Vtuberの幼馴染は自分の正体を隠せていると思っているので、全力でからかってやろうと思います

僧侶A

文字の大きさ
上 下
75 / 130

75話

しおりを挟む
 アカリエの工房に来た私を、アカリは歓迎してくれる。そもそも歓迎してくれないって事の方があり得ないけど。

「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」
「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」
「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」
「そういうこと」

 私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。

「【血装術】?」
「何それ? それも師範のところで稽古したから?」
「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」

 私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。

────────────────────────

【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。

【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。

────────────────────────

 どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。

「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」
「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」
「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」
「ああ、アサルトバードから?」
「うん」

 【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。

「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」
「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」
「うん。そうだね」

 アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。

────────────────────────

ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】
控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】
SP:54

────────────────────────

 統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。

「あっ……」
「どうしたの?」

 自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。

「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」

 道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。

「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」
「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」
「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」
「うん。前向きに行こう」

 アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。
 本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。
 そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。

「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」
「うん。オッケー」

 双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。

「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」
「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」
「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」
「もしかして、最大レベルまで?」
「最大レベルって、どのくらい?」

 スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。

「ごめんね。私にも分からないや」
「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」
「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」
「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」

 他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。

「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」
「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」
「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」
「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」
「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」
「うん。いってらっしゃい」

 スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。
 また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。

「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」

 まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

クールな生徒会長のオンとオフが違いすぎるっ!?

ブレイブ
恋愛
政治家、資産家の子供だけが通える高校。上流高校がある。上流高校の一年生にして生徒会長。神童燐は普段は冷静に動き、正確な指示を出すが、家族と、恋人、新の前では

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...