37 / 41
37話
しおりを挟む
これ以上追及をしていると話が進まないので一旦放置。大事なのは燐さんとの話である。
「で後をつけていると、弟は公園に辿り着いた。そして金髪少女に話しかけられ、隣に座って仲良く話し始めていた」
「うん」
確かにこの間の話だな。本当に見ていたんだね。
「一見不良みたいな恰好をしているが、表情や纏う雰囲気が優しかったので良い人と仲良くしているなと感心していたら弟はその女性とどこかに向かって行ったのだ」
「うん」
「これで終わりだ」
「え?そこから先は付いて行かなかったの?」
この流れだと廃ビルに入っていくシーンまで見られているだろうなと思ったが、何故か付いてきておらず話が終了した。
「私は弟と偶然出くわす姉をやりたかったわけで、弟のプライベートをこっそり見たいというわけじゃないからな。いくら姉弟でもプライバシーというのは大事だ」
「そこは見ないんだね」
「当然だ」
「尾行しておいて……?」
こっそり尾行しておいてプライバシーがどうとかいう権利はないでしょ。
「とにかく、あの金髪少女の事も好きなのだろう?どこからどう見てもあの少女を好いている目をしていたぞ」
「そっか」
実際あの人は俺の全ての事情を知っている人だから、傍から見たらそういう感情がバレるのも仕方がないよなあ……
「やはりあの少女なのか?付き合うとしたら」
「うーん、って何を言っているのさ。そういうんじゃないよ」
危ない危ない。誰かを今から選ぶ考えになってしまっていた。弟としてあまりにも無礼すぎるだろ。
いや、姉の誰と付き合うことになったとしても、姉に尽くすために家事とか勉強とかは完璧にしてあるから大丈夫だ。
どのくらいのレベルかと言うと、仮にエクストラお姉さんとしてバンドマンを目指す家事も労働もしないヒモ系お姉さんが現れて付き合うことになったとしても問題ないようなレベルだ。
だから全員をそれなりに幸せにしてあげられる自信はある。
だがしかしあくまで姉は選ぶ立場であり、選ばれる立場ではない。ここだけは間違えてはならない。
「恋愛感情は無い、ね。私から見ると恋愛感情をまた別の感情で無理矢理抑えつけているだけように見えるけど」
俺の無難な答えに対してゆかりさんは妙な事を言った。
「恋愛感情を抑えつけている?」
「うん。自分ではそう思い込んでいるだけで、実は恋愛感情だったみたいな」
「そうかな?別に抑えつけているわけじゃないけど」
ただただ俺は姉を愛する感情が迸っているだけである。抑えつけているなんて感覚は無い。
「私もそう見えるぞ。理由は知らないが俺は恋愛をしてはいけないんだって思っているんじゃないか?」
「恋愛をしてはいけない……?」
確かにそれは思っているかもしれない。けどそれは姉を敬愛するからそう考えているだけで別に……
「ああ。過去に何かあったのか?」
「うーん……」
そんなことあったっけな……
とりあえず昔の女性との関わりを色々と考えてみる。
……まず考えられるとしたら父さんと前の母親の離婚?
でもなあ、父さんは俺が物心つく頃には既に離婚していたし、離婚の理由は胸糞系でも悲しみ系でもないからなあ。
確か母さんがやりたいことをやろうとすると俺たちに迷惑しかかけないからって理由らしいし。
そして学校関連だけれど、特に大きなイベントもなく平穏無事に過ごしていたし、周囲で誰かがいじめられているとかも無かったから関係ない。
学外で言えば涼香を年上と勘違いしていた以外に変なイベントは存在しない。
じゃあ性癖を破壊するコンテンツを見たか。
別にそんなことは無い。俺は健全な少年漫画に囲まれて過ごしていたからな。少年漫画の中でもエッなTo何とかも読んではいたが、あれを読んだところで健全な性癖崩壊を起こすだけでここまで姉に執着することは無いだろ。
多分自然に湧き上がってしまった性癖が恋愛感情を凌駕したという悲しい話なのだろう。
「思い当たる節は無いかな。いたって平穏無事に過ごしてきたよ」
というわけで正直に思い返した結果を伝えた。
「じゃあ何故だろうな。嘘をついているわけでも誤魔化しているわけでもなさそうだが」
「で後をつけていると、弟は公園に辿り着いた。そして金髪少女に話しかけられ、隣に座って仲良く話し始めていた」
「うん」
確かにこの間の話だな。本当に見ていたんだね。
「一見不良みたいな恰好をしているが、表情や纏う雰囲気が優しかったので良い人と仲良くしているなと感心していたら弟はその女性とどこかに向かって行ったのだ」
「うん」
