44 / 53
44話
しおりを挟む
男女に別れ、それぞれ更衣室へと向かった。
私と冴木は男同士かつそこまで関係値が深いわけではないので特に何があるわけでもなかった。
強いて言えば冴木が私の腹筋を見て驚いていたことだろうか。
同業の配信者は体を鍛えている人が少なかったから珍しいんだろうな。
「悪いね、ちょっと時間がかかっちゃったよ」
私たちが着替えから出て数分後、次葉とサキが出てきた。
「やっぱり着替えてきて良いですか?」
次葉は堂々としているが、サキは何故か恥ずかしそうに次葉の裏に隠れていた。
「似合っているんだから堂々とすればよいじゃないか」
肌面積が少なめなフリルのついたピンクのビキニという中々にハードルが高い水着ではあるが、似合っているのであれば恥ずかしがる意味も無いだろうに。
「そういう問題じゃなくてね……」
まあそんな単純な話ではないか。カメラ越しか生かで見られる感覚は結構違うしな。
「私はどうかな?」
「似合っているに決まっている」
「ありがとう。優斗君も似合っているよ」
「海パンだけなのに似合っているも何も……って急になんだ」
「早く行くよ」
突然私をお姫様抱っこしてきた次葉は砂浜を走り出した。
「はい!」
「は?」
そして何故か用意されていたパラソルの中に入り、私を座らせて次葉がうつ伏せで寝た。
「当然やることは分かっているよね?」
「これか」
近くにはこれをやれと言わんばかりに多種多様な日焼け止めが配置されていた。
「じゃあ任せたよ」
「分かったよ」
これは断っても無駄だろうな。やるしかないか。
「とりあえずこれか……?」
日焼け止めについては流石に詳しくないので、とにかく肌に優しくて効果が高そうなものを選ぶことにした。
そこらの男と比べても次葉は強く大きく育ったが、昔は虚弱で病気がちだったからな。気を使うに越したことはないだろう。
「んっ……塗るなら塗るって言ってよ……」
「ああ、すまない。冷たかったな」
「うん……」
手に出した日焼け止めを伸ばしてからそのまま塗ったら次葉に怒られた。
「気を取り直して、今から塗るぞ……」
「分かったよ。んっ……」
予告したところで一切反応が変わっていない気はするが気にせず進めていく。
「相変わらず肌綺麗だな」
イラストの仕事で毎日忙しくてケアにそこまで時間を掛けられていない筈なのだが、次葉の肌は毎日ケアを欠かしていない美容系のOurTuberに負けず劣らずの透き通った肌をしている。
「しっかり栄養のある食事をとって、適度に運動して適度に睡眠をとっているからね」
「それで綺麗な肌を維持できるものなのか……?」
「健康が一番のスキンケアだからね。まあ髪については美容院で定期的にケアしてもらってるけど」
「そういうものなんだな……」
私も健康にはそこそこ気を使っている方なのだが、恐らく次葉ほどではないのだろうな。
「そういうこと。にしても優斗君にも苦手なものがあったんだね」
「そうか?」
確かに日焼け止めを塗る作業は初めてだったが、別に下手だとは思わないんだが。
「うん。日焼け止めを塗るのにやけに時間がかかっているし、力も入っているよ?」
「それは次葉を気遣った結果なんだが」
「私?」
「ああ。手早く適度な力で塗っていたら会話出来ないくらいにくすぐったがっていただろ」
冷たい事が声をあげていた主な原因だが、くすぐられる事への耐性の無さも結構あっただろ。
「別に大丈夫だよ?ちゃんと耐えられるから」
「耐えるって言っている時点で駄目だろ」
大丈夫なら感じないからと答えてくれ。
「まあ、一旦これで終了だ」
「ありがとう。じゃあ次は優斗君の番だね」
「私は別に良いが」
日焼けは特に気にしていないしな。
「そういう問題じゃないんだよ。ほら」
「おい」
次葉はやたら慣れた手つきで私をうつ伏せに寝かせ、私の太ももの上に座って脱出を封じてきた。
「ほら、されるがままにした方が楽だからね」
「あのな……」
「はいはい、楽しみに待っていてね。どれにしようかな……」
私の声は一切聞き入れる様子はないらしく、楽しそうに日焼け止めを選んでいた。せめて早くしてくれ。
「じゃあ始めるね……」
私と冴木は男同士かつそこまで関係値が深いわけではないので特に何があるわけでもなかった。
強いて言えば冴木が私の腹筋を見て驚いていたことだろうか。
同業の配信者は体を鍛えている人が少なかったから珍しいんだろうな。
「悪いね、ちょっと時間がかかっちゃったよ」
私たちが着替えから出て数分後、次葉とサキが出てきた。
「やっぱり着替えてきて良いですか?」
次葉は堂々としているが、サキは何故か恥ずかしそうに次葉の裏に隠れていた。
「似合っているんだから堂々とすればよいじゃないか」
肌面積が少なめなフリルのついたピンクのビキニという中々にハードルが高い水着ではあるが、似合っているのであれば恥ずかしがる意味も無いだろうに。
「そういう問題じゃなくてね……」
まあそんな単純な話ではないか。カメラ越しか生かで見られる感覚は結構違うしな。
「私はどうかな?」
「似合っているに決まっている」
「ありがとう。優斗君も似合っているよ」
「海パンだけなのに似合っているも何も……って急になんだ」
「早く行くよ」
突然私をお姫様抱っこしてきた次葉は砂浜を走り出した。
「はい!」
「は?」
そして何故か用意されていたパラソルの中に入り、私を座らせて次葉がうつ伏せで寝た。
「当然やることは分かっているよね?」
「これか」
近くにはこれをやれと言わんばかりに多種多様な日焼け止めが配置されていた。
「じゃあ任せたよ」
「分かったよ」
これは断っても無駄だろうな。やるしかないか。
「とりあえずこれか……?」
日焼け止めについては流石に詳しくないので、とにかく肌に優しくて効果が高そうなものを選ぶことにした。
そこらの男と比べても次葉は強く大きく育ったが、昔は虚弱で病気がちだったからな。気を使うに越したことはないだろう。
「んっ……塗るなら塗るって言ってよ……」
「ああ、すまない。冷たかったな」
「うん……」
手に出した日焼け止めを伸ばしてからそのまま塗ったら次葉に怒られた。
「気を取り直して、今から塗るぞ……」
「分かったよ。んっ……」
予告したところで一切反応が変わっていない気はするが気にせず進めていく。
「相変わらず肌綺麗だな」
イラストの仕事で毎日忙しくてケアにそこまで時間を掛けられていない筈なのだが、次葉の肌は毎日ケアを欠かしていない美容系のOurTuberに負けず劣らずの透き通った肌をしている。
「しっかり栄養のある食事をとって、適度に運動して適度に睡眠をとっているからね」
「それで綺麗な肌を維持できるものなのか……?」
「健康が一番のスキンケアだからね。まあ髪については美容院で定期的にケアしてもらってるけど」
「そういうものなんだな……」
私も健康にはそこそこ気を使っている方なのだが、恐らく次葉ほどではないのだろうな。
「そういうこと。にしても優斗君にも苦手なものがあったんだね」
「そうか?」
確かに日焼け止めを塗る作業は初めてだったが、別に下手だとは思わないんだが。
「うん。日焼け止めを塗るのにやけに時間がかかっているし、力も入っているよ?」
「それは次葉を気遣った結果なんだが」
「私?」
「ああ。手早く適度な力で塗っていたら会話出来ないくらいにくすぐったがっていただろ」
冷たい事が声をあげていた主な原因だが、くすぐられる事への耐性の無さも結構あっただろ。
「別に大丈夫だよ?ちゃんと耐えられるから」
「耐えるって言っている時点で駄目だろ」
大丈夫なら感じないからと答えてくれ。
「まあ、一旦これで終了だ」
「ありがとう。じゃあ次は優斗君の番だね」
「私は別に良いが」
日焼けは特に気にしていないしな。
「そういう問題じゃないんだよ。ほら」
「おい」
次葉はやたら慣れた手つきで私をうつ伏せに寝かせ、私の太ももの上に座って脱出を封じてきた。
「ほら、されるがままにした方が楽だからね」
「あのな……」
「はいはい、楽しみに待っていてね。どれにしようかな……」
私の声は一切聞き入れる様子はないらしく、楽しそうに日焼け止めを選んでいた。せめて早くしてくれ。
「じゃあ始めるね……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる