21 / 49
21話
しおりを挟む
「忙しくないんだったらジョニー君とペトロ君も勉強会に参加しない?」
その話をジョニー君に伝え、しばらくは暇になるなんて話をしていたらクラスメイトが僕たちを誘ってくれた。
「良いの?じゃあ参加させて欲しいな」
「俺も参加する」
「やったあ!二人とも参加してくれるって!」
「マジか!」
「なら早くやってしまおう!」
クラスメイトとはそこまで深く関わっているわけでは無いけれど、皆大歓迎のようで少し嬉しかった。
「ここはそれでも良いが、こうやると楽になる」
「本当だ!」
「これはこうするんだって」
「そうなんだ……」
今日はここまでやろうと目標を立てた上で勉強会が始まり、お互いに教えあって勉強を進めていた。
その中でも相変わらずジョニー君は優秀で、基本的に教える側に回っていた。
「皆大体ここまでは理解できたかな?」
「うん」
「大体は」
「ずっと勉強漬けってのもアレだし、これでもやろうぜ!」
男子が取り出したのは所謂ボードゲームと呼ばれる物。
「これはどんなゲーム?」
「これはだな……」
説明によると、資源を使って自分の領地を広げていく陣取りゲームらしい。最近発売されたらしく、大学生の中で大流行しているらしい。
「とりあえずやってみよう」
習うより慣れよという言葉もあるので、とりあえずやってみることに。
考えることは少々多いけれど、めちゃくちゃ難しいというわけではなく楽しかった。領地に戻った時に持って帰ろうかな。
「二人が忙しいらしいってのはよく聞くんだけど、いつもは何をしているの?」
ターン制のゲームであり、複数人用のゲームであるため自分の番以外は待つだけとなる。そのため自然と会話が発生していた。
そんな中、クラスメイトの一人が僕たちにそんな質問をした。
正直に堕天使を元に戻す活動をしてますなんて言えないし、かといってアグネス商会を話題にだすのもジョニー君に悪い。
「結構前から文化館の手伝いをしているんだ」
「あの文化館!?」
「凄いな。どんなきっかけでそれをすることになったんだ?」
経営を学ぶ学部生ということもあり、最近開いた大規模な施設には注目していたらしい。
「そこに出展している芸術家と少々関わりがあって、その関係で手伝うことになったんだ」
ジョニー君は適当に誤魔化して話した。
「流石ジョニー君とペトロ君」
それから、文化館について根掘り葉掘り聞かれた。
隠す必要も無いので、僕たちの立ち位置がバレない程度に話した。主に僕たちで立ち上げた事業みたいなものだしね。
それから、クラスメイトがどんな日常を過ごしているかなど、様々なことを話しつつボードゲームを楽しんだ。
結局夜まで遊んでから勉強会は解散となった。
その翌日、通学の為に大学まで歩いていると、
『ジェレミー・ウィリアム・リチャードソンです!私に一票をお願いいたします!』
選挙活動を行っている政治家を見つけた。政治家を目指すにしてはかなり若手の方の貴族で、フレッシュさと身近さを感じさせる。人気な方なのか、結構な人だかりも出来ている。
とはいっても僕が投票できる選挙区とは全く違う場所の方だったので、深く見る必要はないななんて思ってスルーしようと思ったが、
『よろしくお願いします!』
その選挙活動を手伝っていたのがヘルド騎士団だったのだ。
この間のこともあったので、少しくらい見てみようと思いその場に立ち止まった。
『私はここに居る皆さんの大半よりは裕福な生活をさせて貰っています。でもそれは私の力ではなく、全ては先祖が国に尽力していたお陰です。つまるところただ運が良かっただけ。そんな人間にここまでの恩恵を受ける価値があるか、当然ありません。だから、私はその価値のある人間となることで、その報いとします。私はこの国に蔓延る不正を正し、市民の皆さんの暮らしを豊かにすることを誓います』
『私たちヘルド騎士団はその正義を信じ、確固たる力として手伝おうと考えております。政治家と協力体制になることで、今まで以上の活動が可能となります。現に私たちは——』
その後はリチャードソンさんとヘルド騎士団が正した不正を列挙し、実際に動き始めている証拠としていた。
リチャードソンさん単体ではよくある正義を語る政治家止まりだったが、今世間で人気となっているヘルド騎士団の存在が説得力を付与し、人々を魅了していた。
「「リチャードソン!リチャードソン!」」
まるで宗教団体のような体を為しているのを横目に、流石に時間だったのでその場を去った。
その日の放課後、僕は単身でヘルド騎士団へと向かっていた。一度来たこともあり、手続きはスムーズに終わった。
「やあ、ペトロ君か。何の用だい?」
突然の来訪だったのに、カマエルさんは丁寧に対応してくれた。
「少し聞きたいことが出来まして」
「聞きたいこととは?」
「どうしてリチャードソンさんの選挙を手伝っているんですか?」
僕はこの質問をするためにここを訪れた。
「どうして、って当然正義を執行する仲間だからだよ。同じ志を持つ者同士、協力するべきだ」
「別にあの人でなくても良かったんじゃないんですか?他にも似たような志を抱えた方はいくらでもいます」
同じ志を持っている方はいくらでもいる。何ならリチャードソンさんよりも権力を持った人だって。
「あの人は損得勘定抜きであの志を持っている。純粋に正義を志す私たちと似ているのだ」
カマエルさんはそう断言した。
「何故分かるんですか?」
「私は内面を見る目には定評があってね。ほら、この騎士団だってそうじゃないか。君も分かるだろう?」
確かに、ヘルド騎士団に居た騎士の方々は純粋に正義の心を持った心優しい方々だった。相手を見る目は本当なのだろう。
「確かにそうですね」
「だから、迷いなく実行したんだ」
そこまで聞いたうえで、本題の質問を投げかけることにした。
「武力と政治が融合することで良くないことが起こってきたことを知っていますよね?それは歴史を見れば火を見るよりも明らかです。何故それと同じことを再び起こそうとしているのですか?」
カマエルさんは貴族だ。だから歴史に関しては昔から教育を受け続けているはず。武力そのものが政治的な権力を持った場合の末路を。
暴走からの独裁、侵略からの滅亡だ。
「私たちはそんな未来を起こすことは無い。市民を何よりも優先した正義だからだ」
カマエルさんはそれを恐らく分かった上で断言した。
「そうですか」
僕はそれ以上を聞くことは無く、この場を去った。
僕はその話を一旦心の隅に置いておき、日常に戻る。
選挙はあっているが、大学生のテスト期間は関係なく迫ってくる。
僕は定期的に開かれる勉強会と、エリーゼによる授業をひたすらに繰り返す。
そのお陰もあってテストは無事合格点を突破。俗に言うフル単という奴だ。
「これでどうにか進級できる……」
僕は家の共有スペースでその事実に安堵していた。
いくら貴族でそこそこ金を持っているとは言っても、留年だけは避けなければならない。
「良かったな」
そう祝うジョニー君は余裕そうだ。ジョニー君も同じ条件なはずだったんだけれどなあ。
「二人ともテストお疲れさん」
そこに遅れてやってきたのはルーシーさん。
「突然呼び出して何かあったんですか?」
「テストも終わったし、堕天使関連の仕事に復帰してもらおうと思ってな」
「確かに、選挙も終わって日常に戻ったからな」
「それでなんですけど、早速白黒つけたいものがあるんですけど」
僕はこのタイミングで、この間の話をすることにした。
「それで直接聞きに行ったのか。行動力の塊だな、ペトロは」
それを聞いたジョニー君は笑った。
「でどう思った?ペトロ」
一方ルーシーさんの表情は真剣だった。
「ほぼ確実にカマエルさんは大天使です」
僕はそう断言した。
「って話だ。レヴィ、どう思う?」
ルーシーさんは大声で呼びかけた。
「そうだね。ペトロ君の話を聞く限り、彼女は真っ当ではないね」
レヴィさんは自室から出てきてそう答えた。どうやら全て聞いていたらしい。
「じゃあレヴィ、頼めるか?」
「問題無いよ」
レヴィさんは家を出て行った。
「とりあえず俺たちはリチャードソンの方を見に行くか」
残された僕たちは、ヘルド騎士団の協力者の方に当たることにした。
その話をジョニー君に伝え、しばらくは暇になるなんて話をしていたらクラスメイトが僕たちを誘ってくれた。
「良いの?じゃあ参加させて欲しいな」
「俺も参加する」
「やったあ!二人とも参加してくれるって!」
「マジか!」
「なら早くやってしまおう!」
クラスメイトとはそこまで深く関わっているわけでは無いけれど、皆大歓迎のようで少し嬉しかった。
「ここはそれでも良いが、こうやると楽になる」
「本当だ!」
「これはこうするんだって」
「そうなんだ……」
今日はここまでやろうと目標を立てた上で勉強会が始まり、お互いに教えあって勉強を進めていた。
その中でも相変わらずジョニー君は優秀で、基本的に教える側に回っていた。
「皆大体ここまでは理解できたかな?」
「うん」
「大体は」
「ずっと勉強漬けってのもアレだし、これでもやろうぜ!」
男子が取り出したのは所謂ボードゲームと呼ばれる物。
「これはどんなゲーム?」
「これはだな……」
説明によると、資源を使って自分の領地を広げていく陣取りゲームらしい。最近発売されたらしく、大学生の中で大流行しているらしい。
「とりあえずやってみよう」
習うより慣れよという言葉もあるので、とりあえずやってみることに。
考えることは少々多いけれど、めちゃくちゃ難しいというわけではなく楽しかった。領地に戻った時に持って帰ろうかな。
「二人が忙しいらしいってのはよく聞くんだけど、いつもは何をしているの?」
ターン制のゲームであり、複数人用のゲームであるため自分の番以外は待つだけとなる。そのため自然と会話が発生していた。
そんな中、クラスメイトの一人が僕たちにそんな質問をした。
正直に堕天使を元に戻す活動をしてますなんて言えないし、かといってアグネス商会を話題にだすのもジョニー君に悪い。
「結構前から文化館の手伝いをしているんだ」
「あの文化館!?」
「凄いな。どんなきっかけでそれをすることになったんだ?」
経営を学ぶ学部生ということもあり、最近開いた大規模な施設には注目していたらしい。
「そこに出展している芸術家と少々関わりがあって、その関係で手伝うことになったんだ」
ジョニー君は適当に誤魔化して話した。
「流石ジョニー君とペトロ君」
それから、文化館について根掘り葉掘り聞かれた。
隠す必要も無いので、僕たちの立ち位置がバレない程度に話した。主に僕たちで立ち上げた事業みたいなものだしね。
それから、クラスメイトがどんな日常を過ごしているかなど、様々なことを話しつつボードゲームを楽しんだ。
結局夜まで遊んでから勉強会は解散となった。
その翌日、通学の為に大学まで歩いていると、
『ジェレミー・ウィリアム・リチャードソンです!私に一票をお願いいたします!』
選挙活動を行っている政治家を見つけた。政治家を目指すにしてはかなり若手の方の貴族で、フレッシュさと身近さを感じさせる。人気な方なのか、結構な人だかりも出来ている。
とはいっても僕が投票できる選挙区とは全く違う場所の方だったので、深く見る必要はないななんて思ってスルーしようと思ったが、
『よろしくお願いします!』
その選挙活動を手伝っていたのがヘルド騎士団だったのだ。
この間のこともあったので、少しくらい見てみようと思いその場に立ち止まった。
『私はここに居る皆さんの大半よりは裕福な生活をさせて貰っています。でもそれは私の力ではなく、全ては先祖が国に尽力していたお陰です。つまるところただ運が良かっただけ。そんな人間にここまでの恩恵を受ける価値があるか、当然ありません。だから、私はその価値のある人間となることで、その報いとします。私はこの国に蔓延る不正を正し、市民の皆さんの暮らしを豊かにすることを誓います』
『私たちヘルド騎士団はその正義を信じ、確固たる力として手伝おうと考えております。政治家と協力体制になることで、今まで以上の活動が可能となります。現に私たちは——』
その後はリチャードソンさんとヘルド騎士団が正した不正を列挙し、実際に動き始めている証拠としていた。
リチャードソンさん単体ではよくある正義を語る政治家止まりだったが、今世間で人気となっているヘルド騎士団の存在が説得力を付与し、人々を魅了していた。
「「リチャードソン!リチャードソン!」」
まるで宗教団体のような体を為しているのを横目に、流石に時間だったのでその場を去った。
その日の放課後、僕は単身でヘルド騎士団へと向かっていた。一度来たこともあり、手続きはスムーズに終わった。
「やあ、ペトロ君か。何の用だい?」
突然の来訪だったのに、カマエルさんは丁寧に対応してくれた。
「少し聞きたいことが出来まして」
「聞きたいこととは?」
「どうしてリチャードソンさんの選挙を手伝っているんですか?」
僕はこの質問をするためにここを訪れた。
「どうして、って当然正義を執行する仲間だからだよ。同じ志を持つ者同士、協力するべきだ」
「別にあの人でなくても良かったんじゃないんですか?他にも似たような志を抱えた方はいくらでもいます」
同じ志を持っている方はいくらでもいる。何ならリチャードソンさんよりも権力を持った人だって。
「あの人は損得勘定抜きであの志を持っている。純粋に正義を志す私たちと似ているのだ」
カマエルさんはそう断言した。
「何故分かるんですか?」
「私は内面を見る目には定評があってね。ほら、この騎士団だってそうじゃないか。君も分かるだろう?」
確かに、ヘルド騎士団に居た騎士の方々は純粋に正義の心を持った心優しい方々だった。相手を見る目は本当なのだろう。
「確かにそうですね」
「だから、迷いなく実行したんだ」
そこまで聞いたうえで、本題の質問を投げかけることにした。
