アイアムイラストレーター!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

僧侶A

文字の大きさ
上 下
40 / 53

40話

しおりを挟む
 序盤はサキが活躍し、終盤は私が活躍する。ただサキが序盤で勝負を決めることが多いので私が試合で活躍する確率は3割程度、全体の比率で言えば2割にすら届かないことをサキは気付いていない。



「じゃあ私のターンね。『レックの審問』!!!!」

 そんな私たちが相対する戦艦ペアのデッキは終始相手の妨害に特化したデッキのようだ。

 玲子が相手の手札を減らし、海斗が相手のMPを減らす。見知らぬ人と組む場合は弱いデッキだが、見知った相手と示し合わせて構成を考えられる今回のような場ではかなり強いデッキである。

 しかし本当に使ってくる人が居るとは思わなかった。どちらもかなり嫌われているデッキだからな。

 恐らく一部のアンチから叩かれることよりも配信が盛り上がるかどうかを優先したのだろう。

 これが配信者としてのプロ意識ってやつなのだろう。


 ただ、

「『幽体の船長』でダイレクトアタック!!!」

 その戦法はサキとあまりにも相性が悪かった。

 全体的にサキのカードは低コストなせいでMPを減らしても特に影響は無いし、手札も補充しやすいデッキなので手札を減らしきるのは難しい。

 まあ私のデッキには刺さっているから私は何もできなかったんだがな。

「よし、勝ち!!!!」

 勝者として軽いインタビューを受けた後、舞台裏に戻って他の参加者の試合をのんびりと眺めていた。

 その際、私たちとの勝負に全てを賭けている絵馬たちに話しかけられると思ったのだが、そんなことはなく二人はずっと頭を抱えていた。

 先ほどの試合でやたら苦戦した後も自信満々な様子を崩さなかったのに何があったのだろうか。

 まあどんな状況でも私たちが勝つから関係ないがな。

 そんな事を考えている間に1回戦が全て終わり、準決勝が始まった。

「えっと、準決勝というわけで意気込みを聞きたかったのですが、絵馬さんと冴木さん、どうされました?」

 山本は台本通りに試合を勧めたかったのだろうが、1回戦とは打って変わってローテンションな二人にツッコまざるを得なかったようだ。

「いや、何もないです。サキ様を取り戻すために頑張ります……」

「私も同じく欲しいものを手に入れるために全力は尽くそうと思います……」

「欲しいもの……?」

 冴木は私の引退は願っているだろうが、それは欲しい「もの」なのか……?

 真っ当に考えれば

「勝ちたいという気持ちはあるようで何よりです。では先ほどとテンションが変わらないお二人の方にも一応聞いておきましょうか」

「私は特に言うことは無い。ただただまっとうに戦って勝利を手に入れるだけだ」

 意気込みを聞かれるが、私は誰が相手だろうと関係ない。

「大切なもののために全力で叩き潰そうと思ってます」

 しかしサキは違ったらしく、かなりやる気のようだ。いや、やる気というよりは殺気に近い気もするが。

 サキの欲しいものってのは恐らく私の持っている数字の事だろうな。この戦いで守れるものってそれくらいしかないし。

「叩き潰すって物騒ですね……もしかして裏で何かありました?」

 そんなサキの様子を不穏に思った山本は進行を忘れて更に追求してきた。

「色々ありましたね」

「そうなんですか……」

「ああ。この試合に負けたら私は配信活動を引退することになっている」

 そこまで語ってぼかすのも妙な話なので正直に話すことにした。

「ええ!?!?!?!?」

 当然ながら驚く山本。

「安心しろ。私が負けることは無いからな。それにこれの条件は勝った時の報酬の為だからな」

「報酬ですか?」

「ああ。今回私たちが勝ったら絵馬のチャンネルで行われる生配信の冒頭で7回ほどサキの宣伝をしてもらう約束になっている」

「報酬軽くないですか……?」

「別に軽くない。サキの宣伝は重要な報酬だ。それに、私は負けないからデメリットなんて一切ない」

「なら良いですけど。もう何が何だか分からないのでとりあえず試合が終わってから考えましょう。試合開始!!!」

 これまでで一番雑な試合開始の宣言によって準決勝が始まった。

 さて、どんな秘策を抱えているのだろうか……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...