「これで終わりだ」
「え?そこから先は付いて行かなかったの?」
この流れだと廃ビルに入っていくシーンまで見られているだろうなと思ったが、何故か付いてきておらず話が終了した。
「私は弟と偶然出くわす姉をやりたかったわけで、弟のプライベートをこっそり見たいというわけじゃないからな。いくら姉弟でもプライバシーというのは大事だ」
「そこは見ないんだね」
「当然だ」
「尾行しておいて……?」
こっそり尾行しておいてプライバシーがどうとかいう権利はないでしょ。
「とにかく、あの金髪少女の事も好きなのだろう?どこからどう見てもあの少女を好いている目をしていたぞ」
「そっか」
実際あの人は俺の全ての事情を知っている人だから、傍から見たらそういう感情がバレるのも仕方がないよなあ……
「やはりあの少女なのか?付き合うとしたら」
「うーん、って何を言っているのさ。そういうんじゃないよ」
危ない危ない。誰かを今から選ぶ考えになってしまっていた。弟としてあまりにも無礼すぎるだろ。
いや、姉の誰と付き合うことになったとしても、姉に尽くすために家事とか勉強とかは完璧にしてあるから大丈夫だ。
どのくらいのレベルかと言うと、仮にエクストラお姉さんとしてバンドマンを目指す家事も労働もしないヒモ系お姉さんが現れて付き合うことになったとしても問題ないようなレベルだ。
だから全員をそれなりに幸せにしてあげられる自信はある。
だがしかしあくまで姉は選ぶ立場であり、選ばれる立場ではない。ここだけは間違えてはならない。
「恋愛感情は無い、ね。私から見ると恋愛感情をまた別の感情で無理矢理抑えつけているだけように見えるけど」
俺の無難な答えに対してゆかりさんは妙な事を言った。
「恋愛感情を抑えつけている?」
「うん。自分ではそう思い込んでいるだけで、実は恋愛感情だったみたいな」
「そうかな?別に抑えつけているわけじゃないけど」
ただただ俺は姉を愛する感情が迸っているだけである。抑えつけているなんて感覚は無い。
「私もそう見えるぞ。理由は知らないが俺は恋愛をしてはいけないんだって思っているんじゃないか?」
「恋愛をしてはいけない……?」
確かにそれは思っているかもしれない。けどそれは姉を敬愛するからそう考えているだけで別に……
「ああ。過去に何かあったのか?」
「うーん……」
そんなことあったっけな……
とりあえず昔の女性との関わりを色々と考えてみる。
……まず考えられるとしたら父さんと前の母親の離婚?
でもなあ、父さんは俺が物心つく頃には既に離婚していたし、離婚の理由は胸糞系でも悲しみ系でもないからなあ。
確か母さんがやりたいことをやろうとすると俺たちに迷惑しかかけないからって理由らしいし。
そして学校関連だけれど、特に大きなイベントもなく平穏無事に過ごしていたし、周囲で誰かがいじめられているとかも無かったから関係ない。
学外で言えば涼香を年上と勘違いしていた以外に変なイベントは存在しない。
じゃあ性癖を破壊するコンテンツを見たか。
別にそんなことは無い。俺は健全な少年漫画に囲まれて過ごしていたからな。少年漫画の中でもエッなTo何とかも読んではいたが、あれを読んだところで健全な性癖崩壊を起こすだけでここまで姉に執着することは無いだろ。
多分自然に湧き上がってしまった性癖が恋愛感情を凌駕したという悲しい話なのだろう。
「思い当たる節は無いかな。いたって平穏無事に過ごしてきたよ」
というわけで正直に思い返した結果を伝えた。
「じゃあ何故だろうな。嘘をついているわけでも誤魔化しているわけでもなさそうだが」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

夫達の裏切りに復讐心で一杯だった私は、死の間際に本当の願いを見つけ幸せになれました。
Nao*
恋愛
家庭を顧みず、外泊も増えた夫ダリス。
それを寂しく思う私だったが、庭師のサムとその息子のシャルに癒される日々を送って居た。
そして私達は、三人であるバラの苗を庭に植える。
しかしその後…夫と親友のエリザによって、私は酷い裏切りを受ける事に─。
命の危機が迫る中、私の心は二人への復讐心で一杯になるが…駆けつけたシャルとサムを前に、本当の願いを見つけて─?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)


手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる