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29話
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「もう無理……」
健闘も空しく、元々体力の少ないジョニー君に限界が来てしまった。
「僕一人でやるしか……」
「私が手伝います!」
リアさんはダウンするジョニー君を後ろに下がらせ、防衛に参加した。
「大丈夫なの?」
「大丈夫か分からないけれど、これはあくまで私の街の問題ですから。外からやってきた人に助けられっぱなしじゃ駄目だと思うんですよ」
「それなら……」
僕はリアさんの助けを受け入れた。リアさんの意思が固そうだったのもあるが、このままでは守り切るのは不可能だったのが大きな理由だ。
「落ちてください!」
思っていたよりもリアさんは強く、向かってくる堕天使たちを的確に引き剝がしていた。
後ろを見る限りあと少しでレヴィさんは全て倒し終わる。
これならどうにかなりそうだ。
「きゃああ!」
しかし、そんな希望はあっさりと打ち砕かれる。リアさんが堕天使の手を引き剝がすことに失敗し、集団の内部に引きずり込まれた。
咄嗟に手を伸ばそうとしたが、引きずり込まれるスピードの方が速く手は届くことは無かった。
既にリアさんの姿は見えない。
「また間に合わなかった……」
上の堕天使を倒し終わったレヴィさんは加勢に来てくれたけれど、もう遅かった。
レヴィさんは目にも止まらぬ勢いで堕天使たちを倒していくが、リアさんの姿は見つからない。
「どういうことだ?」
戦う事数十分、レヴィさんはこの場に居る全ての堕天使を倒した。
しかし、リアさんの姿はどこにもなかった。
「早く助けに行かないと。手遅れになる前に」
レヴィさんは目の前に居る大天使よりもリアさんを優先することにした。
「助けられてしまったのに見捨てるなんて不義理な真似は出来ねえしな」
僕たちも最初からその気だった。
堕天使たちの体を乗り越え、1階へと戻った。
「確かあいつらは右から来ていたよな」
「うん」
「ならそっちに居るかも」
僕たちは右側の通路へ向かう。
通路には5つの部屋があり、全てが閉じられていた。
「何が出てくるか分からねえが、一つずつ開けるしかなさそうだな」
間取りを一切知らない僕たちは、全てを当たる他なかった。
「これは使用人の部屋かな?」
「だと思います。貴族が使用人に貸し与える部屋のサンプルと全く同じなので」
一つ目の部屋は、使用人の部屋だった。使用人の一般的な待遇を教えられる際に、この部屋と全く同じデザインの絵を見た記憶がある。
「全く同じなのか」
「うん、気持ち悪いくらいにお手本そのまま」
いくら基礎に忠実であることにこだわる貴族でもここまでしているのを見たことが無い。多少は貴族として個性を出したがるものなのに。
「この部屋は何も無さそうだし出ようか」
「そうですね」
何の手がかりも無かったので次の部屋に。
「ここは晩餐室。食事を食べる所ですね」
二つ目の部屋は晩餐室。使用人の部屋の隣なのか。
「貴族はこんなに広い所で飯を食うんだな」
ジョニー君は珍しいものを見るようにテーブルや装飾を見ていた。
「これは流石に広すぎる気はするけれどね」
この大きさなら大体20人位が一度に食事が出来そうだ。それも貴族基準で。
普通に食べるなら60人位入ると思う。
「子沢山ってことなのかな?」
「そう考えるのが妥当ですかね。もしくは街の住人を定期的に呼んで食事会をしているのかもしれないです」
「アズライールに恋している人が多いって言っていたし、その関係かもな」
「ただ、この部屋にも何もなさそうだ」
そして三つの部屋。
「遊戯室ですね。食後に遊ぶための場所です」
当然何もない。
そして四つ目の部屋。
「図書室だね」
「にしては本が少ねえな」
「エリーゼは本に関しては化け物だから。これくらいが普通だよ」
大体100冊くらいの本が置かれていた。冊数は少ないけれど一つ一つのサイズが大きかったので実際の数よりはは多く感じられた。
「大体が貴族についての本だね」
別に見た目は変な図書館では無かったのだけれど、中身は少々珍しいものだった。
「ここまで貴族についての本を揃えている家は初めて見ましたね」
貴族として様々な貴族の家を訪れることがあったけれど、どの家も貴族に関わる本は4,5冊程度で、大体は農業や、漁業等の自身の土地に関係する本や、仕事に関わる本、そして趣味の本などが蔵書されている。
別に本で読まなくても教育係はしっかりいるからあまり必要が無いのだ。
教育係を呼ばないにしても、一般教養に関する本の1冊2冊は無いといけない。
「貴族なのに貴族についてそんなに知りたいもんなのか?」
ジョニー君はそんな疑問を上げる。
「分からない。普通はそんなことはしない」
貴族について知るのは社交界で上手くやっていくためだからだ。
「なんか変だな……」
「それに、そこまで貴族について深く知ろうとしている方が1階に使用人の住まいを置くのはおかしい」
しかも目立たない場所ではなく晩餐室の真横。
「そんなもんなのか。使用人にとっては住みやすそうな間取りに見えるから良いなって思ったんだけど」
とジョニー君は言う。
「この街の領主であるアズライールには何かがあるのかもね」
ただ、ここにもリアさんの手がかりはなかった。
「ここが最後か」
通路の一番奥にあった部屋。ほぼ確実にここに何かがあると言っても良い。
「入ろうか」
警戒心を最大まで上げつつ、扉を開いた。
「旅人のお三方。よくここまで辿り着けましたね」
最後の部屋は書斎。
そして、仮面で顔を隠した男が待ち構えていた。
「あなたがアズライールかな?」
隣に居たレヴィさんが目の前の男に質問をする。
「ああ、そうだとも。この街を納める領主。アズライールだ」
「ってことはあなたを倒せば少なくとも騒動は解決しそうですね」
「やれるものならやってみてください」
その言葉と共に、部屋にある扉の全てから仮面を被った者達が襲い掛かってくる。
「っ!」
身体能力は僕たちと大差ないが、不意を突かれたことによって背後から押さえつけられる。
しかし、レヴィさんの手によってすぐに開放された。
その後、3分程で全員を壊滅に追い込んだ。
「残るはあなただけだ」
「逃げた方がっ!」
逃げようとするアズライールを先回りして攻撃し、気絶させた。
「とりあえず元に戻してしまおうか」
レヴィさんは気絶した仮面の男達を元に戻していた。
そして最後にアズライールを何事も無く戻した。
「二人とも、この方は大天使じゃないみたいだ」
「どういうことですか?」
理由を聞こうと尋ねたが、書斎に押し寄せる集団によって遮られた。
「まだ解決してないってことみたいだな」
「レヴィさん、お願いします」
地の利を失った僕たちはただ邪魔になるだけなので、部屋の後ろに逃げた。
そしてレヴィさんが堕天使を殲滅している様を見ていると、おかしなことに気付く。
「ねえジョニー君、あの顔に見覚えある?」
「どれだ?分かんねえな」
「多分さっき戦った堕天使」
僕が見つけたのは階段で戦った堕天使の顔。さっきレヴィさんが元に戻していたはずなのに。
「そう言われてみるとそうか。もしかしてアレもじゃないか?」
「まさか……」
一つの可能性が頭をよぎる。
「レヴィさん!そこにいるのは全員さっき戦った方々です!何者かによって復活させられています!」
それを聞いたレヴィさんはこちらへ駆け寄り、
「なら脱出する!」
僕たちを抱えて窓を破って外へ出た。
「完全に待ち伏せされていたってわけね」
レヴィさんは舌打ちを打つ。
アズライールの家の前に、この街の住人が大量に集まっていた。
「なるほどな。アズライール」
それを見たジョニー君が納得したような素振りを見せる。
「何か分かったの?」
「ああ。ここに集まっている奴らは、恐らく人間だ」
「どういうこと?」
「なあジョニー。もし仮に大天使がのこのこやってきてこいつらを再び堕天使にしているのならどこかのタイミングで気付くと思わねえか?」
「言われてみれば」
あの集団を倒した後は一切の音が聞こえてこなかった。
「堕天使になるには一度蠅を取り込ませる必要があるはずだ。ってことは馬鹿みたいな羽音が鳴り響くとは思わねえか?」
「確かに。あの量だったらフロア丸ごと埋め尽くすくらいの蠅が必要だね」
レヴィさんはそう付け足した。その量なら、どれだけ小さい音で飛んだとしても確実に聞き取れるだろう。
「ってことで俺はこいつらが人間だと思う。恐らく大天使の能力か何かで操られているんじゃねえの?」
「流石にもっと詳しく調べないと断定は出来ないけれど、そう信じてもおかしくは無い状況だね。そもそもこの街に天使がこんなに居るわけが無い」
そういえば純血の天使は割合的に少ないんだっけ。
「一旦逃げよう」
「うわっ!」
レヴィさんは僕たちを抱え、屋敷の屋根の上に飛び乗った。
下を見ると、僕たちを捕らえようとしている方々がこちらの様子を伺っている。
「どうしようか……」
「完全に雲隠れされてしまっては追おうにも追えないというか」
アズライールの正体すら一切分からない。
「試しに天井の穴開けてみようぜ」
唐突にジョニー君はそんな提案をした。
「ジョニー君!?!?」
「やる事も無いしやってみようか」
「レヴィさんまで!?」
レヴィさんも同意してしまったのでその策が実行されることになってしまった。
健闘も空しく、元々体力の少ないジョニー君に限界が来てしまった。
「僕一人でやるしか……」
「私が手伝います!」
リアさんはダウンするジョニー君を後ろに下がらせ、防衛に参加した。
「大丈夫なの?」
「大丈夫か分からないけれど、これはあくまで私の街の問題ですから。外からやってきた人に助けられっぱなしじゃ駄目だと思うんですよ」
「それなら……」
僕はリアさんの助けを受け入れた。リアさんの意思が固そうだったのもあるが、このままでは守り切るのは不可能だったのが大きな理由だ。
「落ちてください!」
思っていたよりもリアさんは強く、向かってくる堕天使たちを的確に引き剝がしていた。
後ろを見る限りあと少しでレヴィさんは全て倒し終わる。
これならどうにかなりそうだ。
「きゃああ!」
しかし、そんな希望はあっさりと打ち砕かれる。リアさんが堕天使の手を引き剝がすことに失敗し、集団の内部に引きずり込まれた。
咄嗟に手を伸ばそうとしたが、引きずり込まれるスピードの方が速く手は届くことは無かった。
既にリアさんの姿は見えない。
「また間に合わなかった……」
上の堕天使を倒し終わったレヴィさんは加勢に来てくれたけれど、もう遅かった。
レヴィさんは目にも止まらぬ勢いで堕天使たちを倒していくが、リアさんの姿は見つからない。
「どういうことだ?」
戦う事数十分、レヴィさんはこの場に居る全ての堕天使を倒した。
しかし、リアさんの姿はどこにもなかった。
「早く助けに行かないと。手遅れになる前に」
レヴィさんは目の前に居る大天使よりもリアさんを優先することにした。
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僕たちも最初からその気だった。
堕天使たちの体を乗り越え、1階へと戻った。
「確かあいつらは右から来ていたよな」
「うん」
「ならそっちに居るかも」
僕たちは右側の通路へ向かう。
通路には5つの部屋があり、全てが閉じられていた。
「何が出てくるか分からねえが、一つずつ開けるしかなさそうだな」
間取りを一切知らない僕たちは、全てを当たる他なかった。
「これは使用人の部屋かな?」
「だと思います。貴族が使用人に貸し与える部屋のサンプルと全く同じなので」
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「全く同じなのか」
「うん、気持ち悪いくらいにお手本そのまま」
いくら基礎に忠実であることにこだわる貴族でもここまでしているのを見たことが無い。多少は貴族として個性を出したがるものなのに。
「この部屋は何も無さそうだし出ようか」
「そうですね」
何の手がかりも無かったので次の部屋に。
「ここは晩餐室。食事を食べる所ですね」
二つ目の部屋は晩餐室。使用人の部屋の隣なのか。
「貴族はこんなに広い所で飯を食うんだな」
ジョニー君は珍しいものを見るようにテーブルや装飾を見ていた。
「これは流石に広すぎる気はするけれどね」
この大きさなら大体20人位が一度に食事が出来そうだ。それも貴族基準で。
普通に食べるなら60人位入ると思う。
「子沢山ってことなのかな?」
「そう考えるのが妥当ですかね。もしくは街の住人を定期的に呼んで食事会をしているのかもしれないです」
「アズライールに恋している人が多いって言っていたし、その関係かもな」
「ただ、この部屋にも何もなさそうだ」
そして三つの部屋。
「遊戯室ですね。食後に遊ぶための場所です」
当然何もない。
そして四つ目の部屋。
「図書室だね」
「にしては本が少ねえな」
「エリーゼは本に関しては化け物だから。これくらいが普通だよ」
大体100冊くらいの本が置かれていた。冊数は少ないけれど一つ一つのサイズが大きかったので実際の数よりはは多く感じられた。
「大体が貴族についての本だね」
別に見た目は変な図書館では無かったのだけれど、中身は少々珍しいものだった。
「ここまで貴族についての本を揃えている家は初めて見ましたね」
貴族として様々な貴族の家を訪れることがあったけれど、どの家も貴族に関わる本は4,5冊程度で、大体は農業や、漁業等の自身の土地に関係する本や、仕事に関わる本、そして趣味の本などが蔵書されている。
別に本で読まなくても教育係はしっかりいるからあまり必要が無いのだ。
教育係を呼ばないにしても、一般教養に関する本の1冊2冊は無いといけない。
「貴族なのに貴族についてそんなに知りたいもんなのか?」
ジョニー君はそんな疑問を上げる。
「分からない。普通はそんなことはしない」
貴族について知るのは社交界で上手くやっていくためだからだ。
「なんか変だな……」
「それに、そこまで貴族について深く知ろうとしている方が1階に使用人の住まいを置くのはおかしい」
しかも目立たない場所ではなく晩餐室の真横。
「そんなもんなのか。使用人にとっては住みやすそうな間取りに見えるから良いなって思ったんだけど」
とジョニー君は言う。
「この街の領主であるアズライールには何かがあるのかもね」
ただ、ここにもリアさんの手がかりはなかった。
「ここが最後か」
通路の一番奥にあった部屋。ほぼ確実にここに何かがあると言っても良い。
「入ろうか」
警戒心を最大まで上げつつ、扉を開いた。
「旅人のお三方。よくここまで辿り着けましたね」
最後の部屋は書斎。
そして、仮面で顔を隠した男が待ち構えていた。
「あなたがアズライールかな?」
隣に居たレヴィさんが目の前の男に質問をする。
「ああ、そうだとも。この街を納める領主。アズライールだ」
「ってことはあなたを倒せば少なくとも騒動は解決しそうですね」
「やれるものならやってみてください」
その言葉と共に、部屋にある扉の全てから仮面を被った者達が襲い掛かってくる。
「っ!」
身体能力は僕たちと大差ないが、不意を突かれたことによって背後から押さえつけられる。
しかし、レヴィさんの手によってすぐに開放された。
その後、3分程で全員を壊滅に追い込んだ。
「残るはあなただけだ」
「逃げた方がっ!」
逃げようとするアズライールを先回りして攻撃し、気絶させた。
「とりあえず元に戻してしまおうか」
レヴィさんは気絶した仮面の男達を元に戻していた。
そして最後にアズライールを何事も無く戻した。
「二人とも、この方は大天使じゃないみたいだ」
「どういうことですか?」
理由を聞こうと尋ねたが、書斎に押し寄せる集団によって遮られた。
「まだ解決してないってことみたいだな」
「レヴィさん、お願いします」
地の利を失った僕たちはただ邪魔になるだけなので、部屋の後ろに逃げた。
そしてレヴィさんが堕天使を殲滅している様を見ていると、おかしなことに気付く。
「ねえジョニー君、あの顔に見覚えある?」
「どれだ?分かんねえな」
「多分さっき戦った堕天使」
僕が見つけたのは階段で戦った堕天使の顔。さっきレヴィさんが元に戻していたはずなのに。
「そう言われてみるとそうか。もしかしてアレもじゃないか?」
「まさか……」
一つの可能性が頭をよぎる。
「レヴィさん!そこにいるのは全員さっき戦った方々です!何者かによって復活させられています!」
それを聞いたレヴィさんはこちらへ駆け寄り、
「なら脱出する!」
僕たちを抱えて窓を破って外へ出た。
「完全に待ち伏せされていたってわけね」
レヴィさんは舌打ちを打つ。
アズライールの家の前に、この街の住人が大量に集まっていた。
「なるほどな。アズライール」
それを見たジョニー君が納得したような素振りを見せる。
「何か分かったの?」
「ああ。ここに集まっている奴らは、恐らく人間だ」
「どういうこと?」
「なあジョニー。もし仮に大天使がのこのこやってきてこいつらを再び堕天使にしているのならどこかのタイミングで気付くと思わねえか?」
「言われてみれば」
あの集団を倒した後は一切の音が聞こえてこなかった。
「堕天使になるには一度蠅を取り込ませる必要があるはずだ。ってことは馬鹿みたいな羽音が鳴り響くとは思わねえか?」
「確かに。あの量だったらフロア丸ごと埋め尽くすくらいの蠅が必要だね」
レヴィさんはそう付け足した。その量なら、どれだけ小さい音で飛んだとしても確実に聞き取れるだろう。
「ってことで俺はこいつらが人間だと思う。恐らく大天使の能力か何かで操られているんじゃねえの?」
「流石にもっと詳しく調べないと断定は出来ないけれど、そう信じてもおかしくは無い状況だね。そもそもこの街に天使がこんなに居るわけが無い」
そういえば純血の天使は割合的に少ないんだっけ。
「一旦逃げよう」
「うわっ!」
レヴィさんは僕たちを抱え、屋敷の屋根の上に飛び乗った。
下を見ると、僕たちを捕らえようとしている方々がこちらの様子を伺っている。
「どうしようか……」
「完全に雲隠れされてしまっては追おうにも追えないというか」
アズライールの正体すら一切分からない。
「試しに天井の穴開けてみようぜ」
唐突にジョニー君はそんな提案をした。
「ジョニー君!?!?」
「やる事も無いしやってみようか」
「レヴィさんまで!?」
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