う同じ種族の異性とは合体することで一つの生命体となり、気持ちが変われば分裂して個々となり、離れて行く。言葉は持たないが一種のテレパスを使って感情を伝え合うことができる。
僕たちは、とある彗星に流され引力を持つ星に、途中で分裂させられながら降りてしまった。宇宙に戻ることも出来ず、ただ少しずつエネルギーを失いながら消滅するしかなくなっていた僕は、最後にもう一度彼女と出会うことを望んでテレパスを送り、何とか移動し続けるしかなかった・・・

Observer ー観測者ー
selen
SF
環境問題を巡る第三次世界大戦で、いよいよ地球は人の住める惑星ではなくなってしまった。
人々はロケットに乗り込み、新しい惑星へと飛び立った。
そして各々の進化を遂げた人類が、再び“仲間”を求めだす。
行ったことも無い惑星に居る、自分とは姿かたち、何もかもが違う仲間。
「それでもまた会いたい。」そう願う2人の少女の話。
星に願いを(新版)
平 一
SF
〝不思議なサイトで答えたら……異星人からご挨拶!?〟
〝未来の神話〟ルシファー・シリーズ、初期作品の新版です!
一オタクの目線(笑)で、人類と異星人の接触を描きました。
旧版を、次の作品に刺激されて書き直しました。
イラスト:『黒』 https://www.pixiv.net/artworks/98430695
『w』 https://www.pixiv.net/artworks/63134293
『慈愛の女神』 https://www.pixiv.net/artworks/105119343
動画: 『stars we chase』 https://www.youtube.com/watch?v=ZjP1zJEbFOI
『MONSTER GIRLS』 https://www.youtube.com/watch?v=lZ0aPIGXk5g
『Strawberry Trapper』 https://www.youtube.com/watch?v=uDAc22a7rvM
『幻日ミステリウム』 https://www.youtube.com/watch?v=90T6WnER5ss
『Imprevious Resolution』
https://www.youtube.com/watch?v=v_zH3S9qdRQ&list=RDMMv_zH3S9qdRQ&start_radio=1
奇想譚から文明論まで湧き出すような、
素敵な刺激を与えてくれる文化的作品に感謝します。
異星人が使った六芒星(✡)は、私見〝文明の星〟理論によるもので、
後の『イシュタル』や『会見』にも書きました。
執筆後、過去・現在・未来を語る悪魔が多いことに気づきましたが、
それについては後の『プルソン』で理由付けしました。
ご興味がおありの方は『Lucifer(ルシファー)』シリーズ他作品や、
エッセイ『文明の星』シリーズもご覧いただけましたら幸いです。
SF作品頻出英会話重要表現※音声リンクあり
ひぽぽたます
SF
SF作品に頻出する英会話の重要表現(私が理解しづらかった構文や表現)を掲載します。
音声はYoutubeで聞けます。下方にリンクを貼りました。※英会話重要表現リスニング練習
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
歴史改変大作戦
高木一優
SF
※この作品は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』第一部を増補・改稿したものです。
タイムマシンによる時間航行が実現した近未来、歴史の謎は次々に解明されていく。歴史の「もしも」を探求する比較歴史学会は百家争鳴となり、大国の首脳陣は自国に都合の良い歴史を作り出す歴史改変実験に熱中し始めた。歴史学者である「私」はひとつの論文を書き上げ、中国政府は私の論文を歴史改変実験に採用した。織田信長による中華帝国の統一という歴史改変を目的とした「碧海作戦」が発動されたのだ。これは近代において、中華文明を西欧文明に対抗させるための戦略であった。神の位置から歴史改変の指揮を執る私たちは、歴史の創造者なのか。それとも非力な天使なのか。もうひとつの歴史を作り出すという思考実験を通じて、日本、中国、朝鮮の歴史を、おちょくりつつ検証する、ちょっと危ないポリティカル歴史改変コメディー。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる