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僕は10時間もかけて運んできた、重い荷物をそっと地面に置いた。
「ついに、はじまるんだ!」
これから4年間、期待と希望に満ちた大学生活が始まるのだ。
僕の名前はペトロ・ダンヴル。ダルアという土地を治める貴族の長男。
貴族として自分の領民を守るため、経営学を学びに来た。
そんな真面目そうな理由でここノウドル、アルグネの首都に来たのだけれど。
「自由な生活だ!!」
実際の所、念願の一人暮らしを憧れの首都ノウドルで始められることへの喜びの方が大きい。
まあ若者だから都会に憧れるのは仕方ないよね。
僕は早々に荷物を整理した後、必要最低限の品だけを手に外に出た。
下宿先に来るまではあまりの荷物の重さにそれどころではなかったノウドルの街並みがはっきりと映って見える。
「これが、都会!」
ダルアという見渡す限り農地しか見えないような田舎から出る機会は皆無だったため、数多くの建物がひしめきあっている光景はあまりにも新鮮だった。
「少し歩き回ってみよう」
最低でも4年は住むことになるであろうこの街を出来るだけ早く理解するために街の散策を始める。
路上では野菜を販売する店や、完成した料理を販売する店が立ち並び、各々が自分の商品の良さを宣伝しあっていた。
「すごい……」
各々が周りに打ち勝って前に進もうという気概を感じる。
別に自分の所の人たちに気概が無いというわけではないけど、競争というよりは協力して頑張るという意味合いが強いため、新鮮な気がする。
「おいそこの兄ちゃん、ソーセージはどうだい?この特製のソースをめちゃくちゃ美味いんだぜ!一本100リアだ」
両親にはあまり無駄遣いをしないようにと言いつけられてはいるけれど、今日くらいは勘弁して欲しい。
「じゃあ一本お願いします」
「ありがとう、毎度あり」
僕はソーセージを一本受け取り、代金を渡す。
その串に刺されたソーセージを食べながら街を歩く。
食器屋や酒場のような、地元でもよく見られるお店以外に、時計屋や劇場のような名前だけは聞いたことある店まで様々なものが立ち並んでいた。
そんな大通りを歩いていると、細い道に人が抜けていく様が見えた。
しかしそんな人を誰も気にすることなく、素通りしていく。
「なんだろう」
普通なら気にしないのだろうけど、今は目に映る全ての物に興味を持つ状態だったから。
あまり深く考えることなく向かうことに。
「なんというか、暗いなあ」
そこは日中だというのに少し薄暗く、大通りを光とするならば影と言えるような場所だった。
「まあいっか」
それでも気にすることなく僕は歩き進むことに。
最初は人が二人ほどしか並んで通れないほどの細い道だったが、徐々に道が大きくなり、最終的には馬車が通れそうなくらいまで広がっていった。
それに合わせて人も少しずつ見られるようになった。
ただ大通りとは違って、こちらを品定めするというか、変な視線が向けられるように。
そんな状況に不信感を覚えていると、
「そこのお兄さん、こんなところで何をしているの?」
唐突に背後から女性に声を掛けられた。
その人には真っ白なドレスを身に纏い、高貴さを感じさせるような品があった。
「僕ですか?ここにやってきたばかりだったのでこの街を散策してみようと思って」
「あら。でもこんな所に来たらいけないわよ。危ないんだから」
「危ない?それを言うならあなたの方が危ないんじゃないんですか?」
僕は男だし、領民の農業を手伝うこともあったのでそこら辺の人たちよりも力はあると自負している。
しかし目の前にいる女性は身長こそ高めではあるけれど、体は折れそうなほどに薄く、軽く押しただけでも簡単に倒れてしまいそうだ。
「私は大丈夫よ。慣れているし、貴族だもの」
「僕だって貴族ですよ」
特にいう理由もなかったけれど、思わず言ってしまった。
「あら。なら別に問題無いわね。まあそれでも万が一もあるからここから出てしまいましょう」
「はい」
その女性は、僕が北方向とは違う方向へ案内していこうとした。逆じゃないかと指摘をしたけれど、この街の土地勘を得るために来たのなら同じ場所から出るよりこっちの方がいいでしょ?と言われた。
その通りだったので大人しくついていくことに。
「どうしてあなたはこんな所に?」
「私?これの為よ」
見せてきたのは両手だった。
「ネイル、ですか?」
「ええ。この裏路地には凄腕のネイル職人がいるのよ。だから毎回お願いするために来ているの」
「確かに、綺麗ですね」
装飾は非常に似合っており、見えにくい部分ではあるけれど、ちらっと見えるそれが高貴さを底上げしていた。
「ありがとう。嬉しいわ」
女性は嬉しそうに笑顔で返した。それほど思い入れがあるものなのだろうか。
「ネイルに思い入れがあるんですか?」
「ええ、そうね。男性が女性と手を繋ぐ場合に真っ先に見るものじゃない?」
「そうですね」
社交界等でダンスをする際にまず女性の手を取るという動作がある。貴族は男女が手を取る機会というのは意外に多い。
「だから綺麗にしているのよ」
「そうなんですか」
「まあ、一番の理由は初恋の男性に手が綺麗だと褒められたからなのですけどね」
意外と可愛らしい理由だった。美しい女性からそんな言葉が出てくるとは。
「そういえば何でここは危ないのですか?それと貴族が安全というのは?」
これ以上は個人情報に入ってくるだろうからと話題を変えた。
「裏路地は、平民の中でもお金のあまりない方々が集まっている場所なんですの。別に悪い人達では無いのだけれど、生きるために必死ですから」
「だから」
善人であれ、生きるために手段を選ばなくなる可能性はある。実際、山賊の中にも息子に飯を食べさせるためにそうせざるを得なかったなんて話は頻繁に耳にする。
「ええ。それと、貴族が安全な理由ですね。それは貴族が恐れられているからですわ」
「恐れられている?」
「はい。もし貴族に何かしてしまったらこの場所が全て排除されてしまうからです。平民であれば警察によって普通の場所として処理されるでしょう。しかし、貴族がここで何か被害を受けてしまった場合、警察はその事態を非常に重く見る。もしくはその親族の怒りを買います。するとどうなるか。原因であるこの裏路地を排除しようとするでしょう」
「そしてここに住む人たちは行き場を失うことになる。だから安全なのです」
「じゃあ僕がやたら見られていたのって」
「おそらく思っている通りよ。あなたが貴族か否かの判別をしていた」
もし平民だと勘違いされていて、この人に話しかけられていなければ、そう思うと背筋がぞっとした。
「そろそろ大通りよ」
そんな話をしているとあっという間に裏路地の外に着いた。
出た場所は確かに大通りではあったが、入る前に通った大通りと違い車両が通る道が整備されていた。
「これがあの噂の車ですか」
時々目の前を通る馬車とは違う鉄で出来た機械を指して話した。
「ええ。まだ普及は進んでいないけれどね」
彼女の言う通り、車はまだ気軽に使われるようなものでは無かった。
使われているのは都会に住む一部の貴族くらいで、僕のような田舎の貴族にとっては縁遠いものだった。
「いつか自分で乗り回してみたいものですね」
「なら勉強を頑張らないとね」
僕がそう感想を述べると、彼女はそう返してきた。
「僕が大学に行くために来たって知っていたんですか?」
そんなことは一度も話していないはず。
「そりゃあ分かるわよ。この時期にやってくる若い貴族の子が一人で街を出歩くなんてそれ以外ないじゃない」
「それもそうでした」
その後、図書館や喫茶店といった学生が利用しそうな場所を紹介してもらった。
そんな時間を過ごしているといつの間にか日が暮れていた。
この街を散策し始めたのが4時当たりだったからそんなものかな。
「そういえば名前を聞いて無かったわね」
「確かに。聞こうとも考えていませんでした」
「私はアンフィア・グランドールよ」
「僕はペトロ・ダンヴルです」
「何かあったらここに連絡してね。今日会ったのも何かの縁だし、今後も仲良くしましょう」
アンフィアさんは住所とサインが書かれた紙を僕に手渡した。その場で用意したわけではなく、予め用意されたものだった。
もしかしたら他にも僕みたいな人を助けてくれているのかもしれない。
「ありがとうございます」
「それじゃあ。帰り道は分かるかしら?」
「大丈夫です。ここから近いので」
色々街を回った結果、最終的に下宿先の近くに戻ってきていた。
「なら。また機会があれば」
「はい、さようなら」
僕達は別れを交わし、各々帰路に着く。
とてもいい人だったなあ。それに美人だった。貴族の間でもさぞモテているんだろうなあ。
なんて俗みたいな感想を抱きながら、歩いていると、
「キャーーーー!!」
背後から悲鳴が響き渡った。
「ついに、はじまるんだ!」
これから4年間、期待と希望に満ちた大学生活が始まるのだ。
僕の名前はペトロ・ダンヴル。ダルアという土地を治める貴族の長男。
貴族として自分の領民を守るため、経営学を学びに来た。
そんな真面目そうな理由でここノウドル、アルグネの首都に来たのだけれど。
「自由な生活だ!!」
実際の所、念願の一人暮らしを憧れの首都ノウドルで始められることへの喜びの方が大きい。
まあ若者だから都会に憧れるのは仕方ないよね。
僕は早々に荷物を整理した後、必要最低限の品だけを手に外に出た。
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「これが、都会!」
ダルアという見渡す限り農地しか見えないような田舎から出る機会は皆無だったため、数多くの建物がひしめきあっている光景はあまりにも新鮮だった。
「少し歩き回ってみよう」
最低でも4年は住むことになるであろうこの街を出来るだけ早く理解するために街の散策を始める。
路上では野菜を販売する店や、完成した料理を販売する店が立ち並び、各々が自分の商品の良さを宣伝しあっていた。
「すごい……」
各々が周りに打ち勝って前に進もうという気概を感じる。
別に自分の所の人たちに気概が無いというわけではないけど、競争というよりは協力して頑張るという意味合いが強いため、新鮮な気がする。
「おいそこの兄ちゃん、ソーセージはどうだい?この特製のソースをめちゃくちゃ美味いんだぜ!一本100リアだ」
両親にはあまり無駄遣いをしないようにと言いつけられてはいるけれど、今日くらいは勘弁して欲しい。
「じゃあ一本お願いします」
「ありがとう、毎度あり」
僕はソーセージを一本受け取り、代金を渡す。
その串に刺されたソーセージを食べながら街を歩く。
食器屋や酒場のような、地元でもよく見られるお店以外に、時計屋や劇場のような名前だけは聞いたことある店まで様々なものが立ち並んでいた。
そんな大通りを歩いていると、細い道に人が抜けていく様が見えた。
しかしそんな人を誰も気にすることなく、素通りしていく。
「なんだろう」
普通なら気にしないのだろうけど、今は目に映る全ての物に興味を持つ状態だったから。
あまり深く考えることなく向かうことに。
「なんというか、暗いなあ」
そこは日中だというのに少し薄暗く、大通りを光とするならば影と言えるような場所だった。
「まあいっか」
それでも気にすることなく僕は歩き進むことに。
最初は人が二人ほどしか並んで通れないほどの細い道だったが、徐々に道が大きくなり、最終的には馬車が通れそうなくらいまで広がっていった。
それに合わせて人も少しずつ見られるようになった。
ただ大通りとは違って、こちらを品定めするというか、変な視線が向けられるように。
そんな状況に不信感を覚えていると、
「そこのお兄さん、こんなところで何をしているの?」
唐突に背後から女性に声を掛けられた。
その人には真っ白なドレスを身に纏い、高貴さを感じさせるような品があった。
「僕ですか?ここにやってきたばかりだったのでこの街を散策してみようと思って」
「あら。でもこんな所に来たらいけないわよ。危ないんだから」
「危ない?それを言うならあなたの方が危ないんじゃないんですか?」
僕は男だし、領民の農業を手伝うこともあったのでそこら辺の人たちよりも力はあると自負している。
しかし目の前にいる女性は身長こそ高めではあるけれど、体は折れそうなほどに薄く、軽く押しただけでも簡単に倒れてしまいそうだ。
「私は大丈夫よ。慣れているし、貴族だもの」
「僕だって貴族ですよ」
特にいう理由もなかったけれど、思わず言ってしまった。
「あら。なら別に問題無いわね。まあそれでも万が一もあるからここから出てしまいましょう」
「はい」
その女性は、僕が北方向とは違う方向へ案内していこうとした。逆じゃないかと指摘をしたけれど、この街の土地勘を得るために来たのなら同じ場所から出るよりこっちの方がいいでしょ?と言われた。
その通りだったので大人しくついていくことに。
「どうしてあなたはこんな所に?」
「私?これの為よ」
見せてきたのは両手だった。
「ネイル、ですか?」
「ええ。この裏路地には凄腕のネイル職人がいるのよ。だから毎回お願いするために来ているの」
「確かに、綺麗ですね」
装飾は非常に似合っており、見えにくい部分ではあるけれど、ちらっと見えるそれが高貴さを底上げしていた。
「ありがとう。嬉しいわ」
女性は嬉しそうに笑顔で返した。それほど思い入れがあるものなのだろうか。
「ネイルに思い入れがあるんですか?」
「ええ、そうね。男性が女性と手を繋ぐ場合に真っ先に見るものじゃない?」
「そうですね」
社交界等でダンスをする際にまず女性の手を取るという動作がある。貴族は男女が手を取る機会というのは意外に多い。
「だから綺麗にしているのよ」
「そうなんですか」
「まあ、一番の理由は初恋の男性に手が綺麗だと褒められたからなのですけどね」
意外と可愛らしい理由だった。美しい女性からそんな言葉が出てくるとは。
「そういえば何でここは危ないのですか?それと貴族が安全というのは?」
これ以上は個人情報に入ってくるだろうからと話題を変えた。
「裏路地は、平民の中でもお金のあまりない方々が集まっている場所なんですの。別に悪い人達では無いのだけれど、生きるために必死ですから」
「だから」
善人であれ、生きるために手段を選ばなくなる可能性はある。実際、山賊の中にも息子に飯を食べさせるためにそうせざるを得なかったなんて話は頻繁に耳にする。
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「そしてここに住む人たちは行き場を失うことになる。だから安全なのです」
「じゃあ僕がやたら見られていたのって」
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もし平民だと勘違いされていて、この人に話しかけられていなければ、そう思うと背筋がぞっとした。
「そろそろ大通りよ」
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「ええ。まだ普及は進んでいないけれどね」
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僕がそう感想を述べると、彼女はそう返してきた。
「僕が大学に行くために来たって知っていたんですか?」
そんなことは一度も話していないはず。
「そりゃあ分かるわよ。この時期にやってくる若い貴族の子が一人で街を出歩くなんてそれ以外ないじゃない」
「それもそうでした」
その後、図書館や喫茶店といった学生が利用しそうな場所を紹介してもらった。
そんな時間を過ごしているといつの間にか日が暮れていた。
この街を散策し始めたのが4時当たりだったからそんなものかな。
「そういえば名前を聞いて無かったわね」
「確かに。聞こうとも考えていませんでした」
「私はアンフィア・グランドールよ」
「僕はペトロ・ダンヴルです」
「何かあったらここに連絡してね。今日会ったのも何かの縁だし、今後も仲良くしましょう」
アンフィアさんは住所とサインが書かれた紙を僕に手渡した。その場で用意したわけではなく、予め用意されたものだった。
もしかしたら他にも僕みたいな人を助けてくれているのかもしれない。
「ありがとうございます」
「それじゃあ。帰り道は分かるかしら?」
「大丈夫です。ここから近いので」
色々街を回った結果、最終的に下宿先の近くに戻ってきていた。
「なら。また機会があれば」
「はい、さようなら」
僕達は別れを交わし、各々帰路に着く。
とてもいい人だったなあ。それに美人だった。貴族の間でもさぞモテているんだろうなあ。
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