「武力と政治が融合することで良くないことが起こってきたことを知っていますよね?それは歴史を見れば火を見るよりも明らかです。何故それと同じことを再び起こそうとしているのですか?」
カマエルさんは貴族だ。だから歴史に関しては昔から教育を受け続けているはず。武力そのものが政治的な権力を持った場合の末路を。
暴走からの独裁、侵略からの滅亡だ。
「私たちはそんな未来を起こすことは無い。市民を何よりも優先した正義だからだ」
カマエルさんはそれを恐らく分かった上で断言した。
「そうですか」
僕はそれ以上を聞くことは無く、この場を去った。
僕はその話を一旦心の隅に置いておき、日常に戻る。
選挙はあっているが、大学生のテスト期間は関係なく迫ってくる。
僕は定期的に開かれる勉強会と、エリーゼによる授業をひたすらに繰り返す。
そのお陰もあってテストは無事合格点を突破。俗に言うフル単という奴だ。
「これでどうにか進級できる……」
僕は家の共有スペースでその事実に安堵していた。
いくら貴族でそこそこ金を持っているとは言っても、留年だけは避けなければならない。
「良かったな」
そう祝うジョニー君は余裕そうだ。ジョニー君も同じ条件なはずだったんだけれどなあ。
「二人ともテストお疲れさん」
そこに遅れてやってきたのはルーシーさん。
「突然呼び出して何かあったんですか?」
「テストも終わったし、堕天使関連の仕事に復帰してもらおうと思ってな」
「確かに、選挙も終わって日常に戻ったからな」
「それでなんですけど、早速白黒つけたいものがあるんですけど」
僕はこのタイミングで、この間の話をすることにした。
「それで直接聞きに行ったのか。行動力の塊だな、ペトロは」
それを聞いたジョニー君は笑った。
「でどう思った?ペトロ」
一方ルーシーさんの表情は真剣だった。
「ほぼ確実にカマエルさんは大天使です」
僕はそう断言した。
「って話だ。レヴィ、どう思う?」
ルーシーさんは大声で呼びかけた。
「そうだね。ペトロ君の話を聞く限り、彼女は真っ当ではないね」
レヴィさんは自室から出てきてそう答えた。どうやら全て聞いていたらしい。
「じゃあレヴィ、頼めるか?」
「問題無いよ」
レヴィさんは家を出て行った。
「とりあえず俺たちはリチャードソンの方を見に行くか」
残された僕たちは、ヘルド騎士団の協力者の方に当たることにした。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

初めて入ったダンジョンに閉じ込められました。死にたくないので死ぬ気で修行したら常識外れの縮地とすべてを砕く正拳突きを覚えました
陽好
ファンタジー
ダンジョンの発生から50年、今ではダンジョンの難易度は9段階に設定されていて、最も難易度の低いダンジョンは「ノーマーク」と呼ばれ、簡単な試験に合格すれば誰でも入ることが出来るようになっていた。
東京に住む19才の男子学生『熾 火天(おき あぐに)』は大学の授業はそれほどなく、友人もほとんどおらず、趣味と呼べるような物もなく、自分の意思さえほとんどなかった。そんな青年は高校時代の友人からダンジョン探索に誘われ、遺跡探索許可を取得して探索に出ることになった。
青年の探索しに行ったダンジョンは「ノーマーク」の簡単なダンジョンだったが、それでもそこで採取できる鉱物や発掘物は仲介業者にそこそこの値段で買い取ってもらえた。
彼らが順調に探索を進めていると、ほとんどの生物が駆逐されたはずのその遺跡の奥から青年の2倍はあろうかという大きさの真っ白な動物が現れた。
彼を誘った高校時代の友人達は火天をおいて一目散に逃げてしまったが、彼は一足遅れてしまった。火天が扉にたどり着くと、ちょうど火天をおいていった奴らが扉を閉めるところだった。
無情にも扉は火天の目の前で閉じられてしまった。しかしこの時初めて、常に周りに流され、何も持っていなかった男が「生きたい!死にたくない!」と強く自身の意思を持ち、必死に生き延びようと戦いはじめる。白いバケモノから必死に逃げ、隠れては見つかり隠れては見つかるということをひたすら繰り返した。
火天は粘り強く隠れ続けることでなんとか白いバケモノを蒔くことに成功した。
そして火天はダンジョンの中で生き残るため、暇を潰すため、体を鍛え、精神を鍛えた。
瞬発力を鍛え、膂力を鍛え、何事にも動じないような精神力を鍛えた。気づくと火天は一歩で何メートルも進めるようになり、拳で岩を砕けるようになっていた。
力を手にした火天はそのまま外の世界へと飛び出し、いろいろと巻き込まれながら遺跡の謎を解明していく。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる