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104話

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『あれれ?皆一緒の解答になるかなって思ったんだけどおっかしいなあ……?どう、シュカちゃん?』

『ほんとにおかしいよね。こんな簡単な問題間違うわけないよ』

 とやけに自信満々な様子のシュカ。

『そうそう。イージーすぎてこれで良いの?ってなったよ』

 そしてシュカと同じくCを選んだ奏多も正解を確信しているように見える。

 もしかしてあの自己紹介動画に何か革新的な何かがあるのか……?

『だよね。Vtuberなら皆一致すべき問題だよね。コメント欄のクロさんも言ってるよ。間違うなんてありえないって』

『居るの!?!?!?』

『問題作るときに連絡したからね。居てもおかしくはないよね』

『どうしよう……』

 と露骨に不安そうな様子のながめ。Dがながめ以外に居ないからそりゃあ不安だよな。

『とこれ以上引っ張ってもアレなのでサクッと答えに行きましょう。答えは……Dです!!!!』

『『『え????』』』

 答えはBでもCでもなく、なんとDだった。

『視聴者の皆は分からないかもしれないから解説に入ろうかな。Dは答えだから何も言う事は無いとして、Cが違う理由だね。実はクロさん、この動画を投稿したタイミングだと15歳でね。丁度一月後に誕生日配信をして16歳になったんだ。それ以降ずっと16歳だから皆そっちの印象が強いんじゃないかな。まあこれについては仕方ないかもね』

 ずっと16歳ってイメージだったが、一度だけ年を取っていたのか。高1の年齢より高2の方が今後を考えると都合が良いって判断になったのだろうか。

 ここら辺はよくわからん。当時のVtuber界隈の流れとかもあるかもしれないしな。

『じゃあ次はB、革新的な自己紹介動画ってところはちゃんとあってます。実はVtuber界隈で自己紹介動画を投稿する文化が出来たのってってクロさんのこの動画がきっかけなんだよね』

 Vtuber以外でやっているところを全く見ない自己紹介動画ってクロ初だったのか。

 配信上で何か迂闊な発言をする前に知れて良かった。

『ただ、クロさんの最初の動画ってところが間違いなんだ。実はその前に予告PVみたいな動画が投稿されていてね。一応二つ目なんだ。自己紹介動画がクロさん初って知っていたってのは流石だけど惜しかったね』

『そうなんだ……みなきゃ……』

『と、当然知ってたけど二つ目の動画ってことは知らなかったなあ』

 シュカはどうやらクロのファンだったらしい。なるほどな、それは自信満々になるわけだ。

 そして奏多。こいつは絶対知らなかったな。クロに媚びを売るためだけに選んだだろ。


『で、Aを選んだシリウスくん、一色ちゃん、二人はあの動画の事を凡庸でつまらない動画って思ってたんだね?』

『そ、そんなわけないじゃないですか。Vtuberの黎明期を支えた自己紹介動画がそんなつまらないだなんて……』

『でも選択肢ではそう言ってるじゃん。ほら、クロさんも【結構頑張ったのに悲しいなあ】ってコメントしてるよ?』

『だから違いますって!!!ねえ一色さん!?』

 不本意な罪を着せられそうになっているシリウスは焦った様子で一色に助けを求めていた。

『いや、別に私は関係ないし?』

『同じ選択肢を選んでるのに何を言ってるんですか!?!?』

『そうだよ?一色ちゃんも同罪だよ?』

『って言われてもお酒飲みながら答えてたから……』

 矛先が自分に向かってきた一色は全てを酒のせいにしてぶん投げた。

『そっかあ。酒のせいなら仕方ないよね……』

『うんうん。本心からの解答じゃないなら仕方ないよね。お酒なんだから』

 するとばけるとシュカは何故か納得した様子で頷いていた。

『何を言ってるんですか!?!?酒は言い訳にならないですよ!?』

 その様子を見ていたシリウスは至極真っ当にツッコんでいた。

 俺は酒を飲んだことは無いので分からないが、酒って本心を隠すのではなくむしろ曝け出してしまうものじゃなかったか?

『いや、酒は言い訳になるよ!!酒を飲んでいたら仕方ない!!!!!』

『ええ……』

 そんな事は無いだろと思った俺はこっそりコメント欄を覗いてみた。

 なるほどな。どうやらクロは以前生配信中に酒で大やらかしをしたらしい。



 コメント欄が言うにはVの友人に対する悪口を言いまくった挙句に嘔吐したらしい。

 ……それって大半のVtuberが引退に追いやられるレベルの大事件じゃないか?

 でも今ネタにされて大丈夫ってことは最悪の内容ではなかったってことか?

 時間があるときに調べてみるか……



『ってことで次行きます!!!!!』

 ばけるは無理矢理に流れをぶった切って次の問題に移った。
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