上 下
1 / 1

チートが与えられる対象が間違っていた結果

しおりを挟む
俺は野球の観戦に来ていた。別に野球に詳しいとか好きだからということではなく、単に俺の学校の野球部が勝ち上がってしまったからだ。

なんだかんだで勝ち上がったらしく今見ている試合に勝てば甲子園に出場が確定するらしい。

だから校長が全校あげて応援しようということになって今ここにいる。

正直野球が好きでもなんでもないため暑さにうんざりしながら早く終わらないかなあと試合を見ていた。

そんな時、うちの4番がボールにクリーンヒットしてホームランの弾道を描いていた。

これはホームランだと盛り上がっている中、そのボールがぼんやりとしていた俺の頭に当たった。

そして俺は意識を失った。

何分たったのかは分からないが、目が覚めた後知らない所にいた。頭にボールが当たった記憶だけは鮮明にあったので医務室か何かだと思ったが、少し様子が違った。

医務室に居る人達が全員日本人ではないのだ。それだけだったら良いのだが、何人か鎧をつけているのだ。明らかにおかしいことは自分でもわかる。

とはいえボールに当たったところを処置してくれた人達に感謝を述べた。そして去ろうとしたら少し来てもらいたいところがあると引き止められた。

そして俺は王族らしき人に会わされて、金銭の援助は勿論するから魔王を倒すのを手伝ってくれと言われた。

薄々感じていたがここは異世界のようだった。

とりあえず俺はお金を貰いひとまず装備を整えた後戦いに慣れるために森に向かった。

その最中、ポケットの中にボールが入っていることに気付いた。

恐らく俺が当たってしまったボールなのだろう。今ここにいるということは俺を死に至らしめた悪魔のボールである。

いくら生き返ったとはいえそんなボールと共にいるのは嫌だった。だから俺は森の中にボールを全力で投げた。

すると正面にあった木に当たり、木が弾け飛んだ。衝撃の光景にドン引きしている中、当然のようにボールが俺の手元に戻って来た。

何が起こったんだと同じように木に投げまくってみたところ、全て同じ反応だった。

これを見た俺はこのボールを使えば楽に戦えると思い、手放すことはやめることにした。

実際にその後もとても有用だった。そこら辺の武器ならともかく国宝級に指定されていた武器などよりも威力が高く扱いやすかったのだ。

恐らくこれ以外の武器を使う選択肢なんてないレベルである。

かつて自分の命を奪った悪魔のボールが異世界にて俺の活動を全面的に補助している。皮肉なものだ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

ねる
2019.06.08 ねる

読ませて頂きました。
異世界の生き方が斬新だなと思いました。

僧侶A
2019.06.08 僧侶A

読んでいただきありがとうございます。面白いと思っていただけたのならば幸いです。

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

異世界に召喚された様ですが、村人Aと間違えられて追い出されましたorz

かぜかおる
ファンタジー
題名のまんま、特に落ちもないので、暇つぶしにフワッと読んでください。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。 「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」 と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。