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16話
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それを好機とばかりにルーシーさんが刀で斬りかかる。
「その程度で私を倒せると?」
確かに素肌に刀は当たったはず。なのにエリーゼの体には傷一つ見られなかった。
「こりゃまた変な力を持ってんな」
「私は知っていますから」
エリーゼは反撃と言わんばかりに掌底を繰り出した。
「ぐふっ」
ルーシーさんは刀で受け止めたはずだけれど、何故か腹を殴られたかのように吹き飛んでいった。
「数多くの知識を得た私が、生身の人間と戦って負ける道理はありません」
僕は戦闘について詳しく知っているわけでは無いけれど、明らかに現実的でない力を使っているということは分かる。
「流石大天使って所だな。無茶苦茶だ」
立ち上がったルーシーさんはもう満身創痍に見える。
「この程度ですか」
「そうだな、降参って言ったら見逃してくれるか?」
あっさりと負けを認めたルーシーさん。
「私たちの計画を散々邪魔してきた方ですし、このまま帰らせるわけにもいきませんね」
エリーゼはルーシーさんに止めを刺そうと歩いて近づく。
「かかったな」
もうまともに動けないはずのルーシーさんが突然動き出し、首にキックをかました。
エリーゼは突然の攻撃に怯んだが、ダメージに関しては殆ど入っていないようだ。
「あら、逃げられましたか」
気付いたらルーシーさんがどこかへ去っていった。
「僕置いてけぼり……」
「ペトロに傷一つ付けるわけが無いのは織り込み済みなのでしょうが、普通置いていきますかね」
「とりあえず、帰るね」
「そうね。それが良いわ。家に帰ったらあの人に伝えておいて。次は容赦しないって」
「分かったよ」
エリーゼはルーシーさんがどこに住んでいるのかは分かった上で見逃してくれたのだろう。
「じゃあまた今度」
そう言ってエリーゼは飛び去って行った。僕も帰らないと。
「あ、ここどこ?」
空から来たのでどうやって帰るか分からないんだけれど。
結局僕は2時間くらいかけて家に辿り着いた。
「よう、遅かったな」
家に帰り着くと、呑気にワインを飲んでいるルーシーさんがリビングに居た。
「遅かったなじゃないです。どうして逃げたんですか」
一切悪びれもしないルーシーさんに対し問い詰めた。
「そりゃああいつが強かったからだよ。まともに戦ってどうこうとかいう話じゃねえ」
「じゃあどうするんですか?元締めをどうにかしないと一生増え続けますよ?」
それに、エリーゼが堕天使のままなのは嫌だ。
「とは言っても、元に戻すとあいつの場合色々支障が出るからなあ」
「戻したら良いんじゃないんですか?」
「俺がやってるのはあくまで肉体の巻き戻しでな。アイツの話が正しければ元に戻したらガキになっちまう」
確かに、エリーゼの年齢は24くらいだったはず。14歳ともなると確かに支障が出てしまう。
「だから戦おうとしたんですか?」
戻せないから拘束しようとしたのだろうか。
「いや、アレは単に戦闘力を確かめただけだ。どんな能力を持っているんだろうなって」
「分かったんですか?」
「一応な。アイツは本で見知ったことならどんな類のものであれ実現できるんだろう」
「だからあんなファンタジーみたいな戦い方していたんですね」
刀を肉体で受け止めるなんて発想、普通考えつかない。
「そうだな。体が硬くなっていたのは最近人気の小説、金色の魔法使いの登場人物であるゲアルが得意とする魔法そのもので、発勁は中国の小説、功夫覇道の敵キャラが使っているものに酷似していた」
「めちゃくちゃですね……」
小説に書かれている事が何でも出来るのなら、自分で書いて自分で使うことも出来るってことだ。やりようによっては時止めすら出来るんじゃないだろうか。
「まあ、一定の制約はありそうだがな。この間の大天使の力と明らかに釣り合っていない」
じゃなきゃやってられないというのもありそうだけれど、流石に実質なんでも出来る能力に隙が無いわけがない。
「とりあえず、どうにか出来るようになるまでは放置ですか?」
「そうだな。アイツの研究もあるし、アリエルは大きなことを起こす気はそこまで無いみたいだしな」
何人かは堕天使化させているとは思うのだけれど、大きな騒動を起こすことは無いと思う。それだけが救いだった。
「もしエリーゼを元に戻せるようになったら、暴走してしまった天使の方々も戻せるようになりますか?」
「それは分からねえ」
「そうですか」
僕に出来ることはしばらく無さそうだった。
「マクロ経済学やっぱ難しいわ」
「そりゃあそうだよ。普通3年生とかで取る奴だよこれ」
「でもお前は軽々解いているじゃねえか」
「まあね」
僕は、堕天使関連の仕事が無いので普通に大学生としての日々を過ごしていた。
今では授業にも慣れて、難しい授業でも平気でついていけるようになった。
「この調子だと2年の前期位で全ての単位取り切っちまうんじゃねえか?」
「そしたら随分と暇になるね。他の学部の授業でも聞きに行く?文学部とか」
「それはアリエルさんの趣味に合わせるためじゃねえか」
「バレたか」
ルーシーさんとエリーゼは完全に対立してしまっていたが、僕との関係は悪化したというわけでは無く、あの日の後も普通に会って話したりしていた。
「実際結婚とか考えているのか?」
ジョニー君がからかうように言ってくる。
「まだ年齢的には早すぎるし、今は良いかなって」
大学にも行っているしね。そもそもエリーゼの堕天使化が治らない限り何とも言えない。
アレが本来のエリーゼなのか、大天使化したことによって精神性が大きく変わっているのか、それが分からないことには始まりようがない。
「好きなんだろ?さっさと告白したらどうだ」
「確かにそうだけど」
ただしそんなことをジョニー君に話せるわけが無いので、そう返事するほかなかった。
「エリーゼ、どうしても元に戻る気は無いの?」
僕は懲りずにエリーゼの元を訪れた。ルーシーさんが武力でどうにか出来ない以上、僕が説得する以外に方法は無さそうだから。
「戻る気は無いわ」
「そうだよね……」
「それより、ペトロに提案したいことがあるのよ」
そう言って取り出したのは水色の液体が入った小瓶。
「何それ?」
「これは、人間の心を開放するための薬。この間完成したのよ」
堕天使化する薬を人間にも……?
「天使だけじゃないの?」
「ええ。私達の目的は人間と天使全てが欲望を開放させて生きる社会を作ることだもの。単にこれまでは天使しかやり方が見つかっていなかっただけよ」
そう言って僕に薬を渡してきた。
「これを飲めってこと?」
「そうよ。これで私たちの仲間入りとなるわ。ペトロなら乗り越えて私みたいに大天使化できると信じているわ」
「飲むわけないでしょ」
僕は当然断った。
「私の事を受け入れてはくれないのね」
エリーゼの表情は、悲しそうなものだった。
「そういうことじゃない」
堕天使化することが間違っているから受け入れないだけだ。
「ならこうするしかないのかしら」
僕はエリーゼに不意を撃たれ、体の自由を失った。
「これで……」
それが僕の聞いた最後の言葉だった。
目が覚めると、僕は贅の限りを尽くしたような、欲というものを表現したような部屋に居た。
「僕は攫われたのかな、エリーゼに」
しかし肝心のエリーゼはここにはいないようだ。
「とりあえず脱出しないと」
そう思い、扉から出ようとするも、当然ながら鍵がかかっていた。
もしかしたら何かしら脱出手段があるかもと部屋を探ってみるも、人が外に出られるだけの大きさの窓は存在しなかった。
「多分これを飲んで外に出ろってことだよね」
一番目立つ机の上に、先ほどエリーゼが飲ませようとした薬が置いてあった。
「確かに堕天使化を乗り越えて、大天使になったらここの扉なんて簡単に壊せそうだけれど」
それではエリーゼの思うつぼだ。
僕はどうしようもないので、助けが来ることをただ待つことにした。
「その程度で私を倒せると?」
確かに素肌に刀は当たったはず。なのにエリーゼの体には傷一つ見られなかった。
「こりゃまた変な力を持ってんな」
「私は知っていますから」
エリーゼは反撃と言わんばかりに掌底を繰り出した。
「ぐふっ」
ルーシーさんは刀で受け止めたはずだけれど、何故か腹を殴られたかのように吹き飛んでいった。
「数多くの知識を得た私が、生身の人間と戦って負ける道理はありません」
僕は戦闘について詳しく知っているわけでは無いけれど、明らかに現実的でない力を使っているということは分かる。
「流石大天使って所だな。無茶苦茶だ」
立ち上がったルーシーさんはもう満身創痍に見える。
「この程度ですか」
「そうだな、降参って言ったら見逃してくれるか?」
あっさりと負けを認めたルーシーさん。
「私たちの計画を散々邪魔してきた方ですし、このまま帰らせるわけにもいきませんね」
エリーゼはルーシーさんに止めを刺そうと歩いて近づく。
「かかったな」
もうまともに動けないはずのルーシーさんが突然動き出し、首にキックをかました。
エリーゼは突然の攻撃に怯んだが、ダメージに関しては殆ど入っていないようだ。
「あら、逃げられましたか」
気付いたらルーシーさんがどこかへ去っていった。
「僕置いてけぼり……」
「ペトロに傷一つ付けるわけが無いのは織り込み済みなのでしょうが、普通置いていきますかね」
「とりあえず、帰るね」
「そうね。それが良いわ。家に帰ったらあの人に伝えておいて。次は容赦しないって」
「分かったよ」
エリーゼはルーシーさんがどこに住んでいるのかは分かった上で見逃してくれたのだろう。
「じゃあまた今度」
そう言ってエリーゼは飛び去って行った。僕も帰らないと。
「あ、ここどこ?」
空から来たのでどうやって帰るか分からないんだけれど。
結局僕は2時間くらいかけて家に辿り着いた。
「よう、遅かったな」
家に帰り着くと、呑気にワインを飲んでいるルーシーさんがリビングに居た。
「遅かったなじゃないです。どうして逃げたんですか」
一切悪びれもしないルーシーさんに対し問い詰めた。
「そりゃああいつが強かったからだよ。まともに戦ってどうこうとかいう話じゃねえ」
「じゃあどうするんですか?元締めをどうにかしないと一生増え続けますよ?」
それに、エリーゼが堕天使のままなのは嫌だ。
「とは言っても、元に戻すとあいつの場合色々支障が出るからなあ」
「戻したら良いんじゃないんですか?」
「俺がやってるのはあくまで肉体の巻き戻しでな。アイツの話が正しければ元に戻したらガキになっちまう」
確かに、エリーゼの年齢は24くらいだったはず。14歳ともなると確かに支障が出てしまう。
「だから戦おうとしたんですか?」
戻せないから拘束しようとしたのだろうか。
「いや、アレは単に戦闘力を確かめただけだ。どんな能力を持っているんだろうなって」
「分かったんですか?」
「一応な。アイツは本で見知ったことならどんな類のものであれ実現できるんだろう」
「だからあんなファンタジーみたいな戦い方していたんですね」
刀を肉体で受け止めるなんて発想、普通考えつかない。
「そうだな。体が硬くなっていたのは最近人気の小説、金色の魔法使いの登場人物であるゲアルが得意とする魔法そのもので、発勁は中国の小説、功夫覇道の敵キャラが使っているものに酷似していた」
「めちゃくちゃですね……」
小説に書かれている事が何でも出来るのなら、自分で書いて自分で使うことも出来るってことだ。やりようによっては時止めすら出来るんじゃないだろうか。
「まあ、一定の制約はありそうだがな。この間の大天使の力と明らかに釣り合っていない」
じゃなきゃやってられないというのもありそうだけれど、流石に実質なんでも出来る能力に隙が無いわけがない。
「とりあえず、どうにか出来るようになるまでは放置ですか?」
「そうだな。アイツの研究もあるし、アリエルは大きなことを起こす気はそこまで無いみたいだしな」
何人かは堕天使化させているとは思うのだけれど、大きな騒動を起こすことは無いと思う。それだけが救いだった。
「もしエリーゼを元に戻せるようになったら、暴走してしまった天使の方々も戻せるようになりますか?」
「それは分からねえ」
「そうですか」
僕に出来ることはしばらく無さそうだった。
「マクロ経済学やっぱ難しいわ」
「そりゃあそうだよ。普通3年生とかで取る奴だよこれ」
「でもお前は軽々解いているじゃねえか」
「まあね」
僕は、堕天使関連の仕事が無いので普通に大学生としての日々を過ごしていた。
今では授業にも慣れて、難しい授業でも平気でついていけるようになった。
「この調子だと2年の前期位で全ての単位取り切っちまうんじゃねえか?」
「そしたら随分と暇になるね。他の学部の授業でも聞きに行く?文学部とか」
「それはアリエルさんの趣味に合わせるためじゃねえか」
「バレたか」
ルーシーさんとエリーゼは完全に対立してしまっていたが、僕との関係は悪化したというわけでは無く、あの日の後も普通に会って話したりしていた。
「実際結婚とか考えているのか?」
ジョニー君がからかうように言ってくる。
「まだ年齢的には早すぎるし、今は良いかなって」
大学にも行っているしね。そもそもエリーゼの堕天使化が治らない限り何とも言えない。
アレが本来のエリーゼなのか、大天使化したことによって精神性が大きく変わっているのか、それが分からないことには始まりようがない。
「好きなんだろ?さっさと告白したらどうだ」
「確かにそうだけど」
ただしそんなことをジョニー君に話せるわけが無いので、そう返事するほかなかった。
「エリーゼ、どうしても元に戻る気は無いの?」
僕は懲りずにエリーゼの元を訪れた。ルーシーさんが武力でどうにか出来ない以上、僕が説得する以外に方法は無さそうだから。
「戻る気は無いわ」
「そうだよね……」
「それより、ペトロに提案したいことがあるのよ」
そう言って取り出したのは水色の液体が入った小瓶。
「何それ?」
「これは、人間の心を開放するための薬。この間完成したのよ」
堕天使化する薬を人間にも……?
「天使だけじゃないの?」
「ええ。私達の目的は人間と天使全てが欲望を開放させて生きる社会を作ることだもの。単にこれまでは天使しかやり方が見つかっていなかっただけよ」
そう言って僕に薬を渡してきた。
「これを飲めってこと?」
「そうよ。これで私たちの仲間入りとなるわ。ペトロなら乗り越えて私みたいに大天使化できると信じているわ」
「飲むわけないでしょ」
僕は当然断った。
「私の事を受け入れてはくれないのね」
エリーゼの表情は、悲しそうなものだった。
「そういうことじゃない」
堕天使化することが間違っているから受け入れないだけだ。
「ならこうするしかないのかしら」
僕はエリーゼに不意を撃たれ、体の自由を失った。
「これで……」
それが僕の聞いた最後の言葉だった。
目が覚めると、僕は贅の限りを尽くしたような、欲というものを表現したような部屋に居た。
「僕は攫われたのかな、エリーゼに」
しかし肝心のエリーゼはここにはいないようだ。
「とりあえず脱出しないと」
そう思い、扉から出ようとするも、当然ながら鍵がかかっていた。
もしかしたら何かしら脱出手段があるかもと部屋を探ってみるも、人が外に出られるだけの大きさの窓は存在しなかった。
「多分これを飲んで外に出ろってことだよね」
一番目立つ机の上に、先ほどエリーゼが飲ませようとした薬が置いてあった。
「確かに堕天使化を乗り越えて、大天使になったらここの扉なんて簡単に壊せそうだけれど」
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