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118話
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ここまで来ると人の心を持たないとかそういう次元の話では無いな。
「それを俺に話した意図は?」
『よかったら私と一緒に活動しないかなって。君も結構ぐるぐるターバンにお金を取られているんじゃない?配信部屋も機材もターバンさんのものって話らしいし』
……なるほどな。ここで俺を取り込みたいわけだ。
「そう言われてもな。高校の同級生を切るのは現実的に無理だろ」
収益が安定してからはスタジオの家賃を折半しているが、それ以外に樹にお金は払っていない事は意図的に伏せておくことにした。逃げていくだろうからな。
『それはそうだね。でもさ、甘い蜜を一方的に吸っている相手なんだからどうでも良いんじゃない?』
「俺を利用している相手に配慮する必要は無いと」
『そういうこと』
「まあ一理あるな。で、何をするんだ?」
『やっぱりやることは一つだよね。コラボ配信だよ。私の枠で一緒に雑談でもしようよ』
「俺がか?そんなことしたら大炎上するだろ。VtuberなのにVtuberの中身と関わるなって」
将来的にはVtuber卒業後、別名義で顔出ししている配信者と卒業前にコラボしていてもコラボできる時代が来るかもしれないが、それは今じゃない。
『そこは大丈夫。九重ヤイバとしてじゃなくて、多分Vtuberとは何も関係ないと思われる友人Yとして登場すればいいだけだから』
「それなら大丈夫か。実際Vtuberとして活動しつつ裏で普通の配信者として顔出ししている人は結構いるらしいしな」
実際、ゆめなまにそういう活動をしている人がいるらしい。宮崎さんが言うには最近歌い手グループを立ち上げたんだとか。
個人的にはVtuberを現役でやっている人間が別名義で顔出しすることは好きではないのだが、Vtuber専業はあまりにも不安定な事業だからな。将来の事を考えると仕方のないことだと思う。
『ってことで早速来週の土曜日コラボ配信しない?話題とかは私が用意しておくからさ』
「分かった。受けよう」
『やった!!!よろしくね!!!』
「ああ。コラボ決まったし切るぞ。明日朝早いからな」
『うん、じゃあね!!!!』
「またな」
俺はそう言って通話を切った。
「結構やっちゃったかもな……」
勢いでコラボを受けてしまったが、完全に悪手だろう。
別人という設定とはいえ、九重ヤイバの声をした男が柴犬の配信に出たら柴犬が水晶ながめであるという根拠を更に強めてしまう。
かといって声を変えたら更に不審に思われてしまうだろう。
「とりあえずアスカに相談するか……」
一応事情を知っている年上のVtuberだからな。何かしら助けてもらおう。
『やったじゃん!!!』
通話を繋ぎ、先ほどの会話の一部始終を説明すると、アスカは俺が大仕事を果たしてきたかのように褒めてきた。
「そう……?」
『そうだよ!!!その配信で水晶ながめじゃないって視聴者に思わせれば勝ちなんだから。これは個人勢でながめちゃんと関係が深いヤイバきゅんだから出来ることだよ!!』
「普通にさっきの配信で否定した所で分かってくれたのはほんの一部だったけど。何か変わる……?」
『直接話すってのは結構大事だよ?ながめちゃんがショックで配信できない時期だからこそ特にね。本人にボロを出してもらうのが一番なんだから』
「そんなものなのかな」
『まあ、失敗したら最悪ながめちゃん宅の写真を使います』
「……行ったことあるんだ」
『そうだね。1時間とか2時間家に居ただけだけど』
「その時間でながめの家を撮影したんだ」
アスカだからやってもおかしくなさそうだが、本当にやったのかこいつ。
『そういうこと!!すごくいい家だったし可愛いお部屋だったよ!!』
「そうだね」
『そうだね?』
「いや、あまりに想像通りだったからつい」
『ああ、そういうこと』
あぶないあぶない。あまりに呆れてしまって雑に本音で返してしまっていた。
俺は水晶ながめの家は知らない設定だった。
「それなら安心して行動できるよ」
『うん。楽しみに待ってるよ!』
「オッケー。ありがとう」
アスカはああ言ってくれたが、どうにか俺だけで解決できるように頑張らないとな。
「それを俺に話した意図は?」
『よかったら私と一緒に活動しないかなって。君も結構ぐるぐるターバンにお金を取られているんじゃない?配信部屋も機材もターバンさんのものって話らしいし』
……なるほどな。ここで俺を取り込みたいわけだ。
「そう言われてもな。高校の同級生を切るのは現実的に無理だろ」
収益が安定してからはスタジオの家賃を折半しているが、それ以外に樹にお金は払っていない事は意図的に伏せておくことにした。逃げていくだろうからな。
『それはそうだね。でもさ、甘い蜜を一方的に吸っている相手なんだからどうでも良いんじゃない?』
「俺を利用している相手に配慮する必要は無いと」
『そういうこと』
「まあ一理あるな。で、何をするんだ?」
『やっぱりやることは一つだよね。コラボ配信だよ。私の枠で一緒に雑談でもしようよ』
「俺がか?そんなことしたら大炎上するだろ。VtuberなのにVtuberの中身と関わるなって」
将来的にはVtuber卒業後、別名義で顔出ししている配信者と卒業前にコラボしていてもコラボできる時代が来るかもしれないが、それは今じゃない。
『そこは大丈夫。九重ヤイバとしてじゃなくて、多分Vtuberとは何も関係ないと思われる友人Yとして登場すればいいだけだから』
「それなら大丈夫か。実際Vtuberとして活動しつつ裏で普通の配信者として顔出ししている人は結構いるらしいしな」
実際、ゆめなまにそういう活動をしている人がいるらしい。宮崎さんが言うには最近歌い手グループを立ち上げたんだとか。
個人的にはVtuberを現役でやっている人間が別名義で顔出しすることは好きではないのだが、Vtuber専業はあまりにも不安定な事業だからな。将来の事を考えると仕方のないことだと思う。
『ってことで早速来週の土曜日コラボ配信しない?話題とかは私が用意しておくからさ』
「分かった。受けよう」
『やった!!!よろしくね!!!』
「ああ。コラボ決まったし切るぞ。明日朝早いからな」
『うん、じゃあね!!!!』
「またな」
俺はそう言って通話を切った。
「結構やっちゃったかもな……」
勢いでコラボを受けてしまったが、完全に悪手だろう。
別人という設定とはいえ、九重ヤイバの声をした男が柴犬の配信に出たら柴犬が水晶ながめであるという根拠を更に強めてしまう。
かといって声を変えたら更に不審に思われてしまうだろう。
「とりあえずアスカに相談するか……」
一応事情を知っている年上のVtuberだからな。何かしら助けてもらおう。
『やったじゃん!!!』
通話を繋ぎ、先ほどの会話の一部始終を説明すると、アスカは俺が大仕事を果たしてきたかのように褒めてきた。
「そう……?」
『そうだよ!!!その配信で水晶ながめじゃないって視聴者に思わせれば勝ちなんだから。これは個人勢でながめちゃんと関係が深いヤイバきゅんだから出来ることだよ!!』
「普通にさっきの配信で否定した所で分かってくれたのはほんの一部だったけど。何か変わる……?」
『直接話すってのは結構大事だよ?ながめちゃんがショックで配信できない時期だからこそ特にね。本人にボロを出してもらうのが一番なんだから』
「そんなものなのかな」
『まあ、失敗したら最悪ながめちゃん宅の写真を使います』
「……行ったことあるんだ」
『そうだね。1時間とか2時間家に居ただけだけど』
「その時間でながめの家を撮影したんだ」
アスカだからやってもおかしくなさそうだが、本当にやったのかこいつ。
『そういうこと!!すごくいい家だったし可愛いお部屋だったよ!!』
「そうだね」
『そうだね?』
「いや、あまりに想像通りだったからつい」
『ああ、そういうこと』
あぶないあぶない。あまりに呆れてしまって雑に本音で返してしまっていた。
俺は水晶ながめの家は知らない設定だった。
「それなら安心して行動できるよ」
『うん。楽しみに待ってるよ!』
「オッケー。ありがとう」
アスカはああ言ってくれたが、どうにか俺だけで解決できるように頑張らないとな。
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