将来出会うかもしれないお姉さんの為に人生を捧げてきた俺は、遂にお姉さんに出会うことが出来た。しかし数があまりにも多すぎた。

僧侶A

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37話

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 これ以上追及をしていると話が進まないので一旦放置。大事なのは燐さんとの話である。

「で後をつけていると、弟は公園に辿り着いた。そして金髪少女に話しかけられ、隣に座って仲良く話し始めていた」

「うん」

 確かにこの間の話だな。本当に見ていたんだね。

「一見不良みたいな恰好をしているが、表情や纏う雰囲気が優しかったので良い人と仲良くしているなと感心していたら弟はその女性とどこかに向かって行ったのだ」

「うん」

「これで終わりだ」

「え?そこから先は付いて行かなかったの?」

 この流れだと廃ビルに入っていくシーンまで見られているだろうなと思ったが、何故か付いてきておらず話が終了した。

「私は弟と偶然出くわす姉をやりたかったわけで、弟のプライベートをこっそり見たいというわけじゃないからな。いくら姉弟でもプライバシーというのは大事だ」

「そこは見ないんだね」

「当然だ」

「尾行しておいて……?」

 こっそり尾行しておいてプライバシーがどうとかいう権利はないでしょ。

「とにかく、あの金髪少女の事も好きなのだろう?どこからどう見てもあの少女を好いている目をしていたぞ」

「そっか」

 実際あの人は俺の全ての事情を知っている人だから、傍から見たらそういう感情がバレるのも仕方がないよなあ……

「やはりあの少女なのか?付き合うとしたら」

「うーん、って何を言っているのさ。そういうんじゃないよ」

 危ない危ない。誰かを今から選ぶ考えになってしまっていた。弟としてあまりにも無礼すぎるだろ。

 いや、姉の誰と付き合うことになったとしても、姉に尽くすために家事とか勉強とかは完璧にしてあるから大丈夫だ。

 どのくらいのレベルかと言うと、仮にエクストラお姉さんとしてバンドマンを目指す家事も労働もしないヒモ系お姉さんが現れて付き合うことになったとしても問題ないようなレベルだ。

 だから全員をそれなりに幸せにしてあげられる自信はある。

 だがしかしあくまで姉は選ぶ立場であり、選ばれる立場ではない。ここだけは間違えてはならない。

「恋愛感情は無い、ね。私から見ると恋愛感情をまた別の感情で無理矢理抑えつけているだけように見えるけど」

 俺の無難な答えに対してゆかりさんは妙な事を言った。

「恋愛感情を抑えつけている?」

「うん。自分ではそう思い込んでいるだけで、実は恋愛感情だったみたいな」
「そうかな?別に抑えつけているわけじゃないけど」

 ただただ俺は姉を愛する感情が迸っているだけである。抑えつけているなんて感覚は無い。

「私もそう見えるぞ。理由は知らないが俺は恋愛をしてはいけないんだって思っているんじゃないか?」

「恋愛をしてはいけない……?」

 確かにそれは思っているかもしれない。けどそれは姉を敬愛するからそう考えているだけで別に……

「ああ。過去に何かあったのか?」

「うーん……」

 そんなことあったっけな……

 とりあえず昔の女性との関わりを色々と考えてみる。

 ……まず考えられるとしたら父さんと前の母親の離婚?

 でもなあ、父さんは俺が物心つく頃には既に離婚していたし、離婚の理由は胸糞系でも悲しみ系でもないからなあ。

 確か母さんがやりたいことをやろうとすると俺たちに迷惑しかかけないからって理由らしいし。

 そして学校関連だけれど、特に大きなイベントもなく平穏無事に過ごしていたし、周囲で誰かがいじめられているとかも無かったから関係ない。

 学外で言えば涼香を年上と勘違いしていた以外に変なイベントは存在しない。

 じゃあ性癖を破壊するコンテンツを見たか。

 別にそんなことは無い。俺は健全な少年漫画に囲まれて過ごしていたからな。少年漫画の中でもエッなTo何とかも読んではいたが、あれを読んだところで健全な性癖崩壊を起こすだけでここまで姉に執着することは無いだろ。

 多分自然に湧き上がってしまった性癖が恋愛感情を凌駕したという悲しい話なのだろう。

「思い当たる節は無いかな。いたって平穏無事に過ごしてきたよ」

 というわけで正直に思い返した結果を伝えた。

「じゃあ何故だろうな。嘘をついているわけでも誤魔化しているわけでもなさそうだが」
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