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97話
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「え?」
葵も出るの?アレに?
まさかと思い先程のサムネを見てみると、水晶ながめの姿があった。
「水晶ながめちゃんって実はゆめなま屈指の頭脳派Vtuberなんだよ?」
……これ大丈夫か?面白くならないだろこれ。俺も葵も高得点確定枠だぞ?
「疑いの目を向けているみたいだね。このサムネを見てみよ!」
と企画の面白さを考えていると葵は俺が水晶ながめが馬鹿なんじゃないかと疑っているように見えたらしく、とある切り抜き動画を見せてきた。
「何これ、『水晶ながめ天才集』?」
「うん。時間があったら見てみると良いよ」
「滅茶苦茶馬鹿っぽそうだけど」
タイトルだけ見ると頭良いのかもしれないと思えるのだが、サムネを見ると馬鹿にしか見えない。
ドヤ顔の水晶ながめに金色ででかでかと書かれた『天才』の文字の組み合わせはどう考えても馬鹿でしょ。
「そんなことないよ。この頭良さそうな顔が分からないの?」
「分からないよ。誰がどう見ても馬鹿丸出しだよ」
水晶ながめであることを俺に隠している葵がここまで言うのであれば本当に頭が良い瞬間を切り抜いてきた動画なのだろうが、サムネはどうにかならなかったのか。悪意しか無いだろこれ。
「いやいやいや。こことかこことかさ……」
それでも諦めずに葵はサムネの水晶ながめが知的であることをアピールしていた。
何を言ってるんだこいつ、と思いながら適当に聞き流していると、とある事実に気付いた。
「これ公式じゃん」
「そうだよ?」
そう。この動画、水晶ながめのチャンネルであがった正真正銘公式の動画だったのである。
このサムネのセンス、お前か……
「うん、色々分かった」
俺は改めて葵の成績の良さとポンコツさを再確認したのだった。
その翌日、
「どういうこと?」
脳内で宣言した通りに樹を処していた。
「いや、これはですね……」
「どうせ俺が断ると思ったから勝手に受けたんでしょ?」
「はい……」
「何を貰った?」
「Vtuber、『諏訪ラト』様のサイン色紙です……」
「なるほどね。返してくるよ」
「そんな、けったいな!!!!」
どうやら樹は『諏訪ラト』に釣られて俺を差し出したらしい。
「これ返せば今からでもコラボ断れるからね。急用が入ったとか言えば」
俺は生憎Vtuber専業ではなく、高校生でもあるのだ。多少文句は言われるだろうが、高校の方が優先だと言い張れば誰も言い返せまい。
「それは無駄だ。既に俺が九重ヤイバとしてテストを受けているからなあ!!!!!」
「なっ!つまり……!!!」
「一真はテストを受けるしか無いってわけだ」
「こいつ……」
樹は俺や葵と同じ高校に通っているとは思えないレベルで馬鹿である。
前回のテストでは学年最下位は取らなかったものの、しっかりクラス最下位だし。
イラストレーターとして忙しくなってきたからだということは分かっているのだが、それを抜きにしても悪すぎである。
本人曰く入学当時は学年で真ん中位だと言っているのだが、正直疑わしい。別にイラストが忙しかったとしてもなんだかんだで学校には来ている事が多いし。
授業さえ聞いていれば馬鹿みたいに成績は下がらないだろ。ウチの高校は全員が全員真面目に勉強し続けているわけじゃないし。
とそんなこいつの成績が落ちた理由はどうでも良い。問題は九重ヤイバの代わりにそんな馬鹿がテストを受けたという事実だ。
テストの中身が何であれ、異次元の馬鹿だと世間にデマが広まってしまう事は確実である。
それは九重ヤイバのブランディングとしてあってはならない。こいつはそれを分かっておいてやらかしやがった。
「はあ、受けるよ。それはそれとして返してくる」
というわけで受けるしかなかったが、癪なので樹が交渉で得た利益は全て没収することにした。
葵も出るの?アレに?
まさかと思い先程のサムネを見てみると、水晶ながめの姿があった。
「水晶ながめちゃんって実はゆめなま屈指の頭脳派Vtuberなんだよ?」
……これ大丈夫か?面白くならないだろこれ。俺も葵も高得点確定枠だぞ?
「疑いの目を向けているみたいだね。このサムネを見てみよ!」
と企画の面白さを考えていると葵は俺が水晶ながめが馬鹿なんじゃないかと疑っているように見えたらしく、とある切り抜き動画を見せてきた。
「何これ、『水晶ながめ天才集』?」
「うん。時間があったら見てみると良いよ」
「滅茶苦茶馬鹿っぽそうだけど」
タイトルだけ見ると頭良いのかもしれないと思えるのだが、サムネを見ると馬鹿にしか見えない。
ドヤ顔の水晶ながめに金色ででかでかと書かれた『天才』の文字の組み合わせはどう考えても馬鹿でしょ。
「そんなことないよ。この頭良さそうな顔が分からないの?」
「分からないよ。誰がどう見ても馬鹿丸出しだよ」
水晶ながめであることを俺に隠している葵がここまで言うのであれば本当に頭が良い瞬間を切り抜いてきた動画なのだろうが、サムネはどうにかならなかったのか。悪意しか無いだろこれ。
「いやいやいや。こことかこことかさ……」
それでも諦めずに葵はサムネの水晶ながめが知的であることをアピールしていた。
何を言ってるんだこいつ、と思いながら適当に聞き流していると、とある事実に気付いた。
「これ公式じゃん」
「そうだよ?」
そう。この動画、水晶ながめのチャンネルであがった正真正銘公式の動画だったのである。
このサムネのセンス、お前か……
「うん、色々分かった」
俺は改めて葵の成績の良さとポンコツさを再確認したのだった。
その翌日、
「どういうこと?」
脳内で宣言した通りに樹を処していた。
「いや、これはですね……」
「どうせ俺が断ると思ったから勝手に受けたんでしょ?」
「はい……」
「何を貰った?」
「Vtuber、『諏訪ラト』様のサイン色紙です……」
「なるほどね。返してくるよ」
「そんな、けったいな!!!!」
どうやら樹は『諏訪ラト』に釣られて俺を差し出したらしい。
「これ返せば今からでもコラボ断れるからね。急用が入ったとか言えば」
俺は生憎Vtuber専業ではなく、高校生でもあるのだ。多少文句は言われるだろうが、高校の方が優先だと言い張れば誰も言い返せまい。
「それは無駄だ。既に俺が九重ヤイバとしてテストを受けているからなあ!!!!!」
「なっ!つまり……!!!」
「一真はテストを受けるしか無いってわけだ」
「こいつ……」
樹は俺や葵と同じ高校に通っているとは思えないレベルで馬鹿である。
前回のテストでは学年最下位は取らなかったものの、しっかりクラス最下位だし。
イラストレーターとして忙しくなってきたからだということは分かっているのだが、それを抜きにしても悪すぎである。
本人曰く入学当時は学年で真ん中位だと言っているのだが、正直疑わしい。別にイラストが忙しかったとしてもなんだかんだで学校には来ている事が多いし。
授業さえ聞いていれば馬鹿みたいに成績は下がらないだろ。ウチの高校は全員が全員真面目に勉強し続けているわけじゃないし。
とそんなこいつの成績が落ちた理由はどうでも良い。問題は九重ヤイバの代わりにそんな馬鹿がテストを受けたという事実だ。
テストの中身が何であれ、異次元の馬鹿だと世間にデマが広まってしまう事は確実である。
それは九重ヤイバのブランディングとしてあってはならない。こいつはそれを分かっておいてやらかしやがった。
「はあ、受けるよ。それはそれとして返してくる」
というわけで受けるしかなかったが、癪なので樹が交渉で得た利益は全て没収することにした。
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